17 / 22
第17話 Side:オーウェン
「ねぇ、あの子、なんであんなに汚いの?」
通りすがりの見知らぬ子供が無遠慮にこちらを指差しながら、隣の母親に聞いているのが見えて、朦朧としかけていた意識が現実に引き戻された。
栗色の髪をした、自分と同じぐらいの年の子供だった。つまり、五歳くらい。
あたたかそうな上着を着ているけど寒さで頬は赤くなっている。ふっくらした頬の丸みからは、健康そうな様子が伝わってくる。
自分とは別の世界に生きている人間だ、と一目見てわかった。
「あの子はね、難民なの」
ファーのついたロングコートを纏った上品そうな母親は、嫌悪感を示すでもなく、当たり前のものを見るような目で子供に教えていた。
「なんみん?」
「よその国からこの国に逃げてきたのよ。この国の人間じゃないの。かわいそうね」
まったく感情のこもらない『かわいそうね』だった。
薄汚れた金髪の下のブルーグレーの瞳を閉ざし、難民の少年は、寝たふりを決め込むことにした。
すぐに親子の声は遠ざかっていった。
これから買い物だろうか。この通りの先で大きなマーケットが開かれていると聞いたから、そこに向かったのかもしれない。
マーケットではなにが売っているのだろう。
キラキラ光る飾りだろうか。美味しそうな食べ物だろうか。
食べ物のことを考えていたらお腹のあたりが物寂しく感じられたが、数日間なにも食べていない胃は、食べ物を求めることにすら疲れて、鳴るのもやめてしまっていた。
明日は、この地域で信仰されている神様の降誕祭らしい。
街は華やかに彩られ、枯れ木すらライトで飾られている。
どこかの店のスピーカーからは、ずっと賛美歌が流れている。
降誕祭の日は、難民キャンプでもいつもよりまともな食事が配られたりするのだろうか。気になったが、難民キャンプに戻る気はまったく起きなかった。
この国は、裕福とまではいかないまでも、難民には基本的に優しい。キャンプに戻れば、かろうじて餓死を免れる程度の食事は約束されていることはわかっていた。
それでもキャンプを逃げ出したのは自分の意志だ。
キャンプのリーダーは、自分が逃げ出したことをとても怒っているだろうから、戻ったら殴られるに決まっている。
逃げ出した理由は、この国の金持ち相手に体を売って金を稼いでこいと言われたからだった。
体を売るという行為が具体的にどういうものなのかはわからないが、先日、同じ目的で連れて行かれた五つ年上の女の子が、腹を引き裂かれて路上で死んでいるのを見た。どうせろくなことじゃない。
稼いだ金もリーダーに巻き上げられて自分には一銭も入ってこないだろうし、なにかいいことがあるとは思えなかった。
どうせ死ぬなら、綺麗な景色を見て、綺麗な音楽を聴きながら、一人で静かに死にたい。
漠然と、自分はもうすぐ死ぬんだろうな、という予感はあった。
最後の景色がここなら悪くはない。
目の前の通りには、家族連れがあふれていた。
さっきみたいに、母親に手を引かれた男の子。父親に抱き上げられた女の子。幼い弟と手を繋ぐ兄と、それを後ろから見守る両親。足の悪い旦那を気遣いながら歩く老婦人。恋人らしき男に腰を抱かれてはしゃぎながら歩く若い女。
彼らは時に愛の言葉を交わし、時に挨拶めいたキスで愛情を与えたり与えられたりしながら、幸福そうに人生を謳歌しているように見えた。
自分には無縁の世界だ。
自分には親も兄弟もいない。
この国に逃げてくるまでの間に死んだのか、自分を残してどこか別の場所に逃げたのかもわからない。
ただ、難民キャンプにはそういう、親を知らない孤児たちがあふれていたから、特別不幸なことではなかった。
そう、特別不幸なことなんてなにもない。
