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キミへの気持ちは手紙にのせるから、覚悟して受け取って。

「ま、とりあえず食べてみてよ」  祥太郎に促され、大生はスマホを置くと、いただきますと手を合わせた。  プリンにスプーンを差し込むと、確かに言われた通りかためのプリンだった。  スプーンの上で形が崩れることもない。その感触に大生の期待が高まる。 (僕はプリンはかたいほうが好き)  濃いカラメルの部分に生クリームを少しだけ付け、それから口へとプリンを運んだ。 「……ん!?」 「な? すごいだろ?」  目も鼻も開いてしまうくらい、そのおいしさにびっくりした。くらいというか、実際に穴という穴を開いてしまっていたかもしれない。  大生のそんな顔を見て、祥太郎は満足そうに笑っている。 「かためのプリンが好きな人はたまらないよな」 「はい……! ここが一番かもしれないです」 「そう言ってもらえて嬉しい。俺が作ったわけでもないのに」  大生の反応を見てから、祥太郎もプリンを口に運んだ。    店内には、会話を邪魔しないボリュームで洋楽が流れている。 「それでこの間の練習のときに、顧問がめちゃくちゃ怒って……!」  図書館でできなかった分の会話を取り戻すかのように、大生はとにかく祥太郎に話しかけた。  共通の話題といえば部活動しかないから、その話ばかりになってしまう。  祥太郎は、大生の話を遮ることなく聞いてくれていた。  自分の話がつまらないかも、という不安を一切抱かせない先輩の穏やかな表情に、大生はいつもの数倍も話し続けた。 「祥太郎じゃん!」  突然、会話を遮るように、背後から声をかけられた。大生が振り向くと、ショートヘアの女子が視界に入ってきた。  祥太郎の肩に手を乗せている。 「お〜! 久しぶり!」  (誰……?)  祥太郎、とそう馴れ馴れしく彼の名前を呼ぶその人を、大生は警戒しながら見つめた。  自然と眉間に皺が寄る。 「またプリン食べてんの? ブレないね!」   (またプリン食べてるって……どういうこと? ここで一緒に食べたことがあるの?)  図書館帰りに寄るなら、先輩はこの人とも来たことがあるのかもしれない。  思わずスプーンを置く。器に当たってカチャリと音がした。   「真由、お前も図書館行ったの?」 「今日は行ってない! 気晴らしに塾の友達とここに来ただけ」  ほら、あそこ! と、真由と呼ばれたその人が指で示した先に、数人の女子が座っていた。 「あ、そうそう。こいつはクラスメイト。大生が俺の教室に来たときに、見たことない?」  祥太郎は、肩に乗せられている手はそのままに、大生に真由を紹介した。  覚えているわけがない。  最初に行ったときも、二回目も、先輩に早く会いたいってそれだけだった。それに、慣れない上級生の階に行くなんて、不安でいっぱいだったのだから。  でもそんなことより、“真由”“こいつ”と呼ぶ先輩のこと気に食わなかった。  響先輩はもちろんのこと、部活動でもよく部員を呼び捨てにしていた。マネージャーにもそうだったから、女子を名前で呼ぶことは、先輩にとったら何でもないことなのかもしれない。  それでも、親しく見える二人のことが、何だか面白くない。 「あのさあ、祥太郎。見たことないかって聞かれたら、見たことないって返しにくいでしょ。何であんたはそんなふうに質問しちゃうの」  バカじゃん! と笑いながら、真由は祥太郎の頭をつついた。  その距離の近さに、大生はさらにもやもやが募る。 (せっかく、さっきまで楽しかったのに……)  大生は、「はは……」と、何とか笑ってみせた。  それ以上どうしたらいいか分からなくて、誤魔化すようにミックスジュースを飲む。  おいしかったはずのジュースも、急に味を感じられなくなった。

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