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再会の手紙。あなたに届きますように。
「……あっちゃん、俺、やっぱりまだ好き。あっちゃんがいないと……! ずっと、会いたかった……!」
響はそう叫ぶと、黒崎の元まで一気に距離を詰め、両手で抱きしめた。
「あっちゃん……」
黒崎は、振り払うことなく、響の腕の中で小さくなっている。
「響……お前、まだそんなこと言ってんのか」
「……ずっと言う。死んでも言う。この気持ちは変わらないから!」
「死んでもって、しつこすぎだろ……!」
黒崎は響の背中に手を回すと、思い切り背中を殴った。
拳が背骨に当たる。ドンッと鈍い音とともに痛みが広がった。
(でも、突き飛ばさないんだ……)
「あっちゃん、俺に、会いたくなかった?」
「……会いたくなかったよ」
黒崎の声も震えている。さっきまで響を殴っていたその手が止まり、大人しくなった。
背中に爪を立てられている感触がしたけれど、響にとってその痛みはどうでもいい。
何よりも安堵が大きかった。
「会いたくないのに、何でこのカフェにいるの?」
「……たまたま、だろうが。来ちゃいけないわけ?」
黒崎の反応に、響は勇気を出して言葉を続ける。
「俺が、すぐそこの大学って知ってたよね? あれだけ避けてたんだから、忘れてるはずないよね?」
「……っ」
尚臣から言われたことへの期待を捨てきれず、響がそう言うと、一瞬だけ黒崎の肩がびくりと動いた。
(やっぱり……)
「本当は、俺に会いたかった? 俺のこと、考えてくれてた……?」
「はっ、そんなわけ、ない……! 俺は、会いたくなかった! お前の顔、見たくもない!」
言葉では拒否を示すのに、黒崎は変わらず響の腕の中にいた。その身体は、ずっと震えている。
響への嫌悪とか恐怖は感じられず、ただただ小さくなっているだけだった。
「会いたかったよ。俺は、ずっとあっちゃんのこと、考えてた」
「俺は、違う……! 会いたいって思ったことなんか、お前なんか……!」
(あっちゃんの声、震えてる……)
響は抱きしめるのをやめ、黒崎の顔を覗き込んだ。今まで見たことないくらいの、くしゃくしゃな顔だった。眉を垂らし、唇を噛み締め、頬には大粒の涙が伝っている。
「……あっちゃん。じゃあどうして泣いてるの」
「……泣いて、ない!」
「泣いてるよ」
「うっ……うぅ、」
(あっちゃん、これで会いたくなかったは、何の説得力もないよ)
響は黒崎の涙を親指の腹で拭いながら、我慢できずにそっと瞼にキスをした。
涙は想像通りしょっぱい。でも、それすらも愛おしくてたまらない。
「あっちゃん……、好きだよ。大好き」
(この気持ちはもう、止められない)
響は鼻がぶつかる距離まで縮め、黒崎をじっと見つめた。視線からも気持ちが伝わるよう、愛おしさを込める。
黒崎は何の意地か、しばらくは逸らさずに耐えていたが、その後不自然にきょろきょろと泳ぎ出した。
「可愛い……好き……」
「お前、うるさすぎだろ……!」
もう見るな! と、響を押しのけた黒崎の手にはほとんど力が入っていなかった。手加減しているわけでもないだろうに。
(顔が真っ赤だ……)
「あっちゃんも、俺のこと好きって言って。会いたかったって、言ってよ」
「……い、言わない」
「じゃあキスするよ」
「……はあ? ふざけんなよ」
ようやく涙が引いて来たのか、黒崎は響を睨みつけ脛を蹴った。硬い革靴が当たり、響は思わず「ウッ」と声を出した。
(痛くても、嬉しい)
これまでの関係性が戻りつつあるというか、痛みが夢じゃないって教えてくれるというか……。
蹴られた箇所をさすりながら、響は頬の緩みがおさえられない。
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