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拝啓、愛しのキミヘ。そろそろ正直になりませんか。

「……ごめん!」  慌てて離れようとする大真の背中に、慧司は手を回した。床に倒れたまま、身動きが取れない。  緊張でじわりと汗をかき、余裕のない大真とは違い、慧司はフッといつものように笑った。  その笑顔が悔しいくらい余裕そうに見えて、大真の緊張はさらに増した。 (……待てよ。俺からの手紙だと最初から知ってたなら、どうしてルームシェア……) 「……っ!」  大真の中で、これまで分からなかった慧司の言動が一気に繋がる。 (俺が始めたって、手紙のこと……?) 「……ええっ!」 「大真、やっと分かった?」 「なん、で」 「見たことないくらい顔が赤くなってるな」  慧司が、まるで三日月みたいに目を細めて笑った。分かった? と聞く、声色がとにかく優しい。  慧司は、大真の後頭部に手を回すとゆっくりと引き寄せた。  それから、優しくキスをされ、大真の頭が真っ白になる。 「え……っ、」 「俺は匿名でなんか伝えない。だからちゃんと聞いとけよ」  起き上がった慧司は、大真を抱き起こした。正面で数秒向き合った後、大きな手で大真を抱きしめる。  それから耳元で、「お前が好きだ」と囁いた。 「待って、やばい、うそ……」 「嘘だと思うか」 「だって、だって……」 「だってしか言えないのかよ」  せっかく抱き起こしたのに。慧司は再び大真を押し倒すと、唇を重ねた。 「……待っ、て」    何度も合わせられる唇に、大真は完全に呼吸のタイミングを見失い、みっともない声を出てしまう。 「慧、司……待っ、てって」 「待たない」 「……っ、ん、う」  しばらくキスを続けた後で、慧司は大真の首筋に吸い付いた。ちう……と音が聞こえ、ちくりと痛みが走る。 「いっ……て、」 「現実だって証拠がほしいみたいだからな」  ニヤニヤと笑う慧司に、まさか! と思い洗面所へ走ると、鏡に赤い印が写っていた。 「お前、これ! 何して……っ」 「信じないのが悪いだろ。どうせすぐに消えるよ」 「……えっ」 「あ? それはそれで嫌なんだ。我が儘だな」  大真の横に並び、慧司はキスマークを指でなぞった。 「俺にも付ける?」  慧司が自分の首元を指さす。 「……いい」 「で、現実だって分かった?」 「……分かった」  慧司は優しく笑うと、大真の頬にちゅっと軽いキスをした。 「待って、キス多くないか?」 「これで?」 「これでって……」 「俺はずっと大真としたかったよ」  慧司が大真の頬を両手で包むと、鼻や額に優しいキスを落とした。 (うひゃあ……! 俺の知らない慧司すぎる……)  今までとはあまりにも違いすぎる雰囲気に、大真の恥ずかしさがピークを超えた。慧司から視線を逸らすと、今度は真っ赤な顔をした自分が鏡越しに視界に入る。 「あああ!」 「どうしたんだよ」 (こんな顔を見られるなんて、耐えられない!)  大真はその場にしゃがみ込んだ。両手で頭を覆い、髪をくしゃりと掴む。  この場から逃げようにも、すぐ後ろには慧司が立っているし、思い切って向き合うのも恥ずかしい。 (……てか、ちょっと待って、そもそもさ、) 「何で俺からの手紙だって分かったわけ?」  大真の口から漏れたのは、この場から逃げる方法でも何でもなく、気になっていたことだった。

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