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第5話
基地の北門を出ると、西の空は夕暮れに染まっていた。昼間の蒸し暑さが和いで、通りを吹き抜けてくる爽やかな風が心地いい。
「だいぶ遅くなったな……早く帰らなくては」
リュカは汗ばむ額を拭って懐中時計を懐にしまうと、目の前の通りを足早に歩きだした。
ノルディアの後方基地であるノースフェルト基地の周りには、いろいろな街が広がっている。東側の丘の上には貴族や将校たちの館が、南側には軍人を相手に商売をする商店や少々いかがわしい商売をする店や娼館が、そして日当たりの悪い北側のこのあたりは庶民が住む下町がある。
赤茶色の土を固めただけの通りの両側には、赤いレンガブロックを積み重ねただけの簡素な住宅が軒を連ね、そこかしこから夕飯の準備をするいい匂いが漂ってくる。井戸端では女の人たちが快活な笑い声をあげ、その周りでは子供らが追いかけっこをしてはしゃいでいる。リュカは微笑ましい気持ちで目を細めた。
戦況が芳しくない状況でも、市井の人々の暮らしは力強く温かいと最近になって感じるようになった。もしかしたらそれは、家で待っていてくれる人がいるからかもしれない。
リュカは微笑を湛えたままで集落を通り過ぎ、森の中へと足を向けた。整えられた小道をしばらく進むと、木で出来た小屋が見えてくる。
ふっと上空に黒い影がよぎった。
足をとめて上を見上げると、夕焼けの空の色よりも鮮やかな赤い竜が、大きな翼をはためかせて急降下してくるところだった。
ばさばさと力強く翼をはためかせて降り立つと、赤い竜は長い首をぶるぶるっと振った。すると白い蒸気を上げながら、瞬く間に大きな赤い竜がヒトの姿に変わっていく。
現れたのは赤い髪と赤い瞳を持った、逞しい体つきの青年だ。彼はぱぁっと弾けるような笑顔を浮かべると、こちらに一目散に駆け寄ってくる。
「リュカ! おかえり!」
「ジーク……っ」
リュカはかあっと顔を赤らめ、急いでジークから視線を外す。竜の姿から人間に戻ったジークは何も身に着けていない。裸だ。
同性だとわかっていても、ジークのように美しい男の完璧な肉体を前にすると、何か見てはならないものを見てしまったときのように動揺してしまう。
そんなリュカの心も知らないジークは、リュカの身体をぎゅっと抱き込んだ。張りつめた瑞々しい胸の筋肉が頬に触れ、心臓が騒めいてしまう。
「は……離してくれ」
「なんで?」
「『なんで』じゃない、裸だろう!」
「あ、そうだった」
「人間の姿になったらすぐに服を着ろと言っているのに!」
「ごめんごめん」
ジークはあははと快活に笑って、小屋の中に駆けて行く。
しばらくすると服を身につけて戻ってきた。そしてもう一度リュカに抱き着いてくる。
「リュカ~リュカ~会いたかった~」
今朝に別れたばかりだというのに、ジークは一週間も会えなかったかのような大袈裟なそぶりだ。リュカの首筋の匂いを嗅ぎ、そして唇を落としてくる。
「……っ」
リュカはぶるりと震え、ジークの腕から抜け出そうと藻掻いた。
「や、めろ」
「なんで? リュカの匂い大好きだからもっと嗅ぎたい」
「ほんとに……やめろって!」
リュカはジークの胸をどんと叩いた。
「けちだなあ……ちょっとくらいいいじゃん」
「いいわけないだろう!」
「え~?」
ジークは拗ねたような顔をしたが、ようやく腕を緩めた。
竜人は普通の人間よりも愛情の表現が大きく無邪気だ。ジークは特にその性質が強く、見かけこそ逞しい青年だが、中身はまるで幼い子供のようだ。
「全く……何を考えているんだ」
リュカは文句を言うが、ジークは全く我関せずだ。宝石のように美しい赤い瞳を細めて、うっとりとした視線をリュカに向けてくる。
「は~……、ほんとにリュカって綺麗だね。その黒い髪の毛と黒い瞳。日の光の中で見ると黒い宝石みたい」
まるで女性を口説くような言葉遣いに、胸がそわっと騒めいた。
「そ、そんなどうでもいいことを言ってないで、家の中に入るぞ」
リュカは落ち着かない己の心臓を無視して家の中へと足を向けた。そのすぐ後ろを犬のようにジークが付いてくる。
まったく、無邪気なものだな……。
