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「ひいっ」  冒険者の一人が悲鳴を上げて岩陰で震える。  レンが腕を動かすたびに、ブシュブシュと血が噴水のように派手に飛び散る。 「一、二、三……」  レンは引きちぎった数を数える。  冒険者たちから恐怖の声が漏れる。  やがてレンが手を止めた頃には、クラーケンはもはや頭しかなくなっていた。その姿はさながら巨大なてるてる坊主のようだ。  海底には肉片が絨毯のように散らばっている。まさに、地獄絵図。  物陰から一部始終を見ていた冒険者は、思わず涙目で震えながら呟いた。 「どっちが海の悪魔だよ……!」  クラーケンの頭を最後にぐしゃりと踏み潰し、返り血を浴びながら、悪魔のようにホホジロザメの海獣人が笑った。咆哮(ほうこう)が響く。 「────覚えとけ、俺が最強なんだよ!」  ギザ歯と赤い目が、凶悪に海の中で光った。 ◆ 一ヶ月後  ピッ。  指先に包丁がかする。 「あいててて……指きっちった」  キッチンでエプロン姿のまま、レンは血がわずかに滲んだ指先をなめる。  目の前には可愛らしいタコさんウインナーがある。 「えっと。いち、に、さん……タコの足ってなんで八本もあんだよ! 八本は無理ゲーだろ!」  しばらく考えた後、 「……まあ四本でいっか」  とつぶやいた。  足がつくられるのを待機しているタコさんウィンナーはあと十匹。タッパーには他に卵焼きやお花型にくり抜いたにんじん、ハートの形をしたハムが並べられている。最後の飾り付け要員たちだ。  お弁当箱に詰められた白ご飯は、海苔で飾られ、シャチさんの姿をしている。 「こんだけやれば、オルも文句ねぇだろ」  そう言って、レンは指先に絆創膏を貼った。うまく貼れなくて、ちょっと絆創膏がよれる。 「……ピクニックって、こんな感じで良いんだよな?」  足が四本のタコさんウィンナーを眺め、レンは首を傾げた。      

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