ありふれた不幸の中で、ありふれた死を迎えるだけだ。
悲しいという感覚は、痛みや空腹感とともにとっくに麻痺してしまっていた。
死んで生まれ変わったら、自分も『あちら側』に行けるだろうか。当たり前みたいに手を繋いでくれて、当たり前みたいに愛情を向けてくれる家族を得られるだろうか。
「……これ、よかったら」
おそるおそる近づいてきた老婆が、掌に、紙切れのようなものを握らせてきた。
よく見たら、紙幣だった。
ぼんやりとしていた意識が少しばかり明瞭になって、ハッとするのには時間が必要だった。
気づいた時には老婆はとっくに離れたところにいて、視線に気づくと、にこやかに手を振ってきた。
背の曲がった老婆に連れはいないらしく、ひとりきりだった。
上品な格好をして、いい匂いをしたから、難民仲間ではない。この国の人間だろう。
手に入れた紙幣を、急いでポケットに突っ込んで、のろのろと立ち上がった。難民仲間に見られていたら、奪われるに決まっているからだ。
この紙切れ一枚に、どれだけの価値があるのかはわからない。なにが買えるのかもわからない。
でも、金があるということは、マーケットに行けるということだ。
一生に一度だろうから、行ってみようと思い立った。
靴は履いていない。
もともと、サイズの合わないぶかぶかの靴しか与えられていなかった。キャンプから逃げる際に脱げてしまって、それっきりだ。
長いこと寒い中で剥き出しになっていた足は凍傷になりかけているのか、変色を始めていて、一歩踏み出すだけで痛みが走った。
それでもまだ動く。歩ける。生きている。
みすぼらしい子供が歩いていくのを見た周囲の人々は、眉をひそめ、道を空けてくれた。
マーケットの会場に近づくと、いい匂いがただよってきた。
「わぁ……!」
近くにいた子供が父親の手を離して駆け出す。
キラキラ光るアーチ状の入り口をくぐり抜けると、眩しい光が、視界のあちこちに散らばっていた。
まだ昼間だというのに、どの店も、光に彩られていた。
いろんな食べ物が売っていた。可愛い小物も売っていた。綺麗な飾りも売っていた。誰もが笑顔で歩いていて、夢のような世界だった。
ただ歩いているだけで心が満たされる。こんな場所も存在するのだと、はじめて知った。
いつまでも歩き回っていたいぐらいだったけど、足が痛くて長くは耐えられそうにない。
悩んだ末に、カップケーキの店に近づいた。
「これでなにか買える?」
さっきもらったお札を見せて聞く。
薄汚い子供の姿に、太った中年の店主の男が一瞬だけ渋い顔を見せたが、すぐに営業スマイルを浮かべた。
「ひとつだけなら、なんでも買えるよ。好きなもの選んでいきな」
好きなものを選んでいいなんて、魔法の言葉のようだ。
おそるおそる、星の飾りが乗った白いカップケーキを指差した。
「これがいい」
「おう。待ってな」
店主のおじさんは、細かいお釣りまでごまかすことなく渡してくれた。
それから、カップケーキと一緒に、レジの横にあった小さなツリーにぶら下がっていた雪だるまの飾りを外して渡してくれた。
赤いマフラーを巻いて頭に水色の帽子を乗せ、黄色のプレゼントの包みを持った格好の、かわいらしい雪だるまだった。
「きみに幸福が訪れますように」
「……ありがとう」
頭を下げると、おじさんは手を振って見送ってくれた。
少しだけ、浮かれていた。
どこか目立たない場所でこっそり食べようかと思っていたのに、まわりの人たちの浮かれ具合につられて、大きなツリーを中心に配置されたベンチのひとつに腰をおろしていた。
長いこと空っぽの状態に慣れていた胃は、突然のご馳走に驚いて痙攣を起こしたが、今まで食べたことのない甘さに、舌は幸福感に満たされた。
まるで幸福そのものを食べているようだ。
