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キミへの気持ちは手紙にのせるから、覚悟して受け取って。
「祥太郎、またやってんの? 後輩に甘えるなんて、どっちが先輩か分からんて」
「……いて!」
頭上から聞こえてきた声に、大生は思わず顔を上げた。声をかけてきたその人物が誰なのかを知る前に、祥太郎が頭を叩かれているのが見えた。
また、と言われるということは、前回先輩の教室に来たときのハグも見られていたのかもしれない。
そのとき揶揄われてなかったとしても、やっぱり誰かには見られているんだ。
改めて考えると、大生は恥ずかしい気持ちになった。
(この人は、先輩と仲良しなのかな)
大生は視線だけ動かして、声をかけてきたその人を見た。
祥太郎より背が高いけれど、威圧感はない。きっと何かの部活動に入っていたのだろう。髪は短く切り揃えられていて、少しだけ肌も焼けていた。
目尻がやや下がっていて、柔らかい。だから親しみやすい雰囲気があるのだろうか。
大生は祥太郎の腕の中から、しばらくその人を観察していた。
「……ん?」
大生の視線に気づいてか、その人は祥太郎の肩越しに大生の顔を覗き込んだ。
見られていたことに気づかれた戸惑いと、じっと見つめてごめんなさいの気持ちで、大生は俯いた。
「祥太郎、いい加減離してやれよ」
「響、うるさーい」
響、という名前なのか。
先輩は、うるさいと言いながらも、その声は柔らかく、二人の関係性が何となく見えた。
「うるさいのはお前」
響と呼ばれたその人が、祥太郎を肘でつついた。それにやり返そうとしたようで、大生の背中に回されていた祥太郎の手が、一瞬緩む。
(……あ、離れちゃう)
大生は、誰かに見られる恥ずかしさや気まずさより、今は先輩の手が離れてしまうことのほうが嫌だった。
離れないでと、先輩の背中に回した手に力を込める。
それに気づいた祥太郎が、離しかけた手を戻した。
「いつまでもそうしてたら、ダイちゃんが可哀想だよ」
(別に、可哀想じゃないもん……)
離してほしくないという自分の気持ちに先輩が気づいてくれたことが嬉しかったのに、響先輩のせいでまた離れてしまうかも。
大生は、先輩のシャツをぎゅっと掴んだ。
「いいの! こうすることが俺の癒しなの!」
けれど、先輩は大生を抱きしめるのをやめるどころか、さらに力を込めた。
離す気なんかこれっぽちもないみたい。大生はたまらなく嬉しくなった。
響先輩は観客だ。僕たちのステージの邪魔をしないで。
いつの間にか大胆になった自分に、大生は驚いた。
(いいんだ……! ちょっと恥ずかしかったって、先輩が一緒だもん……)
大生がふふと笑っていると、「ダイちゃん、なんか笑ってる」と響の声がした。
そういえば、どうして僕の名前を知っているのだろう。
大生は、過去に響を見かけた記憶も、祥太郎を通じて話した記憶もなかった。まして、自己紹介をしたことだってない。
それなのに、当たり前のように自分の名前を呼ぶ響に戸惑った。
「名前……」
「ああ、どうして知ってるかって?」
大生の顔を見て、響は聞きたいことを察してくれたようだった。
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