リュカは屈託のないジークの様子に大きなため息を吐き、家の扉を開けた。
ジークが突然基地の近くの森に墜落してから半年のときが経っていた。墜落のときに出来た怪我はようやく癒えたところだが、相変わらずジークの記憶が戻ることはなかった。
どこから来たのかわからない珍しい種の竜人。基地の中では彼の扱いについて真っ二つに意見が割れた。
『素性がわからない竜人を基地に抱えておくのは危険だ、処分すべき』と訴える慎重派の意見の中、リュカの父で参謀次長であるエドモンは『ノルディアにいる普通種の竜人でなくとも、ペアリングが可能であれば、十分に騎竜として利用価値がある。処分は猶予すべきだ』と主張した。
リュカは赤竜とのペアリングに成功した人間として意見を聞かれ、
『赤竜は普通種の竜人に比べて、年の割に身体が大きい。成長すればきっと戦闘能力は高いはずだ。ペアリングをした感触から言っても、とても穏やかな気質であることがわかる。騎竜として十分に戦闘可能です』
と、父親の意見を後押した。その結果、ジークは基地預かりの竜人になったのだ。
だが次に問題になったのが、この赤竜の身元を誰が預かるかということだった。
人の姿に変化が出来るようになった竜人は基地の中の専用の兵舎で生活するのが普通だが、貴重な戦力である騎竜候補の竜人たちと、素性のわからないジークを一緒には置いておけない。誰か適当な人物の監視下に置くことが必要だった。
信頼がおける身分で、できれば竜人の扱いにも慣れていて、治療行為も出来て、緊急時にはペアリングが出来る人物……。
そこで白羽の矢が当たったのが、参謀次長の息子であり二等保竜官のリュカだったというわけだ。
『リュカ、赤竜を監視しろ。我々に従属するようにコントロールするんだ』
半年前、久しぶりに呼び出された司令棟の一室で、父親にそう命令されたときにはリュカは驚いた。驚くと同時に不安にもなった。自分などに務まるだろうか、と。
おそらくそんな気持ちが出ていたのだろう。厳しい顔を崩さずに父親は『お前しか適任がいない』と言った。
その言葉にリュカは目を見開いた。『お前しかいない』などと、父親に言われたことがなかったのだ。自分に出来るだろうかという不安は一瞬で吹き飛んだ。
『お任せください』
敬礼で答え、父親の執務室を後にしたときは、喜びと安堵で涙が滲んだほどだった。久しぶりに父親が正面から顔を見てくれて、直接声を掛けてくれたのだ。父親に『リュカ』と名前を呼ばれたのはどれほどぶりだろう。
こんな出来損ないの自分でも、ようやく父親の役に立てるときが来たのだ――とリュカは歓喜した。
それからしばらくして基地の北側の森の中に住まいが用意され、こうしてリュカはとジークは小さな家で一緒に暮らし始めるようになったのだ。
それから半年。ジークはリュカに懐いて心を開いてくれている。リュカの方も監視という名目上気を抜いてはいけないとわかっていても、ついつい素直で明るいジークを前にすると心が緩みそうになってしまう。
着替えを済ませ手を洗い、竈の上に鍋を出した。外の井戸で組んできた水を鍋に移し、台所の隅に置いたカゴから野菜を取り出していると、ジークが手元を覗き込んでくる。
「何作るの?」
「今日は食堂で貰って来たパンと茹でジャガイモがあるから、干し肉と野菜のスープを作ろうかと思っている」
「いいな。手伝うよ」
ジークは腕まくりをし、リュカから受け取ったナイフと使って野菜を手際よく刻み始めた。
ジークは意外に手先が器用で、率先して料理を作ってくれるからとても助かっている。対してリュカはいつまでたっても料理の腕は上達しない。一緒に暮らし始めた半年前にはお湯を沸かすこともままならなかったので、これでも進歩した方ではあるが。
半年――。そう半年だ、とリュカは横に立つジークを見てふいに思った。
初めてジークに会ってから半年。あのときジークは傷つき血まみれだった。ほとんどは墜落したときにできた傷だが、それ以外に出来た――おそらく人間に付けられた傷跡が身体中にあった。
ジークはどんな仕打ちを受けていたのだろう。一体誰に傷つけられ、誰から逃げてきたのだろう。その記憶をジークが思い出したとき、一体どうなってしまうのだろう。ジークは本当に味方なのだろうか――?
