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15-1 思っていたのと
「暴れ鮫くんってさあ、なんか思ってたかんじと違うんだよね」
フィンは会計席でくるくる席を回しながらつぶやいた。
庶務の席に座って書類を眺めていたルカが顔を上げる。
「確かに、僕もそう思うかも」
おっとりと頷くルカに、フィンはこれまでのレンの印象を振り返っていた。
ワイルド系美形で、学園の生徒たちに騒がれそうなルックスなのに、その凶暴さのせいで誰も近寄りたがらない。
気に入った小型海獣人を見つけるとすぐに「噛ませろ」と強引に迫る男だった。
性的な意味ではなく、文字通り「噛む」。しかもギザ歯だから痛いようで、噛まれた小型海獣人たちは保健室で回復魔法を受けながらさめざめと泣いていたという。
攻撃力は王国でも随一。だけど、その獰猛さのせいで誰も手綱もつけられない。
見た目だけは良いけど、学園中から恐れられている暴れ鮫。
それが――。
「なあ、これ思うんだけどよ。風属性のやつら集めてパーティ組めばもっと効率よく攻略できると思うんだよな」
「このダンジョン、ボスからレアアイテムとれるからなるべく大勢で行った方がいいぜ」
「わっ!? ……んだよびびらせんなよ。誰だよこんなとこにウニ持ってきてるやつはよ! ……ペット? アホか!」
フィンはあちこち動き回るレンを見つめた。
「……思ったより、普通だよね」
「うん」
「もっとさ、『全員噛み殺す!』って感じだと思ってた」
「僕も。……噂なんて、当てにならないのかなあ」
いや、まだわからない。
フィンはレンを興味深く眺める。
確かに、相変わらず表情は怖いし口調も荒い。制服だって着崩しているし、長身で筋肉質だから威圧感もある。
なにより鋭い赤い目とギザ歯、傷跡が怖い。
「おい、フィン。サボってんじゃねえぞ」
「サボってないもん~」
「サボってんだろ! 誰が苦労すると思ってんだ?」
「オルキウス」
「オルに迷惑かけんな!」
フィンにぷんぷんと注意してくる様子は、恐怖の暴れ鮫というよりは、面倒見が良くてちょっと口の悪い苦労人、という感じだ。
(全然、思ってたのと違うんですけど)
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