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キミへの気持ちは手紙にのせるから、覚悟して受け取って。
(絶対誰かに見られてる……!)
「ふふっ、可愛い兄弟」
大生が思った通り、通行人の女性に見られていた。
どうやら、兄弟と思われたようだ。
祥太郎と大生は、頭一つ分くらいの身長差があった。加えて、大生は祥太郎の腕の中にすっぽりおさまるくらい小柄だ。
「先輩、さすがに離してください」
大生は、頭でぐりぐりと祥太郎の胸元を押した。それでも先輩は、なかなか離れてくれない。
あげく、首に顔を埋められる。鼻息が首筋に触れ、くすぐったい。
「大生は俺に会いたくなかったの?」
耳元で囁かれ、大生の体温がさらに上がった。
(そういうの、ズルい……)
周囲は、近づいたり遠ざかったりする足音や、人の声で騒がしかった。
そんな場所で男二人が抱き合っていたら目立つに違いない。
でももう、そんなことを気にしている余裕はなかった。あっという間に先輩のペースに飲み込まれてしまう。
「大生、会いたかった?」
「……会いたかったです。……けど」
「けど?」
「……これは、ちょっと……違う」
「ん? 違うの?」
ん? と尋ねる声が、あまりにも優しかった。それに心臓がぎゅうっと潰されそう。
祥太郎は大生の髪に指を入れると、くしゃくしゃと撫でた。
指先まで優しい。
「違わないけど……、違う……うーん……、先輩、困らせないで……」
「はは、ごめんごめん」
真っ黒な視界の中で、大生はいっぱいいっぱいだった。
抱きしめられるのは嫌じゃない。久しぶりの先輩の体温には安心する。ここが図書館前じゃなければ、もっと触ってほしいくらいだ。
でも、外だし、人の視線は気になる。それに何より、暑さと先輩のハグのせいで、汗が止まらない。
「うう、もう無理ですう……」
もう一度背中をバシバシ叩いた。
最後にもう少しと、祥太郎は五秒カウントを始めた。
早く離して欲しかったのに、先輩のそのあのときと同じ粘り方には笑うしかない。
ようやく解放されて顔を上げると、夏の日差しが一気に目に飛び込んできた。
(眩しい……!)
強く感じるその光に、一瞬だけ目を細めた。ゆっくりと目を開くと、すぐそこに先輩の顔があった。
「大生が可愛すぎていじめちゃった」
「……そうやって言えば、許されるわけじゃないですからね」
暑いし、恥ずかしいことをしていたのに、祥太郎の表情は普段と変わらない。
祥太郎だけ、何事もなかったみたいだった。
大生は、それが気に入らず、トンッと祥太郎の胸を両手で押した。
眉間に皺を寄せ、いー! と歯を見せた。
「何その可愛い威嚇顔」
「……むっ」
やっぱり先輩は、楽しそうに笑うだけだった。
大生と違って余裕がありそう。
「僕もう先に行きますから……!」
大生はリュックの肩紐に手をかけ、握りしめた。祥太郎に背を向け、スタスタと入り口に向かって歩く。
「大生〜? 怒んないで〜」
背後から、先輩が走ってくる音が聞こえた。
自動ドアが開いたタイミングで追いついた祥太郎に、大生はわしゃわしゃと頭を撫でられた。
「今からあんまり話せなくなるからね」
先輩は、シー! と人差し指を口元に当てた。
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