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9-1 いざ、生徒会へ
その後は、シナリオ通り学園長がやってきて騒ぎを鎮めた。
ただ、ゲームと違うのは、レンの誤解が解けたこと。それから──オルキウスがいたことだった。
レンは午後の授業でぼーっと窓を眺めた。
「暴れ鮫、最近なんで皆勤なの……?」
「すごい真面目に教科書開いてんじゃん……」
「怖……」
生徒たちのひそひそ声も耳に入らない。
レンはペンを手に持ったまま考えていた。
『なんでシャチいないの!? シャチこそ王道の攻略対象じゃん!』
優太だった時、『蒼ロイ』をプレイして、真っ先にそう嘆いた。
シャチは王道の海洋生物で、人気も知名度も高い。別名、海のギャングだし、キャラも作りやすいだろう。
その時、ふと頭の隅で設定資料集のページが思い浮かんだ。
『いやあ、最初は別のキャラも攻略対象としていたんですけどね』
開発者インタビューだった。
「え、それってシャチでは?」と思ったのを覚えている。
当時、一番怪しいと言われていたのが、ゲーム本編には登場しない生徒会副会長だった。
まさにオルキウスのポジションだ。
オルキウスはビジュアルも飛び抜けて良い。明らかに攻略対象と同じくらい力が入れられている。
『ライバルキャラとして制作していたのですが、どうしても別キャラクターとのイベント量が多くなってしまって…… 』
当時ネットではいろんな噂があった。
未実装の理由は明かされていない。
「……あの」
考え込んでいると、誰かに話しかけられた。
「あ?」
反射的に凄んでしまう。
しかし、そこにいた人物を見てレンは目を見開いた。
「……アクア?」
そこには、少し怯えたように顔を引き攣らせているアクアがいた。
「授業、終わりましたよ」
「お、おう」
確かに見てみると、もうすでに授業は終わっていて、放課後になっている。
(なんで俺に……?)
アクアがなぜ自分に話しかけたのかわからず、訝しんでいると、アクアがにこりと笑った。
「良かったら、一緒に生徒会の見学に行きませんか」
「……は?」
思わずぽかんと口を開ける。ギザ歯がだらしなくのぞいた。
「僕、生徒会に入ろうと思うんです。アルシオンさんに誘われて。でも、一人では行きにくいので。副会長さんと仲が良さそうでしたし」
アクアの物おじしない様子に、レンは驚いた。
昼休みにアルシオンへ意見した時も驚いたが、今度は自分から暴れ鮫に話しかけてきた。
(……肝、据わりすぎだろ)
自分とは大違いだ。
「な、なんで俺……?」
かすれた声が出た。
アクアの口元が弧を描いた。
「僕たち、お友達でしょう?」
レンは敗北を感じた。
なんの勝負かはわからない。
でも、目の前で笑うアクアが、眩しく見えた。
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