「――リュカ、どうしたの?」
「……え?」
我に返ると、ジークがリュカの顔を覗き込んでいた。目の前に急に現れた端正な顔に、思わずどきりとした。
「ジーク……近い、ちょっと離れろ」
リュカは離れようとするが、その分ジークが距離を縮めてくる。
「リュカ、なんか今日は元気がないな」
「そ、そんなことはない」
「そんなことあるよ。いつものリュカじゃない」
きっぱりと真剣な顔で言われ、リュカはいつものことながら驚いてしまった。
野生の勘とでも言えばいいのだろうか。ジークはリュカの感情の機微や体調に敏感だ。あまり身体が強くないリュカが風邪を引いて熱を出したときなど、リュカ本人よりも先にジークが気付いたくらいなのだ。
リュカは小さく息を吐きだし、今日の昼間にエドモンから託された指令の話を切り出すことにした。
「ジーク。騎竜になる気はあるか?」
「え?」とジークは目を瞬いた。
「先週、基地の中で身体を診てもらっただろう。そのときに一緒にいろいろ検査をしたのは覚えているか?」
「……ああ、なんかたくさん司令部の人たちが来たときのことだろ?」
「そうだ、そのときだ」
傷の治り具合を診る定期健診は、最近は二週間に一度という頻度で続けられている。だが先週はそれに加えて、飛行テストや竜騎士によるペアリングのテストが行われた。
「そのときの結果が出たんだ。とても優秀な数値が出たそうだよ。ジークには騎竜の才能があると……だからそろそろ騎竜見習いとして訓練を受けてみないかという話が来ているんだ」
話をしながら、リュカは今日の昼間に会った父親の顔を思い出した。『ジークには騎竜の才能がある』とリュカに告げたときの顔は、今まで一度もリュカに向けられたことのない、期待に満ちた顔だった。
それを思い出すとぐっと胃のあたりが苦しくなったが、リュカは自分に向かって落ち着けと言い聞かせた。
リュカの使命はジークを懐柔し、独立軍の騎竜に仕立て上げることだ。そのためなら何でもする。
「なあジーク。正直に言ってくれて構わない。もしかしてジークは軍に入るのは嫌か?」
ジークはおずおずとリュカを見て、小さく頷いた。
「……うん、嫌だ。人に攻撃したりとか、傷つけたりとか、したくない」
予想通りの返答に、リュカは「そうか」と苦い思いで頷いた。
この半年を一緒に生活を過ごしてきたリュカにはなんとなく気が付いていた。ジークは暴力というものが苦手なタイプだ。
リュカの表情をちらりと見たジークが、少し焦ったようにしゃべりだす。
「あのさ、俺記憶ないだろ。自分が誰かとかどこから来たのかとか、家族はいたのかどうかとか……何にもわからない。だからそんな何もない状態なのに、命をかけて戦ってる自分が想像できないっていうかさ」
確かにその通りだ。祖国を守るとか家族を守るとか、一般の兵士が持っている戦う理由がジークにはないのだ。
だけど、とジークは話を続ける。
「実際に軍の世話にならなければどっかで野垂れ死んでたか殺されてたかしただろうし……恩は感じてるんだけど」
「ジーク……」
「ごめん、リュカのことも困らせてるよね? リュカは俺が騎竜になったら嬉しい?」
『もちろんだ』と言おうとして、一瞬答えに詰まった。ふと脳裏にゼノのことがよぎったからだ。
戦場で血に染まり、リュカの腕の中で息を引き取った双子の兄の姿。
ジークを軍に入れて騎竜にするというのはつまり、彼を死地へ送り出すということだ。この優しく明るい青年を……?
心が痛むような葛藤が生まれ、慌てて打ち消した。
「もちろんだ」
リュカは力を込めて言った。ジークが騎竜になることは父親の望みだ。父親の望みはリュカの望みでもある。
「俺はジークが騎竜になったら嬉しい」
「うん……」
しばらくジークは困ったように黙り込んでいたが、思いついたように口を開いた。
「ねえリュカ。リュカはどうして軍に入ったの? リュカが戦う理由って何?」
「俺が軍に入った理由?」
「うん」
「理由なんて考えたことはないな……。俺が軍に入るのは初めから決まっていたし」
「それってお父さんの影響? リュカのお父さんって、司令部の偉い人だもんな」
「偉い人って……。それはそうなんだが」
子供のような表現にリュカは思わず笑ってしまった。ジークは記憶を失っているが、きっと温かな良い環境で育ってきたのだろう。『お父さん』という言葉の発音一つとっても、素直な信頼が表われている。
少しだけ羨ましくなった。ジークにはきっと、自分と父親の関係は理解できないだろう。
「俺には双子の兄がいて……兄はとても父を尊敬していたんだ。『俺たちも父親のように立派な軍人になろう』と二人で誓い合って……だから軍人以外の選択肢を考えたことがない」
ゼノもリュカ自身も周囲の人間も、双子の兄弟は軍人になると信じて疑わなかった。その期待を背負い、リュカはゼノとともに、幼いころから勉学に訓練にと励んできた。
だがリュカはゼノのように優秀な人間ではなかった。