食べ終わってなくなってしまうのがもったいなくて、ちびちびと少しずつ食べた。
時折、膝の上に乗せた雪だるまの飾りを見る。
この雪だるまが持っているプレゼントの中には、なにが入っているんだろう。
もちろん、しょせんは飾りなので、中身は空っぽか、あるいはプラスチックが詰まっているに決まっている。けれど、ありもしない想像に、わくわくした。
とうとう空になった容器のクリームを舐めていると、唐突に、隣に誰かが座ってきた。
「これ、食べるかい?」
差し出された丸いカップには、小さい骨付きチキンがいくつか入っていた。
さっき、買おうか迷って、結局買わなかったものだ。
隣に座った人物の顔を見る。
スーツの上に黒いコートを羽織った、人の良さそうなおじさんだった。
反射的にチキンに手を伸ばしそうになって、途中で思いとどまって手をぎゅっと握りしめる。
「いらない」
不満そうに腹は鳴ったが、意志を覆すつもりはなく、素早く立ち上がった。
このおじさんは見たこともない人だが、なんとなく、こういう人には近づいてはいけないとわかった。
多分、難民の子供を攫ってどこかに売り飛ばす仕事をしている人間だ。
同じキャンプにいた子供も、こういう感じのおじさんに連れていかれて、戻ってこなかった。
たまたま目撃したことを大人に告げたら、『あれは人身売買組織の連中だ』と言っていた。
振り返りもせず、必死で逃げた。
しかし、凍傷になりかけた足では走ることもままならず、すぐに追いつかれた。
「こらこら、ダメだよ、急に走ったら危ないじゃないか」
襟元を掴まれながら、妙に甘ったるい猫なで声で言われてぞっとする。
本性をまだ現さないのは、ここがマーケットの片隅で、周囲には多くの平和そうな一般市民がいるからだとわかった。
「……た」
助けて、と声をあげそうになったけど、喉が詰まって、言葉にならなかった。
男に暴力をふるわれたからではない。
誰も助けてくれるわけないだろう、と我に返ったからだ。
この国の人たちは温厚で優しい人が多いが、自らの身に火の粉がかかろうとするのを常に避けている。
自分が傷つかない範囲で可哀想な人間に施しを与えてくれることはあっても、それ以上踏み込んでくることは決してないのだ。
結局、目の前にいるたくさんの人々に助けを求めることもできないまま、薄暗い路地に引きずられていった。
差し出されたチキンは、男が自ら食べていた。
骨についていた肉を咀嚼してしまうと、骨がバラバラと地面に落とされる。
「よく見りゃ、きれーな顔してるじゃねーか。汚れを落としたら金髪もいい色になりそうだ。おとなしく言うことを聞けるようになれば、戦地には送られずにすむかもな」
「戦地……?」
「戦場だよ。兵隊として戦うんだ」
そっちの方がよっぽどマシだろう、と思ったが、口にはせずに、目の前に落ちたチキンの骨をじっと眺めていた。
食べるところがなくなったのにまだいい匂いがする。
難民キャンプでよく配られる味の薄いスープにでも入れて煮込んだら味が出るだろうか、とぼんやり考えた。
「食いたいか?」
最後に残った一本を目の前にちらつかせられる。
「もうすぐ車がくる。おとなしく乗り込んでくれたら、くれてやる」
ニヤニヤとした嫌な笑いだった。
答えずに、にこりとだけ笑った。
この笑い方をすると、たいていの相手は、一瞬だけ意識を奪われたような顔になる。
今度の相手も、例外ではなかったようだ。
魔法がとける前に、落ちた骨を掴んで、男の顔面に投げつけた。
「……んなぁ……っ!?」
続いて、股間を思いきり蹴りつける。
痛みに呻く男を置いて、一目散に駆け出した。
不思議だ。
死にかけていたはずの足が、ちゃんと動く。
痛いけど、それ以上に必死で、痛みを気にしている余裕もなかった。
