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第28話 「まだ、終わってない」
実際のところ、大丈夫だったのかというととてもそうは思えない。
寝台まで運ばれ、衣服を取り払われるところまではなんとか正気を保っていられた。けれど、素肌に素肌で触れられたとたん、わけがわからなくなった。
長い指が皮膚を探る。腕、脇腹と始まり、確かめるようになぞられるその道すがら、肌が疼く場所があった。ヤンはその疼きをすべて拾い上げる。最初は我慢していたけれど、肌がすくむ場所を何度も探られ続けるうち、耐え切れなくなってきた。
「あっ……んっ……」
唇から飛び出したのは聞いたことがないような甘く湿った声だった。聞くのが恥ずかしくて、もうやめて、と叫びたくなるような、ねっとりとした声。でもヤンの指は止まってくれない。いや、それどころか、シリルが声を漏らした箇所を彼は唇でも辿る。胸の赤みに舌を這わせ、吸い、シリルが自分の意志とは関係なく身悶えてしまってもお構いなしに。
愛情の介在しない行為であるはずなのに体が熱い。一度声を出してしまってから、彼の指に体を探られるたび、ぞくぞくと肌がさざめくようになってしまった気がする。感じたことのない触感に心が追いついず、声も止められない。なにこれ、怖い。怖いのに、力が入らなくなっていく。
助けて、と言いたくなった。が、彼は助けてくれることなく、シリルの感覚を壊した指が胸から下へ下へと下りていく。やがて、その手は足の付け根に到達した。躊躇いなく触れられて身がすくんだ。
「やっ……」
とっさに彼の手を押さえようとする。が、あっさりと阻止された。大きな手によって両手首がまとめて拘束される。振りほどく間もなく、彼のもう片方の手が下腹部に伸びてくるのがわかった。
そこが自分の想像よりもずっと熱く張りつめていることに初めて、気がついた。
だめ、と叫びかけた。けれど声を無視した手によってそれはすっぽりと包み込まれ、もみくちゃに揉まれる。乾いた掌が何度も、何度も上下にしごいてくる。掌の下で皮が動き、芯をこすられ、そのたびに頭の奥が白くなった。性器の中でなにかが浮かびあがり、突いてくる。皮の下でなにかが暴れているみたいで、怖くて、でも。
「いやっ……やっ……!」
いつもは軽口ばかりなのに、ヤンはなにも言わない。言ってくれない。拒絶の声を上げても、身をよじっても。ただ彼の手だけは明確な意志を持って。ねぶるようにシリルの中心を昂め続け、それに応じてそこはどんどん硬さを増していく。
「やだっ……もうっ……出ちゃうっ」
「いいよ。出して」
「だって、やっ、やっ、だめ! あっ……」
ほら、と促される。これまで聞いたことがない、熱っぽく、色気のある声で急かされたとたん、彼の手の中で性器が弾けてしまった。こらえきれなかった。
他人の手の中に達してしまったことが恥ずかしく、顔を隠したかったけれど、両手はヤンに捉えられたままだ。
「あ、の、放し、て。もう」
懇願すると、するり、と彼の手が手首から解ける。が、ほっとしたのも束の間だった。
「まだ、終わってない」
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