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キミへの気持ちは手紙にのせるから、覚悟して受け取って。
◇
夏休みになって二週間、大生は家と部活動の往復ばかりしていた。
外は蝉の声で毎日うるさい。夏を感じたくて外に出ようとしたら、一瞬で蒸されそうな暑さだ。
大生は部活動に行く以外は、積極的に外に出る気にならなかった。
クラスの友人たちとも、部活動の帰りにカラオケに行くくらいしかしていない。
(いつか先輩とプールに行きたいな)
今年が難しいのは分かっている。
大生はベッドに寝転び、いつか行けるかもしれない先輩とのデートプランを考えていた。
“高校生 先輩とデート”
「ふふ……」
一人で妄想するだけでも楽しい。
しばらく画面を見つめていると、メッセージの通知が来た。
名前を確認しなくとも、アイコンですぐに祥太郎からだと分かった。
メッセージのやりとりを頻繁にしていたわけではない。でも、連絡が来ない間も、大生は祥太郎とのトーク履歴ばかり見ていた。
だから昨日に、アイスのあたり棒の写真になったことを知っていた。
『なかなか会えなくてごめんな』
『一緒に図書館に行こう』
『遊べないけど、それでもいい?』
最後に、ごめんねと頭を下げた猫のスタンプが送られていた。
(何だっていい……! 久しぶりに会えるんだから!)
大生はメッセージを読み終えると、スマホを天井に掲げた。
本当はもっと会えるんじゃないかと期待もあった。でも、先輩は塾の夏期講習で忙しかったらしい。
夏休みに入る着前に、祥太郎から謝罪の連絡をもらっていた。それもあって、大生は自分からは連絡しなかった。学校の課題に、塾の課題、それから受験勉強、想像するだけで嫌になる。
忙しすぎて、この夏はもう会えないかもしれないと思っていた。
だから、『図書館に行こう』の一文だけで胸がいっぱいになる。
『ありがとうございます。楽しみです!』
たったこれだけの返信のために、大生は返信するタイミング、最後に使うスタンプをどうするか悩んだ。
ようやく送り終えたと思ったら、今度は着て行く服を選ばなければならない。
(……デート、だもんね)
先輩と私服で会う機会は多くないからこそ、どんな服装で来るか楽しみだった。あわよくば、先輩も僕の服装も楽しみにしていてくれないかな。
クローゼットを開け、衣替えしたばかりの服を引き出しから全て出した。
先輩の部屋は落ち着いた色ばかりだった。だから服も、きっとそんな感じなんだろう。
幸い、大生もシンプルな服装が好きだから、どれを着て行ってもハズレにはならなさそうだ。
何となく先輩はデニムを履いてくる気がする。
大生はボトムスを、タックワイドデニムパンツにした。暑い夏にぴったりな、爽やかなライトブルーにする。
ベルトは黒色のレザーベルトにした。
トップスもシンプルなものがいい。
オーバーサイズのTシャツを何枚かベッドに並べ、その中からオフホワイトを選んだ。
着て行く服が決まると、そこに帽子とキルティングショルダーバッグも添えてみた。
シンプルだけど可愛らしいコーデを見て、さらに楽しみが増した。
(でも、さすがに張り切りすぎかも……)
大生は帽子をやめて、バッグも黒色のリュックに変更した。
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