11 / 16
歓迎会
歓迎会の会場に選ばれたのは、球場近くの賑やかなスポーツバーだった。
店内には大型モニターが並び、壁一面には歴代選手のユニフォームや写真が飾られている。
ノヴァスの選手たちが入店すると、店員たちが笑顔で迎えた。
「Welcome!」
選手たちは慣れた様子で席につき、それぞれ飲み物を注文していく。
そんな中、陽彩だけは落ち着きなく店内を見回していた。
「すっげぇ!」
何もかもが新鮮だった。英語が飛び交う店内。日本とは違う料理の匂い。
どこを見ても映画のワンシーンのような景色が広がっている。
「Aizawa!」
チームメイトに手招きされ、陽彩は笑顔で駆け寄った。
席に着いた瞬間、目の前の大きなハンバーガーと山盛りのポテトが運ばれてくる。
「でっか」
思わず声を上げる陽彩に、テーブルを囲んだ選手たちが吹き出した。
「Welcome to America!」
陽彩は笑顔で親指を立てる。
「いえーい!」
グラスが何度も空になり、そのたび乾杯の声が響く。
陽彩の頬もほんのり赤く染っていた。
「ブラザー!」
隣に座る選手の肩へ腕を回し、けらけらと笑う。
「You’re my brother!」
「Hahaha!!」
選手たちも陽彩の勢いに負けず、大笑いしていた。英語は通じなくても、陽彩の明るさだけは十分すぎるほど伝わっていた。
気付けば肩を組み、ハイタッチを交わし、あちこちで笑い声が上がっていた。
「I love you!!」
陽彩はまた別の選手へ抱きつき、そのまま頬へ軽くキスをする。
「Whoa!!!」
歓声が上がる。そして次の標的へ向こうとした、その時だった。
ぐいっと、後ろから服の襟を掴まれた。
「もうやめろ」
聞き慣れた低い声。
陽彩が振り返ると、そこには呆れたような表情の凜が立っていた。
「えー、なになに」
「絡みすぎだ」
「もしかして嫉妬ー?」
陽彩は笑いながら凜の腕にしがみつく。
凜は無言のまま陽彩の額を指先で軽く押し返した。
「酔いすぎ」
「俺いつもこんな感じじゃーん」
凜は真顔のまま、短く返す。
「だから困るんだろ」
一瞬、陽彩はきょとんと目を丸くする。
次の瞬間、ぷっと吹き出した。
「それって心配してくれてんの?」
「しない」
「えー、つまんないの」
陽彩は頬を膨らませながら、もう一度凜の肩へ寄りかかる。
凜は小さく息を吐くと、その頭を小突いた。
「痛っ」
「少しは大人しくしてろ」
「無理」
即答する陽彩に、凜は呆れたように目を細める。
そんな二人を見ていた選手たちは、また腹を抱えて笑い始めた。
ともだちにシェアしよう!

