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  「なんだ」  少し離れた場所に引っ張ってこられたオルキウスは、すっかり王子様モードではない。  レンはオルキウスの腕をつかんだままつぶやいた。 「……なんで」  よく聞こえなかったのか、オルキウスがレンに身を寄せる。 「…………なんで、アクアの手握ってんだよ」  オルキウスが一瞬、息を止めた。  じっとレンの赤くなった顔を見下ろす。探るようにレンの顔を見て、そして口元を緩めた。 「……気になったのか?」 「お、おう」 「そうか」  なぜかオルキウスは嬉しそうだ。  レンはオルキウスの胸を叩いた。 「お、お前、アクアのこと好きなのかよ」  金色の目が驚いたように見開かれた。  やがて、オルキウスがふっと笑ってレンの手を取った。 「……どう答えて欲しいんだ」  レンはびくりと肩を揺らして、恐る恐るオルキウスを見上げた。 「……違うって、言ってくれ」  オルキウスの金色の瞳がゆっくりと細められる。指先に力がこもった。 (オルは……違うよな?)  もし、ライバルだったら。  胸の奥がぎゅっと締めつけられた。  オルキウスはレンをしばらくじっと見つめて、やがて満足したように頷いた。 「違う。……だから、安心しろ」  ぐっと低い声に甘さが乗ったかと思えば、こつん、と額にオルキウスの額があてられる。 「んなっ……!」  レンはあまりの近さに、思わず身を引いた。  心臓が激しく波打っている。 「ち、ちちちちちちけえよ!!」  吠えて、レンはとっさにオルキウスの体を突き飛ばした。  (あ、やべ)  渾身の力で突き飛ばしてしまったので冷や汗が流れたが、あたりどころが良かったのか、オルキウスは少しよろけただけで、なんともないようにくすくすと笑った。 「悪い」 「わ、悪くはねぇんだけど! い、いきなり近えんだよ!」  レンはふいとそっぽを向く。 「き、聞きてえことはそれだけだったからな! もう戻るぞ!」  ずんずんとアクアの方へ大股で歩くレンの赤くなった耳を見て、オルキウスは口元が緩むのを抑えきれなかった。    

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