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拝啓、愛しのキミヘ。そろそろ正直になりませんか。
たまたま音楽番組になったところで、慧司が「それがいい」と言った。大真の質問には答えない。
希望通り音楽番組にすると、しばらく無言が続いた。
(聞こえなかった……? もう一回聞く? いや、答えたくないのかも)
どうしたらいいのか分からなくなり、大真はテレビから視線を慧司へと向けた。それに気づいた慧司が真っ直ぐに大真を見つめ返す。
(……あ、聞こえてはいるんだ)
「気になる?」
ソファの背の部分に肘をつきながら、慧司はそう尋ねた。
けれど、大真が答える前に視線をテレビへと戻してしまう。
(気になるから聞いているんだが?)
「……いや、一応ルームシェアしてるし、この家に連れ込まれるのはちょっとな……」
気になる理由を素直に言えるわけもなく、大真は咄嗟に考えたそれらしい理由を伝えた。
自分で言っておきながら、恋人を連れてくる慧司を想像して勝手にダメージを受ける。
「はあ、そんなこと。心配すんなって。さすがに連れ込まねえよ」
「でも……」
「あの手紙の送り主も名乗り出てくれないし、俺もそろそろ恋人がほしいなってだけだよ。文句ねえよな」
「えっ……」
慧司は大きく身体を伸ばすと立ち上がり、「シャワー浴びるわ」と大真の反応を特に見ることなく背を向けた。
(何で手紙の話……。てか、まだ送り主が誰か気にしてたわけ……?)
あの手紙のことをいまだに気にしている慧司に驚きつつも、それが自分だと言えないことがもどかしい。
言ってしまえばルームシェアを解消されるかもしれない。
(一緒にいられなくなるよりは、言わないほうがマシだ)
「あ、そういえば。男が一人足りてないんだって。お前も行く?」
リビングのドアを開けながら、慧司が振り返った。
「……え、俺? お前の大学の人に混ざって?」
「そう」
大真は、そういう場に興味がないから、本当は行きたくなかった。けれど、大学での慧司がどんなふうに過ごしているのか、彼が気に入る女子がどんな子なのか、知りたいと思う気持ちもあった。
(知った結果、傷つくかもしれないのに)
「……行く」
十数秒迷った後、重い口を開いて答えた。
「へえ、来るんだ」
慧司が眉を上げる。
「お前が誘ったんだろうが」
「……じゃあ、時間とか場所が決まったらまた言うわ」
今度こそ風呂場へと向かった慧司がいなくなると、大真は大きくため息をついた。
ルームシェアを了承した時点で、いずれは慧司に恋人ができるだけじゃなく、それを近くで見ることになると想像はしていた。
それなのに、実際にその状況が迫ってくると、とても怖い。
(手紙だって、何で忘れてないんだよ。もう1年は経つのに)
忘れてほしかったわけではないけれど、叶いもしないものを大切されるのは違う。区切りをつけたくて送ったんだ。
「はあ……」
テレビの音量を大きくし、大真はしばらくの間ただその音をぼーっと聞いていた。
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