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大好きなあなたへ。どうしたらこの気持ちを受け取ってくれますか。
「あのさあ、魅力って言っても年齢でキャーキャー言われてるだけだろ」
「……そんなことない! あっちゃんは、なんだかんだ優しいし、かっこいい!」
響より小さいのに、押しのけようにも黒崎はびくともしなかった。あっちゃんの匂いに包まれ、響は余計に気持ちが落ち着かなくなる。
(こんなんで、どうやって落ち着けるんだよ。くそ……!)
「そうか? そう思ってるのはお前くらいだろうな」
「なわけないじゃん!」
「まあどう思われているかはこの際置いておくが、そもそもくれたこの子とどうこうなるつもりなんか絶対にないしな。本人には、仕方なく受け取りはしたけど、読むだけで、返事を書くつもりもなければ応えもしないって伝えてるし」
これでいいだろ? と言った黒崎は響を解放すると、ゆっくりソファに座らせた。
「これでも、文句あるか?」
黒崎は響の肩に両手を置き、顔を覗き込んだ。
「……文句しかない! なんで? なんで返事も書かないし、応えないの?」
先生としては当たり前のことだろうに、あまりにも典型的な内容に響は納得ができなかった。
響はソファから勢いよく立ち上がり、黒崎を壁へと押し付けた。
お前がいるから誰とも付き合わないよ、なんてそんな甘い言葉をもらえる可能性はゼロだ。
何かを期待したところで叶わないし、求める回答をしないあっちゃんに怒るのは理不尽だ。
全部、頭では分かっている。
響の力の強さに、黒崎は顔を歪めた。
(もう、止まれない……! ふざけて誤魔化すなんて、できない……!)
「応えない理由は聞くまでもないだろ。生徒だからな。ありえないよ」
「それってさあ! 生徒じゃなかったらアリなの? あの子のこと、女としてみれるってこと?」
あっちゃんの発言の全てが気に入らない。
「ばっか! そういうことは言ってないだろうが!」
「じゃあ俺は? 俺が生徒じゃなくなったら、あっちゃんは俺のこと、ひとりの人間として意識してくれる?」
「はあ? 響が? 意識って、何だよ。お前、意味分からん……、やめろよ……」
黒崎は響きから逃れようと、必死に肩を押した。
(あっちゃんにもうバレてる。俺のこの言動が何を意味しているか)
「……あっちゃん!」
「……っ、く、」
本気で逃げようと思ったら、腹を殴ったり、股を蹴ればいい。でもそうしないのは、あっちゃんなりの優しさなのか。それとも、今の俺が怖くてできないのか。どっちなんだろう。
(どっちだとしても、ここまでして何事もなかったようには振る舞えない。自分勝手でごめんね……)
「俺、あっちゃんのことが好き。頼むから俺が卒業するまで、誰とも付き合わないで。俺のこと待っててよ」
「……お前なあ、男で年上の幼馴染に何言ってんだよ。……寝ぼけてんのか」
黒崎は眉を垂らし、今にも泣きそうな顔をしていた。
「あっちゃん……!」
響は黒崎を押さえつけると、強引に口付けた。
響はきつく閉じられた唇をこじ開けようとした。それでも黒崎は抵抗をやめない。
(くそ……! 今さら止まれない……!)
焦った響は、そのまま舌を捩じ込んだ。黒崎はさらに顔を歪め、何度も苦しそうな声を漏らす。
「ひび、き……、やめっ……っ」
「……っ、て!」
唇を噛まれ、血の味が広がった。これは、あっちゃんの拒絶だ。
「……あっちゃんの、馬鹿」
「おい!」
(馬鹿は俺なのに。もう、取り返しがつかない)
響はソファに置いていた鞄を雑に掴むと、そのまま走って部屋を出た。
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