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第2話

考えれば考えるほど、俺は自分のことを何も覚えていない事実に気付いた。 まず、年齢がわからない。 なんとなく幼い感じはするが、大人な感じもする。少年期というやつだろうか。ただ、少年のまま大人になったと言われても違和感はない。 次に、経歴がわからない。 家庭環境も、出身地や出身校やらが全くわからないのだ。 親はいたと思う。いや、いなかったら生まれていないからいるに決まってはいるが、どんな人間だったか、生きているのかすらわからない。 兄、姉、弟、妹。……うーん、わからない。いたような、いなかったような。 ――傷心に浸る暇もなく、何より現状がわからない。 正直、目の前に見えるのが日に焼けた男の胸板だというのは予想できている。マッパの男とベッドで同衾(どうきん)。 さらに言えば、俺のケツは割と大きめの主張をしていた。 (……昨夜、使用しましたよ、と) だが、俺は男が恋愛対象だとは考えていない気がする。なぜなら、今現在ドキドキはするがムラムラはしていないからだ。 とにかく。 目の前の男は、さり気なく俺の背中に腕を回して寝るくらいだ。俺を愛しちゃっているんだろう。 ちょっと顔を上げてみたいが、抱き込まれすぎてビクともしないので顔もわからない。 俺は何とか男の身体との間に腕を入れ、グイッと隙間を開けるよう力を入れた。 モゾモゾする俺に、男も目を覚ましたようでゆっくりと腕を緩めてくれた。 「起きたか、志津(しづ)。昨日は無理させて悪かった」 俺が何かを発するより先に、男は俺の額に口付け、あろうことか尻をネットリと撫でてきた。 これは、セクハラで訴えるべきだ。 そうは思うが、俺は何も言葉を返せなかった。なぜなら、完全に固まっていたからである。 だって、だって――。 声も出ないほど、めちゃくちゃイケメンだったんだよ。 アカン。これはアカンやつや。

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