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10-1 許される距離

「……お前たち二人には、選挙の準備が整うまでの間、生徒会補佐として働いてもらうことになる。いいな」  アルシオンが大きなため息を吐く。 「ただし、選挙の準備ができ次第、学園の生徒たちにお前たちが生徒会役員としてふさわしい人物かどうか投票してもらう。得票率が半数を切れば……わかるな?」  アルシオンは最後にレンをじろりと睨みつけた。 「上等だぜ」  レンも睨み返してしまう。 「わかりました」  アクアは素直に頷いた。 「選挙の準備までには日程調整もあるから、最低でも一ヶ月はかかる。それまでに変な行動を起こさないことだな」 「ああ?」 「レン」  眼光鋭くアルシオンを射抜いた時、オルキウスの手がぽんと肩に乗せられる。 「……オル」  ハッとしてオルキウスを見ると、にこにこと王子スマイルをしていた。 「君なら大丈夫だよな」  いつものオルキウスとは思えない口調と表情に慣れず、少し驚きながら「お、おう」と頷く。 「さすがオルキウス。暴れ鮫くんまで手懐けちゃうなんて」  イルカ獣人の会計、フィンがにやにやと笑う。 「てめぇ、潰すぞ」 「ひいぃ、怖いよぉ助けて」  調子良くオルキウスの後ろにさっと隠れたフィンは、そうは言うもののさほど怖がっている感じはない。どちらかと言うと面白がっている。 「今日のデザート何かな……」 「ルカ。集中して」 「あ、ごめん」  ラッコ獣人の庶務、ルカはぽやんと天井を眺めながらどこかに想いを馳せている。オルキウスにつっこまれて、慌てて謝る。  アルシオンは会長席に深く腰掛け、あくびをしている。  (おいおい、大丈夫かよ、この生徒会。まともなの、オルだけじゃねえか……?) 「あー! 今、大丈夫かよ、この生徒会って思ったよね! でも一番大丈夫じゃないの自分だからね! ……あ、やめてごめんなさい! オルキウス助けて!」  言いたいことだけ言ってすぐにオルキウスの後ろに隠れるフィン。 「じゃ、あとは頼んだぞ」  アルシオンはオルキウスを見てそう言った。オルキウスの眉が小さくぴくりと上がったのを、レンだけは見逃さなかった。 「……はいはい。しょうがないな。二人とも、ついてきて」  オルキウスは爽やかな笑顔を貼り付けているが、レンは分かった。  『また面倒増やしやがって』って絶対思っている。  レンは恐々とオルキウスの後についた。  (わ、悪い、オル……)  あれこれとオルキウスから説明を受けながら、レンは後で謝ろうと決意した。

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