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キミへの気持ちは手紙にのせるから、覚悟して受け取って。
「そういえば先輩、僕に勉強教えるの、負担じゃないですか? 夏だし、本格的に受験勉強が始まりますよね……」
大生は、勉強のお礼にと買ったチョコレートのポッキーを箱から出しながら、ふとそんなことを聞いた。
これで教えている暇はないと返されたら、すごくすごく悲しいし申し訳ない。けれど、自分のせいで、先輩の進路に響くようなことがあってほしくはないから、どう思われているのかを正直に知りたかった。
大生の質問に、祥太郎はテーブルに肘をつきながらニカッと笑った。
先輩は普段からよく笑うけれど、大生はこの笑い方が一番好きだった。
先輩の明るさとか、優しさとか、そういうの全部詰まってるように感じるから。
(その笑顔は反則です……)
視線が合うと恥ずかしくなるから、大生は祥太郎の首元へ視線を落とした。
恥ずかしさを紛らわすためだったのに、視界に入った先輩の喉仏を見て、ごくりと唾を飲み込んだ。僕のとは違って、男らしい。
「いいのいいの。俺はね、こう見えて頭が良いんですよ」
大生がポッキーの袋を広げ終えると、祥太郎は一本手に取り、三口で食べる。
「……そう見えて頭がいいのは知ってます。僕に教えるのも分かりやすいですし」
「だろ〜?」
「でも、そういうことじゃなくて。ただ、大切な時間を僕が奪って良いのかなって、それが不安なだけです」
先輩の口調から、迷惑でないことは何となく分かった。ただ、大生が本当に気にしていることには触れない言い方をされ、拗ねた気持ちで唇をきゅっと結ぶ。
(時間を奪ってるのは事実だしなあ……)
「大生」
正面に座っていた祥太郎は、いつの間にか大生の隣にいた。
テーブルのほうを向いていた大生の肩を掴まれ、身体ごと先輩のほうを向かされる。
「……あ、」
思ったよりも先輩の顔が近くにある。
ようやく頭の真ん中から逸れてきていた頬へのキスを、また思い出してしまった。
(この距離、ドキドキする)
「大生はさあ、この時間が俺にとって迷惑になるかもって、そう思ってんの?」
「……はい」
大生が静かに頷くと、祥太郎は眉を垂らして、優しく微笑んだ。
先輩の指先が大生の頬に触れる。わざとなのか、さっき先輩の唇に触れられたところを、そっと指でなぞられた。
(こんなの……意識しちゃうじゃん)
指先で触れられる度、大生の頬の熱が上がっていく。肩がぴくりと震えた。
バレたくないから、顔を逸らして誤魔化したい。でも、触れ続けてほしい。
(もう無理だ……!)
大生は思わず俯いた。ここまでドキドキした気持ちの鎮め方を知らない。
「大生、こっち見て」
「先輩っ、今はダメ……」
顎に手をかけられ、くいっと持ち上げられた。
大生は自分を見つめる先輩の瞳に吸い込まれそうになる。
「お前、顔が赤すぎ」
「……だ、誰のせいで」
「俺のせいなの?」
「祥太郎先輩他に、誰がいるんですか……!」
「……はは、そっか。俺しかいないかあ」
(そうです、先輩しかいないんです。ずっと先輩だけです)
こんなに大切に触れられたことなんて、一度もなかった。
大生の頬を涙が伝い、視界がぼんやりと潤んでいく。先輩は溢れる涙を指の腹で拭ってくれた。
それから、瞼にキスをされる。
「しょっぺ」
「……何で、キス」
「お前が可愛くてたまらないから」
頬の次は瞼。一日に二回もキスをされた。
ここまで来たら、先輩の真意を知りたくなった。
けれど、尋ねる隙を与えてくれない。
先輩は瞼の次にもう一度頬へキスをした。
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