3 / 3

第3話

俺が固まっている間にも、イケメンは俺の髪に顔を埋めたり、背中や腰を撫でてきたりする。 「起き抜けに志津がいるとか、幸せすぎる」 などと甘い声で(のたま)ったりしてきた。 これは、非常に言い出しにくい。 こんなにあからさまに恋人感を出してくる奴に、「お前、誰?」とか言えるわけがない。 いや、言わざるを得まい。だって、マジで何もわからないのだから。 よし。言うぞ。男は度胸だ。 「あ、悪い。志津、昨日は可愛く啼きっぱなしだったから、喉乾いてるよな」 うわ。俺にこのミッションはハードル高すぎやしないだろうか。 俺が度胸を見せる前に、イケメンは甘い言葉を残して、ベッドからあっさりと出て行ってしまった。 最後にサラッと頭を撫でていくあたり、慣れている。 ってか、当然のように歩いているけれど、あの人、真っ裸なんですけど。 男らしい引き締まったケツ筋に、俺はキュンキュンするより男として憧れてしまう。マジでやべぇな、あのケツ。 イケメンが持ってきてくれた水を大人しく飲みながら、俺は戻ってきたイケメンの息子をガン見していた。 何なんだ、あの存在感は。バズーカか。 俺のケツは昨夜、こんな凶器を収納したというのか。恐ろしすぎる。 ってか、こんなに堂々と裸を見せつけるイケメンが恐ろしい。 しかも、じっと見ていたら、なんだか元気になってきたような気がする。怖い。 このまま何も言わずにいたら、俺は自分の名前すら危ういまま、このイケメンと次のラウンドに入ってしまう! 「ぅあのっさっ……!」 震えるわ、つっかえるわ、情けなさ全開ではあるが、俺は何とか声を絞り出した。 どもりまくりはしたが、およその状況は伝えられたと思う。 記憶がなくて、自分の名前も現状も理解できていないこと。お前のこともわからないこと。 ちょっと落ち着いて話したいので、とりあえず服を着てほしいこと。 そして、最も大切なこと。 ――「一旦、まずはお知り合いから始めて頂けませんか」と。

ともだちにシェアしよう!