家と家の細い隙間をくぐり抜けて、ある程度距離を移動してから、ゴミ箱の影に身を潜める。
はぁはぁと肩で息をした。
気づいたら足の裏が真っ赤に腫れていて、ガラスでも踏んだのか、血が出ていた。
その血が地面に点々と跡を残し、自分の居場所を教える道しるべになっていることに気づいた。
一気に頭から血の気が引く。
ほとんどボロ切れ同然の服で足の裏の血を拭って、近くのビルにある錆び付いた非常階段を駆け上がる。
しかし、足はさっきよりも重く、思うように動かない。
二階部分にたどり着く前に、足を踏み外して転がり落ちた。
落ちた拍子に、なにか硬いものに頭を打ちつけた。
痛い。物凄く痛い。
こんなかたちで死ぬんだとしたら、間抜けすぎる。
でも、汚い大人の手にかかって死ぬよりはマシかもしれない。
遠のいていく意識の中で、そんなことを思った。
向かい側の店のドアが開いたのはその時だ。
おそらく、物音が気になって様子を見にきたのだろう。痩せこけた老人が、こちらを見て、あからさまに顔をしかめた。
「あっちから変な音がしたぞ。話していたガキか?」
「わからない。でも、血痕はこの先に続いている。行ってみよう」
荒々しい足音とともに、二人の男の声が聞こえてきた。
一人は、さっきの人さらいの男だ。まずい。人数が増えている。
チッという舌打ちをしてから、老人がこちらに近づいてきた。
「入れ」
しゃがれた低い声が、ぼそりと告げる。
細い腕のわりに力は意外とあり、ひょいと持ち上げられて、店の中に連れて行かれる。
その建物の外観は、古い喫茶店のようだったが、中に客用の席やカウンターらしきものはなく、普通の家のようだった。
「いないぞ」
「おっかしいなぁ」
「もう少し探してみるか?」
「いや……いい。せっかくの上物だったが、かわりはいくらでもいるしな」
ドアの向こうで話す声が聞こえてくる。
ほっとしていいのかますます恐怖していいのかわからずに、おそるおそる老人の顔色を窺う。
お世辞にも人がよさそうとは言えない雰囲気の老人だった。
頭髪は真っ白で、肩ぐらいまで伸ばしっぱなしになっている。おまけにボサボサだ。
顔には深い皺が刻まれ、たれた目蓋の奥の眼光は鋭い。
「頭部の出血がひどいな。右脚も折れている。両足とも凍傷になりかけているじゃないか。腹の痣はたいしたことなさそうだが、ひどい栄養失調のようだな」
もはや抵抗する気力もなくおとなしくしていたら、老人は医者のように診察を始めていた。
とりあえず、危害を加えてくる気はないようだ。
「親は?」
首を横に振ると、老人は、ただでさえ険しい顔をさらに険しくさせる。
「孤児か?」
「……難民だよ」
隠してもしょうがないので正直に答えると、老人は、はーっと深いため息をついた。
「どこの国からきた?」
「わからない」
「……そうか」
ソファに座らされたあと、老人は黙々と頭の手当てを始める。
「ごめんなさい。ぼく、お金、持ってない」
カップケーキのお釣りは、裏路地に連れていかれた時に奪い取られたから、今は手元にない。
雪だるまの飾りは取られていなかったはずだが、気づいたらポケットからなくなっていた。逃げている最中に、どこかで落したのだろう。
「見ればわかる」
「治ったら、ぼくをどこかに売る……?」
老人がじろりとこちらを睨んできた。
「俺の見立てでは、おまえはこのままだと、あと二、三日もしないうちに死ぬ。必要な処置をすればいくらか寿命は延ばせそうだが、治療費の方が高くつきそうだな」
「そっか……」
もはや、売る価値もなくなったということか。
驚きも、悲しみもなかった。
ようやくその時がきたか、という気さえした。
「死にたくない、とは言わないんだな」
