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キミへの気持ちは手紙にのせるから、覚悟して受け取って。
「祥太郎が毎日ダイちゃんの話をしているからね」
「ま、毎日……!?」
そんなに話題になるような何かが、僕にあったっけ? と、大生は不安になった。
今日でいえば、「後輩に勉強を教える日なんだよね」と話に挙がってもおかしくない。
でも、会わない曜日にまで話すことなんてないはずなのに。
(悪口……じゃないよね……?)
大生は、下唇を噛み、眉を垂らして祥太郎を見つめた。
「ん? どうした?」
「……毎日、何の話をしてるんですか?」
「え? 可愛いって話」
先輩は、大生の問いに何の迷いもなく答えた。
大生の垂れたままの眉を、祥太郎が指でグリグリと押した。
大生が思わず目を瞑ると、今度は瞼に触れられた。
(可愛いって、何……? 何が……?)
ぬいぐるみ的な存在として可愛いと話すにしても、話題に限界があるのでは?
さっきまで眉を垂らしていた大生の眉間に、今度は皺が寄った。
嫌なことは何も言われていないのに、具体的な内容が想像できないからか素直に受け取りにくい。
ただ、先輩がそう言うなら、本当に何かしらの可愛いという話をしていると信じたい気持ちもあった。
「ダイちゃん、無理してない? 祥太郎からのハグ」
響に声をかけられ、大生は顔を上げて響を見た。
「……いや、僕も癒しなんで大丈夫です」
本当に心から大丈夫ですの気持ちを込めて、大生は響をじーっと見つめた。
響は一瞬目を丸くしたあと、「はは!」と大きく笑う。
「そっか、そうなんだ。祥太郎、良かったな。ダイちゃんて、可愛くて良い子じゃん」
「だからいつも言ってるじゃん。惚れるなよ。大生は俺のだからな」
「惚れるかよ」
二人がやりとりしているのを見ながら、大生は恥ずかしさでいっぱいになった。
誰かに見られて恥ずかしいとか、もはやそういう次元ではない。
“大生は俺のだから”と言った先輩の言葉が、何度も頭の中で繰り返されている。
まるで、特別だと言われたような気になった。
(どうしよう……、身体が熱い……! 顔から湯気が出そうだ)
「あれ、大生ってば顔が真っ赤じゃん」
祥太郎に指摘され、大生は勢いよく離れた。
さっきまではあれだけ離れたくないと思っていたのに、今はとにかく顔を見られたくない。
「抱きつきすぎて、ちょっと暑くなったんです……!」
必死に言い訳すると、祥太郎は「そっかそっか」と笑っていた。ハグのせいだと疑っていないような笑顔だ。
その隣にいる響だけは、全て分かっていそうな顔をしていた。
「ダイちゃん、じゃあね」
「……あ、はい」
響に手を振られ、大生はぺこりと頭を下げた。
「大生」
「はい?」
大生が返事をすると同時に、後ろから祥太郎に抱きしめられた。
「響のこと、どう思う?」
「どうって……? ええと、祥太郎先輩と仲良しなんだなって思いました……?」
聞かれていることの意図が分からない大生は、頭にクエスチョンを浮かべながら答える。
「そっか。まあ仲は良いんだけどね」
「そう見えましたよ」
「あーあ、あいつが大生を狙ったらどうしよ」
「……狙う? よく分かりませんが、ないですよ」
(ありえないのに期待しちゃう……)
大生は、窓のほうへと顔を向けた。
心地よい風が入ってきている。せめて少しだけでもこの頬の熱を冷ましてくれないかな。
「先輩、いつまでこうしてますか……?」
「死ぬまで」
「それは、さすがにふざけすぎです」
じゃああと五秒! と言い、先輩は声に出してカウントを始めた。
「えっ……、ふふ」
大生は祥太郎のこういう子どもっぽいところも好きだった。
結局残り一秒が、実際は十秒くらいになっていて、祥太郎は満足そうにしている。
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