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第22話 第五章(1)

 志野が見せてくれた部屋は、聞いていた通り3階からなるメゾネットタイプで窓は開け閉め出来た。外にルーバーがついていてカーテン不要なのが気に入った。しかもモデルルームとして使用していたらしく、リビングには壁に棚が設置され、テレビや冷蔵庫、洗濯機などの家電製品まで揃っていた。  ベッドはセミダブル、ソファは牛革のキャメルカラーで3メートルはあった。クローゼットなどは備え付けなので家具を買い足す必要もない。食器類は少ないが一人暮らしには充分なほどの物が収納されており、ただ引っ越してくるだけで事が足りる。  これは即決するに限ると判断した。そして、この週末引っ越しとなったのだ。そもそも本部の宛がわれた部屋しか持っていなかったのだから、そろそろマンションを見つけていいころだった。日本での任務はそれほどなかったから今まで不自由していなかったが、夜遊びするたび白陀の部屋に居候するわけにもいかない。   自分の居場所を持てることにこんなに興奮させられるとは思いもよらなかった。 基本的に生活感のない黒龍は引っ越しと言うものさえ軽く見ていた。想像できない事態が起こることさえ予想できなかったのだ。それもそうだ想像できなかったのだから問題が降りかかるまで気づくわけがない――食料品が全くないことを。  完全完備のマンションであっても冷蔵庫は電源を入れないと可動しないしその中は当然空っぽなわけだ。そのことをこれっぽっちも思いつきもしなかった自分自身に黒龍は情けなさに唸った。買い物に行かないといけない。そのためには最寄りのスーパーを検索するか、近所のコンビニを見つけるかだ。まずはそこからのスタートだった。  いろいろ予測していなかった事態が起こったが、必要な服や私物を運び込み、食料や必需品を買い足し、何とか人が住める状態になった。新しい自分だけの場所での生活が始まったことに以外に心が躍りだした。しかも世羅と同じマンションなのだ。興奮しないなんてありえない。  一息ついてキャメルの革張りのソファーに寝そべり、目をつぶると脳裏に世羅が達した時の表情が鮮明に映し出された。ぞくりと甘い戦慄が駆け抜け、興奮で肌が熱くなる。 堪らなくあの男が欲しい。  ジーンズのボタンを外し、下着の中に手を入れると、そこは少し硬さを増していた。ナタリアのキスでは勃つこともなかったのに、世羅の顔を思い出しただけで欲望が熱く滾る。  片方の手でボトムと一緒に下着を引きずりおろし、腰を上げた状態で後ろに手をやり、尻を揉む。  後孔がヒクヒクと痙攣し、奥がジンと熱くなった。我慢できず指を挿しこむ。ゆっくり進め、陰嚢の裏当たりの敏感な場所を探した。  ピリッと電流が流れる刺激に腰が震え息を詰める。男根がビクンと震え屹立した。 「くぅ……はぁ……ああっ」  夢中で快感を追う。  喉を反らし、首を左右に振りながら、脳裏では世羅の快感に潤んだ瞳と目を合わせた。 「せ、世羅……ほしい……ぁぁっ……欲しい……せらっ」  前と後ろを同時に刺激すると、あっという間に白濁の液体が飛び散り服を汚した。  荒い息をさせ黒龍は脱力した。

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