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第24話 「全部俺のせいだった」
子どものころのヤンは、祖父に連れられて方々を転々としていたために孤独だったそうだ。が、とある村で初めて友人ができた。エドガーといい、村の石屋の息子で、彼とヤンは毎日、野山を駆け回って遊んだという。
ただどちらも気が強かったせいで喧嘩は絶えなかった。実に些細なことで小競り合い、その日もヤンはエドガーと言い争いをしたらしい。
「つまんない理由だよ。エドガーが俺との約束忘れて他の友達と沼へ遊びに行っただけ。でも俺はそれが許せなくてエドガーに突っかかったんだ。初めての友達だったから悔しくてさ。甘えもあったと思う。そしたら言われた。『お前ん家みたいななんの仕事してるかもわかんない余所者と遊ぶのもうやめるわ』って」
感情を含まぬ温度の低い声でヤンは言い、長い指をテーブルの上で組んだ。
「実際、じいちゃんは黒い仕事をしてたし、それを俺も知ってた。だから怒るのは筋違いなんだよ。隠しきれていなかったじいちゃんの落ち度。でもたったひとりの家族のことをそんなふうに言われて俺はかっとなった。で、やっちゃいけないことをした」
「なにを?」
組まれていた指にきゅっと力が籠る。しばらく黙ってからヤンは細い息とともに言った。
「エドガーに術をかけた。俺が解くまで歌を歌い続ける術」
「それは……」
そんなに大変な術には聞こえない。シリルの困惑に気づいたようにヤンは唇の端を上げる。
「大したことないって思うだろ。でも違ったんだ。翌朝、村に行って知らされた。エドガー一家が、盗賊に皆殺しになったって」
当時ヤンが住んでいた村の辺りは概ね治安はよいとされていた。とはいえ犯罪は皆無ではなかった。近隣の村々でも家に押し入って家人を襲い、金品、食糧を奪う者達がいた。そしてその夜の標的はエドガー一家だった。
――夜中に盗賊がやって来たんですって。地下室にみんなで隠れてたみたいだっていうんだけど、でも、ね、私、変な声聞いたのよ。
そう言ったのは、エドガーの家の隣に住んでいた住民だった。
――エドガーがね、ずっと歌っていたの。泣きながらずっと、ずっと。その後、悲鳴が聞こえて、それで……。
彼女はそれ以上言えなくなって泣き崩れたらしい。詳細を語られずとも、その夜、エドガーの家でなにがあったのか、シリルにもわかった。
「全部、俺のせいだった」
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