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拝啓、愛しのキミヘ。そろそろ正直になりませんか。
「大真、拗ねんなって」
「拗ねたとかじゃねえよ」
「じゃあ何?」
背を向けたままの大真を、慧司が後ろから抱きしめ、首筋を吸った。
「大真、キスマークつけちゃった」
「はあ!?」
「嘘だよ。こんな簡単につくわけねえだろ」
どこまでもふざけて、笑ってばかりの慧司に腹が立つ。
大真は肘で慧司の脇腹を押し、抵抗してみせた。けれど、慧司はそれでやめることなく、さらに強く抱きしめる。
とうとう身動きが取れなくなった。
「……慧司、なんでこんなことするんだよ」
「俺じゃなくて、まずお前が言えよ」
耳元で囁かれ、大真は身体中に熱が集まっていくのを感じた。
慧司の言葉の意味が分からず、混乱で頭がパンクしそうだ。
「……はあ? 俺は何もしてねえだろ。慧司に聞いてんの。何でこんなことするのかって。だからお前が言え、馬鹿!」
「お前が始めたんだから、お前が言えよ」
「俺が何を始めたんだよ!」
「大真、お前うるせえよ」
ドンッと鈍い音がしたと同時に、大真の背中に痛みが走った。
慧司が無理やり大真を自分のほうへと振り向かせ、部屋の壁に押し付けた。
突然のことにバランスを崩して座り込んでしまった大真を、慧司が囲うようにして、両手を顔の横に叩きつけた。
(最悪な壁ドンすぎる)
大真が睨みつけると、慧司はその顎を掴んだ。
「お前が始めたから、だから俺だってもう止まらねえんだよ」
「慧司、意味分かんないって。俺が何を始めたってんだよ」
慧司の意図が何も分からない。はっきりと言ってくれないと困る。ただでさえ、この状況で頭が働かないんだから。
慧司が大真を射抜くように見つめ返す。
あまりの目力の強さに、吸い込まれてしまいそうだ。
大真が視線を逸らすと、慧司は掴んだままの大真の顎を強引に自分のほうへと向けた。
(え……、キス……)
一瞬の出来事に、大真はかたまった。さっき、揶揄うように端にされたキスとは全く違った。
唇に柔らかな感触がし、さっきまで食べていたソースの香りが広がる。
(何で、こんな……!)
唇の境目を舌先でなぞられ、大真は腰が抜け、抵抗することもかなわない。
身体を押し返そうとした手にも力が入らず、慧司の胸元で小さく丸めた。
慧司は大真がうまく抵抗できないのをいいことに、後頭部へと手を回し、さらに自分のほうへ引き寄せると、ぬるりと舌を入れた。
(慧司との初めてのキス、こんなの嬉しくない……)
大真の視界が、涙で滲む。
「慧司っ、やめろよ……!」
「俺が軽い気持ちでやってると思うなよ。こっちは覚悟決めてんだ。中途半端ならそんな顔するな」
慧司は大真の肩を掴み、壁へと再度押し付けた。
(……どういうことだ?)
自分よりも悲しい顔をして部屋を出て行った慧司の背中を、大真は壁にもたれながら見ることしかできなかった。
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