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キミからの返事は、いつまででも待てるよ。

 最後の1コマを終えると、大生は先に祥太郎の家へと帰った。  大学から一緒に帰る予定にしていたけれど、『またアイツらに絡まれると面倒だから』と祥太郎からメッセージが来ていた。    鞄のポケットからもらっていた鍵を取り出す。いつでも使ってねと渡されたその鍵には、お揃いの犬のキーホルダーが付いていた。  大生は祥太郎にはまだ話していない。何となく先輩に似ていると思って選んだ犬だった。 (特別な鍵……! これがあるだけで空まで飛べそう)  大生は鍵を開け、「お邪魔します」と呟いて部屋に入った。  玄関の棚上には、二人で撮った写真が飾られている。狭いスペースに何枚も飾らないからと言って、祥太郎は定期的に写真を変えていた。 (先週のデートの写真だ)  ワンルームの部屋は、ほぼベッドで埋まっているけれど、狭くても大生にとってはどこよりも居心地の良い場所だ。  大生はベッドを背もたれにして、もこもこのカーペットの上に座った。 「大生〜!」  数分後、息を切らして帰って来た祥太郎は、部屋に入るなり大生に抱きついた。バランスを崩してベッドに倒れ込んだ大生の唇、鼻、頬にキスを落とす。 「あいつらに付き合ってるかと言うの、嫌だった? 今さらだけどさ」 「びっくりしたけど、嬉しかったです。本当に僕だけなんだなって分かりました」 「手紙にも書いたでしょ? もう中途半端なことはしないし、大生に対しても全力で表現したいからね」  祥太郎の言葉と、触れ合う体温に包まれて、溶けてしまいそうだった。 「僕、こんなに幸せでいいのかな」 「それは俺の台詞」  あのとき先輩に手紙をもらうまでは、こんなふうに過ごせるなんて思ってなかった。 「先輩、大好き」 「俺のほうが大好き」  大生は大きく手を広げ、「いたた」と祥太郎が笑うほど強く抱きしめ返した。 ◇ 「うわっ!」 「へ!?」  突然、スマホを見ていた祥太郎が声を上げ、スマホを投げ飛ばした。  隣でベッドにもたれていた大生がその声に驚く。  かたまったままの祥太郎を心配しながら、大生は飛んで行ったスマホへと手を伸ばした。画面を見ると、どこかで見たことのある二人が写っていた。 (特にこの人……。というか何だろう、この写真……)  左側の人は、目を見開き、どう見ても驚いている表情だ。そして特に見覚えのあるもう一人は、左の人物の頬にキスをしていた。   「この人……」 「あ、覚えてる? 大生が前に、“顔が整った人”って言ってたやつだよ」  祥太郎の言葉に、大生は、ああ! と思い出した。気まずさを抱えながら先輩の教室に行ったとき、伝言をくれたあの人か。 「ああ! って。顔が整ってるってところはやっぱり否定しないんだな」  祥太郎が唇を突き出した。まるで拗ねた子どもみたいだ。  大生は思わず吹き出した。 (先輩だって、可愛いじゃん) 「あのとき言えなかったことがあるんです」 「……え、何?」  悪い想像をしたのか、祥太郎の眉間に皺が寄った。大生はその皺をぐりぐりと押し、そこに口付けた。 「僕の好みは祥太郎先輩です」 「やばあ」

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