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キミへの気持ちは手紙にのせるから、覚悟して受け取って。

「お前、祥太郎の後輩……だよな?」 「え……?」  どうしたいのかもどうするべきかも分からないまま固まっている大生に、突然誰かが声をかけた。非常階段側の入り口から出てきたから、祥太郎のクラスメイトのようだ。  大生が驚いて顔を上げると、その人は「え、泣いてる?」と心配そうに大生に合わせて少し屈んだ。 「祥太郎、先輩の……後輩で、合ってます。それと、泣いてないです……」    途切れ途切れに返した大生に、「それならいいんだけど」とその人はそれ以上気にする様子はなかった。  知らないその人のキリッとした眉に、少しだけ垂れた目尻は、優しそうにも、冷たそうにも見える。  とにかく整った顔立ちで、体格も良く、祥太郎より身長が高かった。  誰が見てもモテそうなその人は、大生からすると少しだけ威圧感があった。 (何を言われるんだろう……)    大生は思わず一歩下がろうとしたが、後ろにある扉に阻まれた。  カチャリと、バックルが扉にぶつかる。 「祥太郎は、先生に呼ばれて職員室にいるから」 「……あ、そう、なんですね」 「後輩が来るかもって気にしてた。祥太郎が戻るまでここで待っててほしいって」 「……分かりました」 「じゃあ、確かに伝えたからな」 「ありがとうございます……」  その先輩はそれだけ言うと、教室から出てきた別の先輩と一緒に帰って行った。  伝言ーーしかも大生が欲しかった言葉を伝えてくれただけだと知り、緊張が一気にほぐれる。 (先輩を待ってて良かったんだ……)     「大生! 待った? ごめんなあ」  十分ほど経ったところで、祥太郎が走って戻って来た。祥太郎の額には汗が光り、髪も乱れていた。  肩で呼吸をしている。もしかして、階段を駆け上がって来たのかもしれない。 「……全然、大丈夫です」  祥太郎は、はあーっと膝に手をついて、それから汗を拭った。 「部活辞めたら体力落ちるわ」 「……ふふ、それは早すぎません?」  どんな表情をして、どんなトーンで会話をすればいいのか分からなかった大生とは反対に、祥太郎は普段通りのテンションだった。  大生は、変わらない先輩に安心しつつも、あの日のキスを引きずってドキドキしていたのは自分だけかもしれないと、取り残された気持ちになる。 「ちゃんと、ここで待っててって伝言聞けた? 連絡しようとしたんだけど、先生が急ぐように言うもんだから」 「……ああ、はい! 聞けました。すごく顔の整った人から……」 「……え?」  聞けました、だけで良かっただろうに、大生は誰から聞いたのかも伝えたほうが良い気がした。けれど、伝えてくれた先輩の名前を知らない。何か特徴をと思ったが、顔が整っているという大雑把な表現になってしまった。 「何? お前、あいつの顔が好みなの?」  大生のその言い方に、祥太郎は眉をグッと上げた。心なしかムッとしているようにも見える。 「え……、好み? いや? 違いますけど……」 「ふうん……」 (僕の好みは先輩です……)  正直な気持ちを伝えるわけにはいかないからと、大生は首を横に振って否定した。けれど、祥太郎はあまり信じていない様子だった。 「とりあえず待ってて。鞄とって来る」    先輩はまだ不満そうな顔をしながら教室に戻ると、教材を鞄に詰めた。  近くにいたクラスメイトに「じゃあな」と挨拶をし、廊下で待っていた大生のもとに走って来た。  

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