「人はみんな、いつか死ぬから」
難民キャンプで、いつも世話をしてくれていた老婆がよく言っていたことだ。その老婆も、三ヶ月ほど前に病気で亡くなった。
「……おまえ、名前は?」
「なまえ?」
さっきから、頭がずっとぼんやりしている。
頭を打ったせいだろうか。それとも、この部屋が外とは違って暖かすぎるせいだろうか。
「なんと呼ばれていたんだ」
「……難民」
「……他の難民連中からは?」
「ガキ」
「他には?」
「金髪のガキ」
「……それ以外に、なにかないのか?」
「ゴミ」
あの老婆だけは、『ぼうや』と優しい声で呼んでくれていた。でもあの声は、もう二度と聞けないのだ。
「名前、ないのか」
そうかもしれない。自分は最初から、何者でもなかったのかもしれない。
頭に包帯を巻き終えた老人は困ったように周囲を見回す。
そして、テーブルの上におもむろに置かれている本に目を留める。白地に金の刺繍が入った、綺麗な本だった。
「オーウェン」
「……?」
「あの本の作者の名前だ。俺の好きな作家の一人だ。おまえに、オーウェンと名付けてやろう」
「なまえ……」
妙な気分だ。今まで全然、聞いたこともないような単語。それが自分の名前だと言われても、ピンとこない。
「気に入らないか?」
「……気に入ったよ」
カッコよすぎて、自分にはきっと似合わない。
でもそう呼ばれるのは、悪くない気がした。
「ぼくが死んだら、墓を作って、その名前を刻んでくれる? 木の板に名前を書くだけでも、いいからさ」
ちゃんと埋葬してもらえるのは幸福なことだ。
野ざらしのまま放置され獣に食われ、腐敗してゆく仲間の死体を、いくつも見てきた。
死ぬのは怖くない。ただ、あんなふうに惨めに晒されるのだけは嫌だった。
「……もし、魔法の薬があって、死にかけた体を健康に戻すことができるかもしれないと言われたら、どうする?」
「高いんでしょう? その薬。ぼくにはとても買えないよ」
「金はかからない。ただ、その薬は臨床試験前のもので、安全性が確認できていない。下手したら、体に入れた途端、即死してしまうかもしれない」
臨床試験がなにを意味するのかを、オーウェンと名付けられた子供は知らなかった。
ただ、語りかけてくる老人の目があまりにも真剣で、お伽噺を聞かされているわけではないことだけはわかった。
「おじいさんはお医者さんなの?」
「医療のことはよく知っているが、医者ではないな。学者だ。『だった』と言うべきなのが正確なところだが」
「ふうん。いろいろあるんだね」
話している間にも、意識はどんどんぼんやりしていく。
なんだかとても眠かった。
一度寝てしまったらもう二度と目覚められないような気もしたが、それでもかまわないと思えるほどに眠かった。
「……オレは、慈善事業は嫌いだ。ただで人を救おうとするような善人じゃない。だが、俺も老い先長くはないだろう。自分が長年研究してきたことの成果を確かめたい。……成功するという保証はできないが、それでもよければ、おまえを救えるかもしれない薬を投与しよう」
この状況で、ずいぶん都合のいい話だと、オーウェンは笑った。
「いいよ……ぼくの命に、少しでも価値があるのなら、使えばいい……」
消え入りそうな声で答える。
他人の道具にされるぐらいなら死んだ方がマシだと思っていた。
だけど、この老人は自分に名前をくれたから、薬の実験台になるぐらい許してやってもいいと思えた。
それに、断ってもどうせ死ぬのだ。
外に放り出されて、さっきの人身売買組織のやつに拾われたりしたらもっと最悪だ。
「いったん……ねていい……?」
指先にも目蓋にも力が入らなくなってきた。
意識を保てたのは、そこまでだった。
ともだちにシェアしよう!

