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第7話
しばらくすると侍従が戻ってきて、エディからの「構わない」という言葉を受け取った。
場所は彼の執務室。いつの間にか帰っていった家族を寂しくも感じながら、時間となり、彼の執務室を訪ねる。
彼はデスクに腰掛けたまま、ジッと資料を見つめていた。
ローテーブルに用意されているお菓子には見向きもしていない。
「エディセレン公爵……エディ、様、」
「……エディで構わない。どうした」
「召し上がらないのですか。あの……甘味が好きだとお聞きして、それなら、共に召し上がれるかなと、思ったのですが」
「……誰から聞いた」
「……」
「まあいい。確かに俺は甘いものが好きだ。だが今は少し我慢している」
資料から顔を上げた彼は、困ったように眉間に皺を寄せている。
「体型に問題が出たら困る」
「え?」
「……俺は公爵ではあるが、国王陛下やこの国に何か問題があった時、剣を取らなければならない。だから……甘いものばかり食べて動きが鈍くなってはいけないのだ……」
マリアノワはその重責を感じ、この少しのお菓子ですら我慢しないといけない彼を、少し可哀想に思えた。
行儀が悪いかもしれないが、カップケーキを手に取ると、それを持って彼のすぐそばに寄る。
不思議そうに顔を上げた彼。
スカイブルーの瞳と視線が絡む。
「半分こ、しましょう?」
「……半分こ?」
「はい。それくらいなら、きっと問題ありませんよ」
そう言ってカップケーキを差し出せば、彼はおずおずと手を伸ばしてきて、すんの所で手を止めた。
「……一口食べたら、止まらない気がする」
「じゃあ私が半分に割っちゃいます」
そうして半分に割り、それを彼の口元まで持っていく。
「これって、不敬になりますか?」
「……夫夫なのだから、問題ない」
そういった彼は、マリアノワの手首を掴むと、その手にあるカップケーキに齧り付いた。
まさかの彼の行動にドキドキして、思わず一歩退く。
彼は満足そうに口元を緩めていた。
恐れられている公爵なのに、どこか子供のように見えて、マリアノワも思わずフッと表情を和らげたのだった。
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