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キミからの返事は、いつまででも待てるよ。

大生(だい)!」 「祥太郎(しょうたろう)先輩!」  遠くにいる大生に気づいた祥太郎が、大きく両手を広げた。大生は手を振り返すと、祥太郎の胸に飛び込む勢いで大股で駆けていく。 (……ダメだ、ここは外だった)  手を広げて待つ祥太郎に、反射的に飛び込もうとする衝動を抑え、大生は数歩手前で立ち止まった。  来ないの? という顔をする祥太郎に向かって大生も手を広げ、エアハグをする。  とはいえ、いつまでもそうしているのは変だからとすぐにやめ、祥太郎の横に立った。   「え〜、ハグしないんだ?」 「だってみんないるじゃないですか」 「じゃあ後で?」 「後で、です! 二人のときに!」  待ち合わせ場所にしていたキャンパス内のカフェは、学生たちで賑わっていた。最近新たにできたそのカフェは、可愛い雰囲気が映えるからと人気で、どの時間帯も人が多い。  お昼時を避けたのに、入店して座れるまでには、まだしばらく時間がかかりそうだった。  外まで続いている列に並ぶと、大生は祥太郎にぴったりとくっついた。   「それにしても、まさかこんな大学生活が送れるとはな」 「ふふ、頑張って良かったです」  祥太郎に告白の手紙をもらってから、すぐに二人は付き合い始めた。大生は祥太郎の後を追って同じ大学を受験し、この春から大学生だ。  さすがに同じ学科ではないものの、こうして先輩と同じキャンパス内にいられるだけで大生は満足していた。  時間が合うときは今日のように一緒に食事をしたり、お互いの家に泊まることもある。  (はあ、幸せ……)    大生が祥太郎の肩口に鼻先を寄せると、すぐにバレて笑われた。 「匂うのは、“後で二人のとき”、じゃないんだ?」 「これはいいんです」  大生が、ぷうと頰を膨らませる。祥太郎はそのあざとさに笑いながら、膨らんだ頬を指先でつついた。   (ただ並んだいるだけの時間も、特別になっちゃう) 「先輩って、すごいですね」 「ええ?」 「待ち時間もすごく楽しくて幸せです」 「……大生、可愛すぎ」  三十分くらい待つことを覚悟していたけれど、思ったよりも早めに席が空いた。  店内の一番奥で、他の席よりゆったりできそうな雰囲気だ。  カフェ全体を見渡すと、ほとんどが女子だった。  学食より圧倒的におしゃれだからかだろうか。 (こういう見せも、何の抵抗もなく付き合ってくれるって優しいな) 「待つので疲れてない? この後も講義あるのに」 「大丈夫です。楽しいと嬉しいと幸せしかないです!」 「あ、嬉しいが増えてる」 「へへ」  席につく前に、予め決めていたドリンクをレジで注文し、会計を済ませた。  緑色以外のクリームソーダが人気で、大生は黄色、祥太郎は青色のクリームソーダにした。  当たり前にさらりと先輩が支払ってくれ、大生はそれにもときめく。 「僕も先輩に奢りたいです!」 「ははっ、じゃあバイト始めたらね」 (僕も早くバイト見つけなきゃ)  空いていた席に向かい合って座ったとき、隣の席の女子二人が立ち上がった。しばらくすると、また女子二人がやって来てそこへ座った。  大生の左側が壁とはいえ、右も前の席も女子しかいない。そういう場に先輩を付き合わせてしまったことに、気まずさと申し訳なさもある。 「うわ、可愛いな」 「写真! 撮らなきゃ」  運ばれて来たクリームソーダは、メニューで見た写真より可愛かった。中央がくびれているレトロ感のあるグラスに、大きめの氷が入っていて、キラキラと輝いて見える。上には丸い形のバニラアイスが乗っていて、南国を思わせるピンク色の花が添えられていた。 (大学のカフェなのに、すごい……!)  大生は祥太郎のクリームソーダも並べた。グラス越しに先輩の手元が写っていて、まるで匂わせ写真みたいだ。 「ふふ……」 「何笑ってんの?」 「だって匂わせる相手もいないのに、匂わせ写真って……」 「ええ? 何のこと?」  大生の言おうとしていることは分からないまま、一人で笑っている大生を祥太郎は微笑ましく見ていた。 「あれ? 祥太郎じゃん」

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