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第49話 第七章(8)

 クチュクチュと淫らな音をさせお互いの舌を絡ませあいながら剥き出しの雄を擦り合わせる。その快感が全身に駆け巡り興奮を煽られた。痛くてもいいから早く繋がりたい。切羽詰まったような感情が沸き上がった。  黒龍は唇を離すと、屹立する世羅の雄を握り、ヒクツク穴に先端をあてがった。世羅の瞳孔が開いた。炭のような黒い瞳は瞳孔との境目がわかりにくく常に沼のように深く吸い込まれそうな闇だ。  しかし今黒龍は見た。世羅の深く暗い瞳の瞳孔が開くのを。神々しい気持ちになる。この男のすべてが欲しいと切望していた。  ゆっくりと中に招き入れるように、世羅の硬い男根を胎内に押し込んでいく。先端が入るまで慎重に押し込み、呑み込んだ後一気に体重をかけた。ず、ずずっと胎内を埋め尽くす圧迫感に恍惚となる。痛みよりも熱で焼かれてしまいそうだった。  黒龍は世羅の雄を煽るように腰を振った。世羅の喉から甘い喘ぎ声が漏れ始める。自分が世羅を犯している感覚に酔いしれた。  今、主導権を握っているのは黒龍だった。傷心の世羅を快楽に落とし、自分の思うままにしているのだと思うと得も言われぬほどの独占欲が芽生えてくる。  絶対に死なせはしない。そして誰にも渡しはしない。この男は俺のものだ。  世羅の眉間に皺が寄り、息遣いが荒くなるのを見つめながら黒龍は腰を振った。深く浅く、世羅を追いつめる。 「俺が護ってやる。絶対死なせない」  世羅の瞳がうっすらと開き、黒龍を見つめた。かすかにほほ笑む。 「神のみぞ知る……だ」  黒龍の全身が炎に包まれた。世羅が両手を黒龍の腰に宛がい激しく腰を突き上げ始める。狂おしいほどの嬌声を上げ黒龍は白濁の液体を世羅の胸元に飛ばした。数秒後、世羅が大きく痙攣し、体を波打たせ、達した。  絶望的なほど快感が持続する。堪らなく胸が苦しくなり、飢えたように世羅が欲しくなる。涙が溢れだしそうになるほど切ない気持ちが溢れだす。  世羅のすべてが欲しい。叶わないと知っている。だから尚更渇望してしまう。 「龍一」  世羅に名前を呼ばれ抱きしめられた。思わず涙が溢れだしそうになるのを黒龍は必死で堪える。 「俺が欲しいものが何かわかるか?」  そう聞かれ、考えるも上手い返答が浮かばない。素直に首を横に振った。 「俺が欲しいのは俺への揺るぎない忠誠心だ。絶対に裏切らない、絶対的な忠誠。それだけだ。お前が俺に忠誠を誓えるなら、俺は永遠にお前と共にいる」  全身が凍りつくような衝撃を受け、黒龍は体を離した。  立ち上がり、そう言った男の顔を見下ろす。世羅の表情は落ち着いていた。ゆっくり体を起こし、ソファに座りなおす。 「俺に忠誠を誓えないなら、お前を信用することはできない。龍一、俺は誰よりも、蓮よりも強いお前の忠誠が欲しい」  黒龍は立ちすくんだまま世羅の瞳を見据える。誰よりも強い忠誠。レンよりも、トゥルー・ブルーよりも……。無理だ。脳裏で自分の声がする。無理だ。と、何度も己の声がそう言った。 「俺の忠誠は、トゥルー・ブルーに捧げてるんだ。何よりも強い忠誠を誓った。でもあなたのことは絶対裏切らない。何があっても、俺はあなたを護る。それじゃダメなのか?」  世羅が緩く片方だけ口角を上げた。 「だったら俺も同じだ。お前は二番手で、一番ではない。つまり、お前を心からは信用できないという事だ」  茫然とする黒龍の腕を世羅が引っ張った。不意を突かれ抱き寄せられる。そしてまた唇が重なった。さっきよりも激しく唇を重ね舌を絡ませてくる。  その圧倒的な存在感と熱に黒龍は理性を失った。 「ヴォルコフの所には行かせない。絶対に。お前は俺のものだ」  激しいキスの間に囁かれた言葉を黒龍は記憶する。欲情の狭間に聞き取った言葉の意味をすぐには理解することはできなかった。  なぜなら欲情と快感に呑まれていたからだ。激しい世羅の劣情は黒龍の全身を満たし溶かしていく。 「くぅ……ああっ……も、もう、欲しい……」  世羅の喉が振動した。キスしながら笑ったのだ。世羅が身体を起こし、黒龍を押さえつけ背後に廻ると尻を持ち上げる。熱い先端が尻の割れ目に宛がわれるのを感じ息を呑んだ。  ぐっと押し付けられる熱い熱に瞳に官能の涙が浮かぶ。ぐっと押し付けられ開かれる熱い感覚に背筋が震えた。  二度目の侵入はスムースだった。世羅に翻弄され黒龍は我を忘れ悶えた。恥ずかしいほどの嬌声を上げ、全身から汗を拭きださせる。熱くて溶けてしまいそうだ。背後から激しく揺さぶられれば揺さぶられるほど快感が膨らむ。  黒龍はその得も言われぬ悦楽の虜になり、我を忘れた。 「いい、もっと、もっと……激しく……」  掠れた声で哀願する。世羅は何も言わずただ荒々しい息遣いで黒龍の望みを叶えた。

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