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拝啓、愛しのキミヘ。そろそろ正直になりませんか。

 棗の言う独占欲の根拠が何も分からないまま、あっという間に2時間が経った。  結局大真は最後まで棗とばかり話をしていた。  慧司のことが気になっていたけれど、話になかなか入ることができなかった。 (慧司が話を回さないのか、俺が入るのが下手くそだったのか……) 「そろそろ別のところ行く? カラオケとか?」  慧司な友人の1人が声をかけると、棗ともう一人の女子だけ「ここで終わりにしとく」と返事をした。  大真は、棗に続いて「俺も」と言いたかったが、慧司が参加するなら抜けられない。  慧司の目の前に座っていた女子は、明らかに慧司を狙っていた。彼女が残るのなら、近くにいて見ておかなければ。 「俺も抜けるわ。大真も」  けれど、大真の予想に反して、慧司は抜けると言うと、テーブルの下で大真の手を握った。 (え? な、何……?)  机の下で何をしようがみんなからは見えない位置だが、一瞬身体がかたまったから、棗にはバレてしまったかもしれない。  大真は、慧司に握られた手を、テーブルのもっと下のほうへとずらした。 「じゃあせめて、連絡先を交換しようよ」 「私も〜」  帰ると言って乗り気でなかったはずの慧司は、女子に連絡先を求められると、「いいよ」とあっさり交換し始めた。  好意に鈍いわけはないから、どういう意味で連絡先の交換を希望されたのか分かっているはずなのに。大真は断らない慧司にモヤモヤした。 「大真くん、せっかくだからしとく? 交換」  他のみんなが盛り上がっている中、取り残された棗が、同じく取り残された大真に笑いかける。 (棗さんとは話していて楽しかったし、友人として仲良くできるかも) 「いいよ、しようか。ちょっと待ってね、スマホ出すわ」    大真がスマホを取り出そうとしたが、慧司側のポケットに入れていることに気づいた。   (手、握られたままだ。これじゃあスマホ出せない)  大真は、慧司に握られたままの手を捻った。離すように目で訴えようとしたが、慧司はわざとらしく大真のほうを見ない。もちろん、手も離してもらえなかった。 「慧司くんって、変だね」  女子との連絡先交換を終えた慧司は、棗の声にようやく大真のほうへと身体を向けた。  棗と慧司はほとんど会話をしていない。彼女のはっきりとした物言いを、慧司がどう受け取るか、大真は何となく不安になった。 「……そうかな」  慧司が棗をじっと見つめる。あまり良い視線には思えず、大真はそわそわと身体を動かした。 「だってそんなに嫌なんだったら、そもそも大真くんをここに連れて来なければ良かったのに」 「俺が、何を嫌って?」 「私は見ていて分かりやすくて楽しかったよ。でもね、大真くんは分からないと思う」 (何の話……?)  

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