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拝啓、愛しのキミヘ。匿名だから許してください。

◇  大真と慧司は、保育園からずっと一緒で、家族のように育ってきた。  漫画やアニメでよく描かれている、親同士が幼なじみで、隣の家に住んでいて、窓からお互いの部屋に行き来できるようなレベルではないけれど。  それでも家からたった数分の場所に住んでいた慧司のことを、大真はとても近くに感じていた。  公園の砂場遊びから始まり、サッカーやドッジボールもした。  年齢が上がると外で遊ばなくなり、どちらかの部屋で漫画を読んだり、流行りのゲームをして過ごしていた。  室内で二人で遊ぶことが増えた中学あたりから、大真は慧司への特別な気持ちが芽生えたように思う。  初めは、人との交流の幅が広がる中で、慧司を一番知っているのは俺だ、仲が良いのは俺だと、ただ友達を独占したいだけの気持ちかと思っていたけれど、慧司に彼女ができたときの自分の異常な落ち込み方で、大真は彼への好意に気づいた。 「彼女ができても、お前と過ごす時間は減らないよ。お前との時間が必要だからさ」  そう言って笑っていた慧司は、その言葉通り、彼女と下校したり、休日にどこかへ出掛けていても、必ず大真との時間を作り、一緒に過ごしてくれていた。  そんな慧司の配慮のおかげで、二人で過ごす時間が大きく変わることはなかった。  それでも、慧司が親しみを込めて彼女の名前を呼ぶことも、ごつごつとした男らしいその手で彼女の手を握ることも、広い背中に触れることを彼女に許していることも、大真は全てが嫌で嫌でたまらなかった。  慧司が最初の彼女と別れたとき、大真はガッツポーズをして喜んだ。  共通の友人から、慧司ではなく彼女のほうから振ったと聞いたが、慧司が落ち込んでいる様子はなく、むしろ彼女が振られたように見えた。    慧司も彼なりに彼女のことを大切にしていたはずなのに、直後もカラッとしていて、しばらく「本当に別れたんだよな?」と思わず大真が何度か確認するほどだった。  相手に対して、それくらいの気持ちだったのか? それならどうして、わざわざ付き合ったりなんかしたんだよと、大真はそんな疑問を抱きながら日々を過ごしていた。  けれどそんな大真をよそに、慧司はすぐにまた、別の女の子と付き合い始めた。 「慧司お前、また彼女ができたらしいな?」 「もうヤッたのか?」  下品な話題で友人らが盛り上がる中、「ははっ、どうだろうな」と笑う慧司のことが大真は大嫌いだった。  「そんな話をするなよ」と愚痴れば、周りの奴らに「童貞の僻みが」と揶揄われた。  慧司はそれに同調することはなく、その度に何を考えているのか分からない表情で大真のことを見つめていた。  高校生になると、慧司は今まで以上にモテるようになった。顔が整っているだけではなく、さらに身長が伸び、体格が良くなったからだ。  所属しているバスケ部にまで学年クラス問わず女子が押し寄せ、黄色い声援を浴びせていた。  誰かと別れては付き合うことを繰り返し、慧司の隣にはいつも彼女がいた。  それでも大真と過ごすための時間を作り続ける慧司に、大真はイライラが抑えられなくなっていった。  

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