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キミへの気持ちは手紙にのせるから、覚悟して受け取って。
そろそろ終わりの時間かなと、大生はスマホの画面を確認した。勉強を始めてから二時間と五分が経っていた。
果てしない時間に思えていたけれど、意外に早く過ぎてくれた。
大生が顔を上げたタイミングで、祥太郎もこちらを見ていた。
出ようか? と口パクで大生に声をかける。
大生はゆっくり頷いて、広げただけで終わってしまった課題を片付けた。
(二時間もあったのに、何も進まなかった……!)
大生は結局、祥太郎ばかり見ていて、ほとんど課題を終えられなかった。
図書館を出ると、外は蒸し暑かった。せっかく冷房で身体が冷えたのに、生ぬるい風に当たって台無しだ。
パタパタと顔周りを手で仰いでいると、隣で祥太郎が鞄を漁り始めた。
「ちょっと待ってな。……はい!」
「……あ、涼しい」
祥太郎は白いハンディファンを取り出し、大生の顔へと向けた。
カチッともう一度ボタンを押し、真ん中の強さの風を送ってくれる。
髪が靡くくらいの程よい風だ。
祥太郎は、緩く口角を上げて大生を見ている。
「僕ばっかりじゃなくて、先輩も……」
大生は、ハンディファンの向きをかえようと手を伸ばした。その手を祥太郎が握る。
「いいの。それあげる。大生が使って」
「え? あげるって……」
「だって、ほら。俺はこれがあるから」
祥太郎は戸惑う大生にそれを押し付けると、鞄からもう一つベージュのハンディファンを取り出した。
「お揃いほしくて勝手に買ったんだ。もらってよ」
「……でも、」
「ね、見て。俺たちの服と同じ色だ。すげえ」
祥太郎が持ってきたハンディファンは、今日のお互いのトップスの色だった。
「やっぱり大生がベージュ使って。俺が白にする。そしたらこれを使う度に、今日の大生を思い出しそう」
「……あ、」
「大生も俺を思い出してよ。ね?」
「……は、い。ありがとう……ございます……」
予想していなかったプレゼントに、大生は頬が緩んだ。
(傷つけたくないな……)
落として傷つけたりしないように気をつけようと、持ち手をしっかりと握る。
「今日は夕方くらいまでいける?」
「いけます……!」
先輩といられるなら、何時間でも付き合えます!と、大生は身を乗り出し、何度も力強く頷いた。
「いつも図書館の帰りに寄るカフェがあるんだよね。混んでないといいけど」
「今度は一緒に座れますし……!」
「確かに。斜めはないわな」
勉強だけで終わると思っていたから、カフェに誘われて嬉しかった。
大生は祥太郎の隣を、ぴょんぴょんと飛ぶように歩いた。
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