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キミへの気持ちは手紙にのせるから、覚悟して受け取って。
「お冷とおしぼりです。メニューが決まりましたら、ボタンでお知らせください」
おしぼりで手を拭きながら、祥太郎がメニュー表を開いた。
大生もメニューを見るために自然と身を乗り出し、祥太郎のほうへと寄る。
メニューには、コーヒーや紅茶と並んで、ミックスジュースと書かれていた。
(あ……! ミックスジュースがいい……!)
「大生はこれでしょ?」
「え!」
まだ何も発言していないのに。
祥太郎に当てられ、大生は驚いて口をあんぐりと開けた。
「前に紙パックのミックスジュースを飲んでただろ? だから好きなのかなって」
「……好き、です」
先輩は思ったより、僕のことをよく見ているのかも。些細なことまで知ってもらえているなんて、幸せすぎる。
「先輩はコーヒーですか?」
「そう、俺はお前より大人なんでね。……と言いたいところだけど、苦いの苦手だから俺もミックスジュース」
「ええ、かっこよくコーヒー飲むかと思っちゃいました」
「無理無理。勉強の後は甘いのに限るだろうが」
図書館で会話ができなかった分、こうして話ができることが楽しい。
「じゃあ、頼んじゃうね」
ボタンを押し店員さんを呼ぶと、先輩がまとめて注文してくれた。てっきりミックスジュースだけかと思っていたら、プリンも二つ追加していた。
「大した額じゃないけど、奢りな。ここのプリン、かためでおいしいんだよ」
「……え! 自分の分は払います……!」
「いいの。図書館でつまらなかっただろうから挽回させて」
「そんな……。図書館も楽しかったですよ」
気を遣わせてしまったようで申し訳なくなる。大生が肩を落とすと、祥太郎は頭を撫でた。
「今日会えて良かった。夏休み1回も会えないのキツかったからさ」
「そんなに、ですか……?」
「そんなにだよ」
「……僕も、会えなくて寂しかったです」
先輩の受験勉強の邪魔をしたくないと思いつつ、大生は素直な気持ちを口にした。
コップの周りについた水滴を指先でいじる。それから、ゴクゴクと水を一気に流し込んだ。
先輩がさらりと気持ちを伝えてくるせいで、言うつもりのなかったことまでついつい答えてしまう。
(でも、僕と先輩の気持ちは違うんだろうな)
「ミックスジュースとプリンです」
レトロな雰囲気のあるグラスとお皿で運ばれてきて、テーブルが一気に華やかになった。
プリンには生クリームとさくらんぼが添えてあり、それが可愛い。
「おいしそう!」
大生はアプリを開き、グラスや器を細かく動かしながら光や角度を調整した。せっかくだから、実際と同じくらい綺麗に撮りたい。
何枚か撮っていると、祥太郎がスマホをこちらに向けていた。
「……今、僕を撮りました?」
「撮りました〜! バレちゃったか」
「バレバレです。僕、変な顔してそう……」
「プリンに釘付けって感じの顔だった」
「それ絶対変な顔じゃないですか……」
写りがどうかも分からない自分の写真が、好きな人のフォルダに入っているのは耐えられない。
大生はすぐにでも消してもらおうと思ったが、出かかった言葉を飲み込んだ。
(僕も、先輩を撮ればいいんだ)
良い口実ができたかもしれない。
大生は自分がされたように、何も言わずに祥太郎に向かっていきなりカメラを向けた。
「やると思った」
祥太郎はすぐに気づき、咄嗟にポーズを決める。少しふざけた雰囲気だったのに、写真の中の先輩はとてもかっこよかった。
「変顔狙ったのに、全然だ……」
「俺って常にイケてるからさあ」
「自分で言うなんて、信じられないです」
「内心かっこいいって思ってるくせに?」
「……思って、ない、です」
さっきから心の中を読まれてばかりだ。
(この写真、トーク画面の背景にしようかな)
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