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第12話 相談
高瀬は自分以外にも完全獣化をする人がいるのかと、未だ信じられずに成瀬と理央の会話を聞いていた。
しかも、理央はその能力を自在に操っている。高瀬のように能力に振り回されてはいない。
「……良いの?シンさん……」
「………………」
「……シンさん?」
「ん?あ、あぁ……」
「やった。じゃあ、今度な〜」
問いかけられ、とっさに返事をしたが、次の瞬間に後悔した。
理央がこの家に来て、成瀬と一緒に食事をする約束だ。
そもそも、なんで成瀬が理央の為に食事を作るんだ。
訂正する間も無く、理央はチラリと尻を見せながら帰って行く。
その肌色にも、高瀬の心はザワついた。
玄関を閉めた成瀬の背中に、問いかけた。
思った以上に低い声が出て自分でも驚く。
「何をしていた……?」
成瀬がゆっくりと振り向いて、多少目を逸らしながら答える。
「何もしてませんよ。黒猫を保護しようとしたら、理央だったんです」
思えばなぜ匂いで気付かなかったのか。理央は高瀬が獣人だとわかっていたのに。
「びっくりしましたよね。シンさん以外にも完全獣化が出来る人がいるなんて」
成瀬が夕飯作りますと、高瀬の横を通り過ぎようとした時、フワリと理央の香りがした。
「……ケン……」
高瀬は思わず成瀬の腕を掴み、よく分からない不安のような感情を表情に出してしまった。
「大丈夫ですよ。本当に何もしてません。俺はシンさんだけです」
捨てられた子犬のような目をした高瀬を抱きしめて、成瀬はゆっくりと背中を撫でてくれた。
成瀬の体に回される腕の力はいつもよりも強く、首筋に顔を埋められて、強く強く抱き締められる。
自分の匂いを付けるかのように高瀬が首筋に擦り着いてきて、成瀬は擽ったさに身を捩った。
「シンさん……それ、我慢、できなくなります……」
「少しだけだ……」
「でも……」
「少しだけ……」
「明日も仕事なのに……」
成瀬は控えめに、高瀬の脇腹を撫で、自分の下半身を高瀬に押し付ける。
言っていることとやっていることが違うが、成瀬の体は言うことを聞かなかった。
「ケン……あー、その……」
成瀬の昂りを感じて、甘えすぎたかと高瀬は体を離そうとした。
しかし、成瀬が抱きしめてくる腕の力は弱まらない。
「ごめんなさい。ご飯もまだなのに。でも、もう……」
成瀬の懇願するような顔に、高瀬は明日も仕事という言葉を反芻しながら、覚悟を決めた。
「……ベッド、行くか……」
戸惑いながらも、成瀬の為に買っておいた龍樹のおすすめグッズを思い出す。
明日の仕事に影響を出すわけにはいかない。
勇気を出して提案することにする。
「ケン、相談があるんだ」
ベッドに成瀬を座らせて、はやる様に服に手をかけてくる成瀬に一旦落ち着けと、話を切り出した。
「相談……?」
「あぁ、これなんだけどな……」
クローゼットの奥から、しっかりと梱包された龍樹おすすめの物を持ってくると、成瀬の顔が赤く染まっていった。
「これって……」
「…………お前が嫌なら使わない」
「………………シンさん、使いたいんですか?」
成瀬は箱に描かれているイラストをマジマジと見ながら、ゴクリと喉を鳴らした。
こういうグッズに興味がなかったわけでは無いが、実際に使うとなると恥ずかしさがある。
高瀬がこういう物を望むとは思っていなかった。驚きはあったが、高瀬の望みなら応えてあげたいと思う。
「お前が嫌なら、別にいい……」
気まずそうに高瀬は声を潜めて言った。
成瀬の拒否が、不安なのだろう。
高瀬を安心させたくて、耳まで真っ赤にしながら成瀬は微笑む。
「良いですよ。使ってみましょう。シンさんがやりたいのなら、俺も興味あります」
「………………そうか……無理はするなよ……」
どこか申し訳なさそうな高瀬から箱をもらって、開けてみると、綺麗なピンク色をした、質量のある立派な形の物が出てきた。
スイッチを入れると振動を始めるそれに、成瀬は多少体の中が疼くのを感じる。
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