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12-2
「なんだ」
少し離れた場所に引っ張ってこられたオルキウスは、すっかり王子様モードではない。
レンはオルキウスの腕をつかんだままつぶやいた。
「……なんで」
よく聞こえなかったのか、オルキウスがレンに身を寄せる。
「…………なんで、アクアの手握ってんだよ」
オルキウスが一瞬、息を止めた。
じっとレンの赤くなった顔を見下ろす。探るようにレンの顔を見て、そして口元を緩めた。
「……気になったのか?」
「お、おう」
「そうか」
なぜかオルキウスは嬉しそうだ。
レンはオルキウスの胸を叩いた。
「お、お前、アクアのこと好きなのかよ」
金色の目が驚いたように見開かれた。
やがて、オルキウスがふっと笑ってレンの手を取った。
「……どう答えて欲しいんだ」
レンはびくりと肩を揺らして、恐る恐るオルキウスを見上げた。
「……違うって、言ってくれ」
オルキウスの金色の瞳がゆっくりと細められる。指先に力がこもった。
(オルは……違うよな?)
もし、ライバルだったら。
胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
オルキウスはレンをしばらくじっと見つめて、やがて満足したように頷いた。
「違う。……だから、安心しろ」
ぐっと低い声に甘さが乗ったかと思えば、こつん、と額にオルキウスの額があてられる。
「んなっ……!」
レンはあまりの近さに、思わず身を引いた。
心臓が激しく波打っている。
「ち、ちちちちちちけえよ!!」
吠えて、レンはとっさにオルキウスの体を突き飛ばした。
(あ、やべ)
渾身の力で突き飛ばしてしまったので冷や汗が流れたが、あたりどころが良かったのか、オルキウスは少しよろけただけで、なんともないようにくすくすと笑った。
「悪い」
「わ、悪くはねぇんだけど! い、いきなり近えんだよ!」
レンはふいとそっぽを向く。
「き、聞きてえことはそれだけだったからな! もう戻るぞ!」
ずんずんとアクアの方へ大股で歩くレンの赤くなった耳を見て、オルキウスは口元が緩むのを抑えきれなかった。
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