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キミへの気持ちは手紙にのせるから、覚悟して受け取って。

 祥太郎とデートの当日。大生は朝からそわそわしていた。  午前中の部活動を終えると、急いで自宅に戻りシャワーを浴びた。  デートだと思うと、意味のないことでも頑張りたくなってしまう。 (一回くらい、バレないよね……)  自分の大容量の安い化粧水はやめて、母親の高そうな化粧水を顔に塗った。  何となく肌が柔らかくなった気がした。  髪を乾かし、ワックスで軽く整える。  それから決めていた服に着替え、玄関の鏡で最後に変じゃないかチェックした。   「祥太郎先輩!」  大生は祥太郎の姿を見つけると、思わず大きな声で名前を呼んだ。  まさか先輩のほうが先に来ているなんて。待ち合わせ時間より早く着きたくて、急いで来たのに。 「大生!」  大生に気づいた先輩が、遠くから手を振ってくれた。 (あ……やっぱり……!)  シンプルなコーデにして正解だった。  先輩は、モカベージュのワイドTシャツに、デニムパンツを合わせていた。  普段は制服しか見ていないから、私服姿にドキドキする。  しかも会うのは久しぶりだ。だからかな、かっこよさが三割増しだ。  段々と先輩との距離が縮まっていく。大生も笑顔で手を振り返した。  祥太郎まで残り数メートル。 「おいで!」  祥太郎は両手を大きく広げた。 「え?」 (まさか、ここでハグ……?)  大生は足を止め、顔の前で手でバツを作った。さすがにここではダメだよと、首も横に振る。    図書館前には、ちらほらと人が歩いていた。目の前の道路には、信号待ちの車もいる。   学校でハグをして、響先輩に見られるのとはまた違う。  足を止めたままの大生を見ても、先輩はニカッと笑っている。それどころか、両手を広げたまま飛びついてきた。 「う……わ、あ!」  突然のことに驚き、大生は後ろにバランスを崩しそうになった。それを、倒れないように祥太郎が支える。   「だ〜い〜、久しぶり〜!」  背中に回された大きな手の感触が、あまりにも強かった。  久しぶりの先輩。大好きな匂いとその温もりに、思わず息を止めた。  心臓だけが勝手に暴れている。 「ん〜! 大生の匂いだ〜!」 「先輩……! 僕、汗かいてるから嫌だ……! やめてください……」  シャワーを浴びてきたとはいえ、少しでも外にいたらすぐに汗をかいてしまう。   「汗〜?」    祥太郎は大生の首筋をスンスンと嗅いだ。それだけで終わればまだマシだったかもしれない。先輩は最後に、すう〜! と大きく吸い込んだ。  大生が思わず身を捩ると、先輩は満足そうに笑う。 「汗の匂いしないよ?」 「そういうことじゃなくて……」 「すう……」 「だから嗅がないでって……!」  大生はとにかく離してほしかった。  触れられて嬉しい気持ちよりも、自分の汗の匂いが気になって仕方がない。  先輩の背中を手のひらでバシバシ叩いた。けれど、叩くくらいでは、先輩はハグをやめる気がないようだ。 (恥ずかしい……!)  とはいえ、力は祥太郎のほうが強い。大生は無理やり引き剥がすことができなかった。  諦めてされるがままにしていると、すぐ近くに人の気配を感じた。

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