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大好きなあなたへ。どうしたらこの気持ちを受け取ってくれますか。
あっちゃんが実家を出て一人暮らしを始めるまで、響とは家が隣同士だった。響の親の帰宅が遅い日は、あっちゃんの実家でよくお世話になっていた。
けれど、今年の春からあっちゃんが一人暮らしを始めたせいで、響にとって気軽に会えない存在になっていた。
授業前後の休み時間に、こうして少し話をするくらいだ。
「あっちゃんと一緒に帰る。俺の部活終わっても、仕事終わるまで待っとくからさ。車で一緒にあっちゃん家行こう」
これまでずっと一緒だったのに、あっちゃんがいなくなってしまったからけっこう寂しい。
(だから、たまの我が儘くらい許してよ)
響はその場にしゃがみ込んだ。「お願い」と、上目遣いをして可愛こぶってみせると、黒崎は呆れたような、でも拒否はない、そんな表情をしていた。
「お前なあ、明日も学校なのにわざわざ来るのか? 帰りも送るってなったら面倒なんだが」
来るなよ、とは言わず、来たとしても帰りも送ってくれようとするなんて。
(あっちゃんは、なんだかんだ俺に甘い)
「あっちゃん家に泊まるから大丈夫。下着は買えば良いし、置き勉してるから教科書もある。明日の弁当はあっちゃんに作ってもらえばいいし」
「はあ〜? お前勝手すぎだろ」
黒崎は目を見開き、信じられないという顔をした。
さっきの上目遣いお願いモードでは通用しないようだ。
響きは、とびきり可愛い声を出してみることにした。
「ダメなのお?」
黒崎は、うえ……と吐く振りをした。「そういうのいらんから」とため息をつく。
「響、お前キモすぎだろ。……ったく、仕方ねえな。どうせ断っても来るんだろ」
「うん」
「はあ……。下着は新品のがあるし、それをやるわ。置き勉は許されないから次からはするな。弁当はお前の分も用意してやる。ただ、家では俺の言うことを聞けよ」
「うんうん、何でも聞く」
「おばさんには自分で連絡しとけ」
「いえーい! あっちゃんの下着!」
「だから新品だって」
響が拍手をして喜ぶと、黒崎はやれやれという表情を見せた。
「手のかかるガキだな」
「手のかかるガキからお知らせ。次の授業がもうすぐ始まるよ」
響の言葉に、黒崎は慌てて自分の腕時計を確認した。
時間を見れば次の授業まで残り数分だった。
「最悪だ!」
珍しく大きな声を出し、黒崎は最後に響のお尻に蹴りを入れた。
「やーん、体罰う!」
「お前まじいい加減にしろ。置いて帰るぞ」
「ごめんってば」
「ちゃんと授業受けて、部活も頑張れよクソガキ」
ひらひらと手を振っているのか、シッシと追い払っているのか分からない手の動きをしながら、あっちゃんは廊下を走らないのギリギリの範囲内の速さで次の教室へと向かって行った。
響のお尻には、しばらく蹴られた痛みが残っていた。
(でも痛みがあるから、泊まりが現実だって分かるもんね)
「あっちゃん家のベッド大きめだし、今日こそ一緒に寝られるかな〜」
黒崎に次の授業も一生懸命受けろと言われていたが、響はその約束を守ることなく、あっちゃんの家で何をして過ごすかの妄想ばかりしていた。
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