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キミからの返事は、いつまででも待てるよ。
(あ、まずい……。これは、)
写真を撮り終え、ストローに口をつけたところで、さっき隣の席に座った女子たちが祥太郎に声をかけた。
大生は、付き合う前の図書館デート中にも先輩が声をかけられていたことを思い出していた。
(せっかく楽しかったのに。またか)
二人きりの時間を邪魔された気になる。大生は祥太郎がどう見られるかも考えず、面白くなさから俯いて顔を顰めた。
心が狭くて余裕もなければ、可愛げもない自分が嫌になる。
(席をくっつけて、一緒に話したりするのかな……)
「あれ、もしかして……」
「……うわあ!」
大生の予想に反して、祥太郎の友人二人は俯いている大生の顔を覗き込んできた。
すぐ近くから女子の匂いがして、大きな目が至近距離から自分を見ていることに驚き、大生は思わず仰け反った。
大きく傾いた椅子が隣の壁に当たり、ガタンと大きな音を立てる。
「噂の後輩ちゃんじゃない……?」
「待って、やばい。目がくりくりだし、私らのまつエクよりまつ毛長いじゃん」
あまりにも近い距離から見つめられ、恥ずかしさと読めない状況に、大生は何度も瞬きをした。
(先輩助けて……!)
「そうそう。可愛いでしょ?」
「先輩……」
祥太郎は大生のフォローをすることなく、女子と一緒になって大生の顔をまじまじと見つめる。
「さすが噂になるだけあるね」
「だろ?」
(さっきから、何の話?)
「噂って何ですか……」
消え入りそうな声で尋ねた大生を見て、二人はごめんと言って離れた。それから祥太郎のスマホを奪い、顔認証で解除する。
されるがままの先輩に戸惑いながら見ていると、女子二人はとあるフォルダを開き、大生の目の前に勢いよく差し出した。
「えっ……」
画面に映っていたのは、全て大生の写真だった。あまりの量に、大生の顔が引き攣る。
「これ! これをね、それはもう毎日のように見せられてね。可愛いでしょ? 可愛いでしょ? って聞いてくるの」
「……ええ」
(祥太郎先輩、何して……!)
「可愛いよなあ」
そういうことじゃない! と、さすがの大生も怒ってみせたが、祥太郎は女子二人と一緒になって画面をスクロールしている。
(先輩からの可愛いは嬉しいけど、でも、これは……恥ずかしい……!)
写真をよく見れば、いつ撮られたか分からないものもあった。
「さすがに毎回見せられるのは鬱陶しいって思っちゃったときもあったけど、実物を見たら分かる。反則級。毎日愛でても飽きないね」
大生の許可なく勝手に頬に触れると、「赤くなってるのたまんな〜い」と軽く摘む。大生の頬が、むにっと伸びた。
いくら先輩とはいえ、たった1歳差だし初対面なのに、と大生は少し失礼に感じた。それでも、これだけ先輩が僕の話ばかりしてくれていたんだと、嬉しさもあった。
(先輩って、本当に僕のことしか考えていないんだ)
さっきまで怒ったり、恥ずかしがったりしていたのに、今は緩む頬をおさえるのに必死だ。大生は口角が上がらないように、口をもごもごと動かした。
たったそれだけのことなのに、「きゃー! 可愛い!」と騒がれる。
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