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キミへの気持ちは手紙にのせるから、覚悟して受け取って。

「大生、お前って可愛くて良いやつだな」    先輩はそう言うと、大生の頭を優しく撫でた。その目があまりにも優しい。  そんなことはないですと、大生が返事をしようとしたとき、祥太郎は大生にキスをした。 「えっ」 「準備してくるから待ってて」 「……っ、」  祥太郎は、何事もなかったように教室へ戻り、教科書を鞄に詰め始めた。自分がしたことを特に気にしている様子もなく、クラスメイトに挨拶をしている。  頬に残った先輩の唇の感触と、はっきりと聞こえたリップ音に、ようやくおさまりかけていた熱が再び身体中を巡っていく。  顔だけじゃない。今度こそ全身から湯気が出そうだ。 「なん、で……」  もう、窓からの風だけではどうにもできない。  大生は、自分でも風を起こそうと、制服の襟元をパタパタと引っ張った。   「さすがに響とふざけすぎたかも。時間が短くなってごめんな」  昇降口を出たところで祥太郎に謝られた。五時をとうに過ぎても、外はまだ明るいから、ついつい時間を忘れてしまう。 「……だ、大丈夫です!」    祥太郎に会うまでは早く二人になりたいと思っていた大生も、今はそれどころではなかった。  先輩に何気なくされた頬へのキスが忘れられない。  関係のないことを考えて気を紛らわせていないと、全身を巡っていたあの熱が、すぐにでも戻ってきてしまいそうだった。  校門付近には、たくさんの生徒がいた。横に並んで自転車を押していたり、鬼ごっこでもしているのか走り回っている人もいたり。  顔を上げて歩かないと、いつか誰かにぶつかりそうだ。  そう思いながらも、大生はまともに顔を上げられないでいた。    これまで数え切れないくらいのハグはあったけれど、キスをされたことは初めてだった。キスと言ってもただのほっぺじゃんと言われれば確かにその程度だ。  でも誰とも付き合ったことがない大生からすると、頬であっても特別に思えてしまう。 (だって、ハグとキスって全然違うもん……) 「大生、危ない」 「……あっ」  考え事をしながら歩いていた大生は、騒いでいる男子の集団にぶつかりそうになっていた。  肩を抱いて引き寄せてくれた先輩に助けられる。 「前見て歩かないと危ないぞ」 「……はい」 「まだ顔が赤いけど、大丈夫? 熱中症か?」 「いや、大丈夫です。ただ外が暑いだけで……!」 「まあ最近暑いもんな! 俺の家に着いたら、クーラーをガンガン効かせてやるからな」 「ありがとうございます……」 (クーラーつけてもらっても顔は赤いままかも……)  大生は、できるだけ日陰を歩いた。

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