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キミからの返事は、いつまででも待てるよ。

 ついさっきまで触れ合ったにも関わらず、もう一回とでも言いたげな顔で、祥太郎は大生を押し倒した。  いつもなら応じる大生も、今はそれどころではなかった。さっきの写真が気になって仕方がない。 (先輩がかなり驚いていたし……) 「先輩待って。その写真、何だったのか気になります」 「え〜? 今ってイチャイチャの流れじゃなかったの?」  大生は先に起き上がり、祥太郎の腕を引っ張った。しばらく抵抗していた祥太郎も渋々起き上がる。わざとらしくため息をつき、口をへの字に曲げて大きく肩を落とした。  ふざけないでと、大生が祥太郎の肩を押すと、一度倒れる振りをして反動をつけ、祥太郎は大生に覆い被さった。  密着したままで、写真を開く。 「たまに話してた慧司(けいし)大真(はるま)だよ。付き合うことになったんだって」 「え!」 「慧司がこんな写真送ってくるタイプとは思わなかったし、あの噂のラブレターの送り主って大真だったなんてびっくり」 (噂のラブレターって、もしかして……) 「僕たちが付き合うきっかけになった、あの匿名手紙のことですか?」 「そうそう」  大生を抱きしめる祥太郎の手に、自分のを重ねた。 (何だかすごいや)  手紙の送り主の気持ちが報われたこと、その瞬間をこうして知れたこと。何より、あの手紙の二人のおかげで先輩と気持ちが通じ合えたから。大生にとって特別な出来事に思えた。 「素敵だなあ……」  大生は抱きついたままの祥太郎を引き剥がし、鞄へと手を伸ばした。ライトブルーの手帳を取り出し、ポケットに入れていた手紙を手に取った。 「え、それって」 「祥太郎先輩からのラブレターです」 「まじ? そこに入れて持ち歩いてるの?」  祥太郎の声が裏返る。 「当たり前じゃないですか。毎日好きなときに読むので」 「えー……恥ずかしいけど、でも嬉しい」  宝物ですよと付け足した大生に、祥太郎は手で口元を押さえた。「まじかあ……」とぼそりと呟く。   「……そういえば俺、手紙の返事もらってないんですけど」 「えっ、あ……、あのとき直接答えたのはダメなんですか?」 「ダメ……じゃないけど、俺もそうやって持ち歩きたい」  祥太郎は期待に満ちた目で大生を見つめた。   (そんなの、書かない以外の選択肢ないじゃん) 「ちゃんと想いを込めて書きます。だからゆっくり待っててください」  改めて、この気持ちを先輩に伝えるなら、どんな言葉を綴ろうか。  きっとこの手紙は、何枚書いても足りない。それでも今日も、明日も、あなたに伝えたい言葉は増えていく。 (今日だけでもたくさんある。クリームソーダも、「俺の恋人だから」と笑ってくれたことも……) 「分かった。いつまででも待つよ」 「十枚くらいになるかも……」 「はは、それは贅沢だな」  先輩を想って書く時間も、きっと宝物になる。  大生は、カラッと笑う祥太郎の胸に飛び込んだ。  

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