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大好きなあなたへ。どうしたらこの気持ちを受け取ってくれますか。

 黒崎に言われた通り、響は待つことなく先にリビングへと向かった。  扉を開けると、玄関で感じたよりも強く、あっちゃんの匂いを感じる。響は「すーっ」と大きく息を吸った。 (はあ……、あっちゃんの部屋だ)  響はソファに鞄を置くと、勝手に寝室を開けた。  朝起きたままの形で掛け布団とシーツがぐしゃぐしゃになっている。だらしないけれど、生活感とあっちゃんのギャップにときめく。 (普段はきちっとしているイメージなのにね。俺だけが知ってるんだ)  響は寝室へと一歩足を踏み入れた。  このままベッドに飛び込んで、あっちゃんの匂いに包まれたら最高に違いない。  けれど、あっちゃんは、お風呂に入らないでベッドに触れることを許さないタイプだ。「汚ねえ!」と怒られるに違いない。 「やめとくか……」    響はリビングへと戻り、ソファに座って待つことにした。前回来たときと変わったところがないか、ぐるりと部屋を見渡す。 「ん?」  無造作に積まれたチラシの上に、ピンク色の封筒を見つけた。  何かの案内や仕事関連のものとは思えない、異質さがあった。 (何だ……?)  響はソファから立ち上がり、嫌な予感を胸にその封筒を手に取る。 「……は?」  表には、黒崎先生へ、と書かれていた。いかにも女子が書きそうな字だ。  裏返して見ると、響と同じクラスの女子の名前が書かれていた。    中身を見ずとも分かる。これは、間違いなくラブレターだ。  開封したあとがあるから、あっちゃんも既に読んでいる。   (はあ……何だよこれ……)  封筒を持つ響の手が震えた。  内容を見るべきかどうか。響がしばらく悩んでいると、黒崎が戻って来た音がした。 「おい、響! 結局お帰りなさいあなたごっこやらないのかよ」  自分で言っていて面白くなったのか、けらけら笑いながら、黒崎がリビングに入って来る。 「響……、は?」    さっきまで笑っていた黒崎は、響の手元へ視線を落とすと、顔を顰めた。 「……何見てんだよ」  珍しく、声が低い。 「見たらダメだった? でも、あっちゃんが悪いんだよ。俺のことを先に入らせたし、こんな目につくところに置いてるしさ」 「だとしてもクラスの女子の名前があるんだから、その子に配慮して見るべきではないだろ」  黒崎は響から手紙を取り上げると、元の場所に戻した。 (はあ……!?)  見えないように引き出しの中にでも入れれば良いのに、そうしないあっちゃんにも腹が立つ。 「何でここに置くんだよ」 「別にいいだろ。隠すほうがやましいじゃん。隠したら隠したで、お前うるさそうだし」 「……っ、何だよそれ! てかさ、あっちゃんさ、生徒のことたぶらかしたんだ? いけない大人だね」 「はあ……、たぶらかす? 俺は普通に授業をしてるだけだろ」  動揺している響とは対照的に、黒崎は淡々と答えた。その姿にイライラが上限を超え、響は黒崎の胸ぐらを掴んだ。 「響、やめろって」 「あっちゃんは自分の魅力を知ったほうがいいよ」 「はあ? 何か知らんがとにかく落ち着けって。な?」  胸ぐらを掴んだままの響を、黒崎は両腕で包み込むように抱きしめた。  子どもの頃からこうしてやれば落ち着くと思ったのか、「ほら、こうしてやるから」と言いながら、響の背中を優しく叩く。  

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