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拝啓、愛しのキミヘ。そろそろ正直になりませんか。
◇
キス事件から数か月。お互いにそのことについては触れず、でも少しだけギクシャクしたような雰囲気の中過ごしていた。
(でも、前までとは違うし、もう戻れない感じ、あるよな……)
大真は、リビングのソファに座り、友人と通話をしている慧司を見つめた。
「まあ、今は別に断る理由もないし、いいよ」
(え……?)
慧司と友人の通話内容が全て聞こえたわけではない。でも、慧司の返事と漏れ聞こえる相手の声から、女子を含んだ遊びに誘われていることは何となく察していた。
慧司は一度も誘いに乗ったことがない。だから、今回もてっきり断ると思っていたのに。
盗み聞くのも悪いし、慧司が後から何か言ってくるかもしれない。
この場から去ったほうがいいことは分かっているけれど、大真はどうしても気になり居座ることにした。
水を注いだコップを手に、慧司の隣に座った。何となくソファの端に寄り、テレビをつける。
慧司は、隣に座った大真へと一度視線を向けたがすぐに外し、友人との通話を続けた。
『……ちゃん、……可愛い子、……』
「へえ」
『お前…………喜ぶ……』
「へえ」
どうやら可愛い子が何人か来るらしい。慧司が来れば女子たちが喜ぶと、そういった話だろう。
(へえ……って、それでも行くんだ。何で、いつもと違うの……)
大真はソファの上で膝を抱え、ぼんやりとテレビを見つめた。
「お前、合コン行くのか」
「合コンって……」
通話を終えた慧司に、大真はテレビに視線を向けたままで尋ねた。慧司はあっさり「まあな」と答える。
慧司はそれだけ言うとキッチンへ向かい、水を注いだコップを手に戻ってきた。
大真とは違って、ソファ中央寄りに座る。少しだけ肩が触れた。
(何でそこに座るんだよ……)
大真はもっと端に寄ろうかと思ったけれど、何となくそうしたくなくて、肩が触れたままにする。
手の震えを誤魔化すために、持っていたコップをテーブルに置いた。
カタッと音がし、慧司がコップから大真へと視線を移すと、テレビへと戻した。
大真は、見たかったわけでもないテレビのチャンネルを無意味に切り替える。
ふう……とバレない程度に小さく呼吸を整え、思い切って尋ねてみることにした。
「彼女、作る気?」
慧司が参加すれば、必ず慧司に言い寄る女子がいることは、本人がよく知っているはずだ。それなのにそういう場に出向くだなんて、そろそろ本気で恋人を作る気なのかもしれない。
大真は、自分で聞いておきながら、慧司の返事を聞くのが怖くなった。リモコンの選局ボタンを再度数回押す。
緊張で震え、思わずボタンを押す指先に力が入る。
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