ゼノを手放しでほめる父が、リュカの試験の結果を見てため息をつくようになったのはいつのことだろう。視線が合わないようになったのは、顔を合わせても声を掛けられなくなったのは……。リュカは必死に努力をしたが、父親が求める結果を出せたことは一度もない。
だがそれでも腐らなかったのは、優しいゼノが励ましてくれたからだ。
「そうか。リュカはお兄さんのことが好きなんだね」
「ああ……そうだな。その兄も二年前に亡くなってしまったが」
「え?」
ジークの表情が、はっとしたように固まった。
「竜騎士だったんだが、戦闘で命を落とした」
ごくりとジークが息を呑んだ音が聞こえた。
「そう、だったんだ……」
「ああ」
ゼノのことを口にするのは久しぶりだった。相変わらず心が引き裂かれるように辛い。
ゼノは生まれたときから誰よりも近くにいた。顔も身体も鏡で映したようにそっくりで、だからゼノが死んだときは、自分の身体の半分をもぎ取られたような気がした。
「……すごく辛かった。父もかなり気を落としていたよ。兄は父の後継者だったんだ。優秀な兄が死んで、出来損ないの弟が残ったんだから、がっかりするのも仕方ない」
「リュカ……リュカは出来損ないなんかじゃない……リュカはすごいよ。優しいし頭もいいし」
「ありがとう。でも俺くらい人間なんて、吐いて捨てるほどにたくさんいるんだよ。俺がもっと優秀な人間だったら、父も喜んでくれただろうが……」
それは幼いころから繰り返し何度も考えてきたことだった。心が折れそうになるたびに何とか奮起してやってきたが、兄を目の前で亡くして騎竜に乗れなくなってしまってからは、完全に見限られてしまった。
どうして優秀な息子が死に、弱くて情けない息子の方が残ったのだ。死んだのが反対であれば――きっと父親はそう思っているはずだ。だからこそ、今回父親から与えられた任務は完璧にやり通さなければならない。
「リュカ……」
はっと気が付くと、目の前のジークは泣きそうな顔をしていた。感傷に浸ってつい余計なことまで話してしまったようだ。
「ごめんな。ジークがそんな顔をしなくてもいいんだぞ。余計なことをしゃべりすぎたな。忘れてくれ」
そう言うと、ジークはぎゅっと眉をひそめた。そしていきなりリュカを抱擁してくる。
「ジ、ジーク? どうしたんだ?」
「リュカ……俺……昔のリュカに会いたい」
「え?」
ジークは両手でぎゅっとリュカの身体を抱きしめながら、リュカのこめかみに頬を押し付けた。
「昔のリュカに会って……俺が言ってやりたい。『君はすごい人間だ』って。『あなたみたいに優しい人間はいない』って」
その言葉と温かい抱擁に、とくとくとリュカの胸の鼓動が速くなる。
それと同時に、罪悪感がちくりと心臓を刺した。
自分はすごい人間でも優しい人間でもないし、自尊心だけが強い能力の低い人間だ。それに、ジークに優しくしているのは父親の命令だからだ。
そう思うと、何も言葉が出ない。
しばらくジークは鼻をすすっていたが、「よし!」と言ってリュカの身体を離した。
「決めた。俺は軍に入る。騎竜になる」
「……え?」
いきなりの宣言にリュカは面食らった。そんなリュカの顔を覗き込み、ジークは力強く言う。
「俺、強い男になるよ。リュカを守れるくらいに」
「は……?」
どうしてここで自分の名前が出てくるかはわからないが、どうやらリュカの過去を聞き心境が変わったようだ。それにしても『守る』と言われるほどに自分は情けない顔をしていたのだろうか……と微妙な気持ちになってしまった。
「何だよその顔は。嬉しくないの? 騎竜になるって言ってるんだよ?」
「それは……まあ、嬉しいが」
「そうだろ? あ、なあ。リュカって竜騎士だったんだろ? 俺が立派な騎竜になったら、竜騎士に戻ってくれよ。それで俺に乗ってくれ」
にこにこと微笑みながらジークが言う。その邪気のなさに、リュカは身体から力が抜けてしまった。
ジークが騎竜になり、自分が彼に乗る――。
それはなんだか、温かいベッドの中で見る楽しい夢のように思えた。艶やかに光る紅い鱗と大きな翼を思い出し、乗れたらどんなに気持ちがいいのだろう、とも思う。
だけど不可能だ。
自分はもう乗ることは出来ない。どんなに乗りたくとも――。
リュカは微笑み、小さく首を振った。
「悪いが……ジーク、それは出来ない。俺はもう騎竜に乗れない」
「どうして?」
「ゼノが死んでから……どうしても乗れないんだ」
騎竜に乗ろうとすると、途端に息が苦しくなり、嘔吐してしまうのだ。酷いときは気絶してしまうことさえあった。
何度挑戦しても、どんなに期間をあけてみても駄目だった。
医者にはゼノの死が心の負担になっているのだろうと説明された。
「ごめんな、だからお前には乗れない。お前にはもっといい竜騎士がパートナーになるよ。俺なんかじゃ駄目だ」
ジークは何か言おうと口を開いたが、結局難しい顔をして口を噤んだのだった。
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