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【2部】第8話 心

『誘拐』と形容できる状況なのに、車内では至って普通の会話が交わされている。「ご飯食べた? おにぎり食べる?」だとか「その格好だと不便だな、ごめんね」だとか、気の抜けるような話ばかり振られた。そうこうして、車をコンビニ前で路駐させると、先ほど尋ねられた通りにおにぎりが買い与えられた。昆布と梅、そして緑茶。最後に食事を摂ったのは前日の昼であったため、丸一日ぶりの食事だった。  長い時間、車で揺られると山奥にある廃工場に辿り着く。建物内には一応灯りはついているが、それでも薄暗く、不気味だった。もちろん従業員は一人もいない。今は使われていない古めかしい工場設備を眺めて、大きな鉄製のハンガードアを潜り抜ける。すると、天井の低い通路につながり、進んでいくと休憩所のような場所に出た。その端に階段があり、コウは筿原に圧をかけられながらゆっくりと下っていく。今度は事務所のような、応接室のような場所。室内には三名の中年が待機しており、ソファがあるにも関わらず、誰一人として腰掛けていなかった。筿原に向けて大きな挨拶をすると、そのうちの一人がコウに向かって紙袋を手渡してくる。中を見ると、紺色のジャージとサンダルが入っている。新品ではなかった。「とりあえず、それ着て」と言われ、コウは断る理由もなかったため、素直に着替えた。  その姿を見て、筿原が「本当に子供みたいだね」と笑って、コウは無表情でその顔を見上げた。肩を抱かれて、また誘導される。冷たい廊下を歩くと、備品倉庫のような場所に辿り着いた。それはだだっ広く、血生臭い何かが漂っていた。コウは思わず入り口付近で立ち止まってしまうが、筿原に強く背中を押され、よろめきながら倉庫内に踏み入った。すると、結束バンドで手足を拘束された男性が目に入る。三十代半ばから四十代前半くらいだろうか。口をテープで塞がれ、まるで先ほどの自分と同じだった。しかし、瞳に怯えを宿し、カタカタと震えている様は自分とは全く違う。これが、本来の人間が取る反応。 「さてと」  筿原が煙草を咥え、火をつける。  コウは踵を返し、筿原と向き合った。ゴミ置き場に捨てられた粗大ゴミでも見るような視線が体躯に絡まりついてくる。筿原は懐から銃を取り出して、コウの胸に銃口を当てがった。 「俺に殺されるか、うちの一員になるか、どっちがいい?」  死という概念が命を掠めても、やはり取り乱すことはなく、心は虚しいほどに凪いでいた。  ──この人に殺されるのは嫌だ。でも、組の一員になるかどうかは理一さんの命令次第だった。理一さんが〝なれ〟というなら、なるしかない。でもきっと、理一さんは〝ならなくていい〟と言う気がする。  コウは静かに答えた。 「理一さんに訊いてみないと分からない」  淡々と告げると、筿原がコウの胸にぐりぐりと銃口を押し付けてくる。 「理一じゃねぇんだよ、お前に聞いてんだよ」  無機質な硬さが服越しに食い込んで、胸の骨に当たる。コウはその鈍い痛みを感じながら、また答える。 「分からない」  筿原が煙を吐いて、まだ吸い始めたばかりの煙草をその場に捨て、革靴で踏み躙った。 「本当に理一の操り人形なわけか」  胸から銃口が離れると、頬に手が伸びてくる。理一に殴られた頬は少し赤みが消えて、腫れも多少は引いていた。だけど、まだ痛みがある。その痛みを刺激するようにすりすりと撫でてくる手は、まるで理一が大切にしている人形を勝手に拝借して、手触りを確かめているようだった。コウ自体に執着心はないが、持ち主である理一が何故この人形に執心しているのかには興味がある、そんな感じだ。 「しかし、本当に肝が据わってるなぁ……これでビビり散らかすようなら、速攻で殺したんだけど……穂高が欲しがるのも頷けるね」  輪郭を撫で、そして離れていく。 「俺はね、君とお話ししてるんだ。理一じゃない」  筿原がコウの手に、自身が握っていた銃を掴ませる。強引に肩を抱いて正面を向かせた。 「自分の意思で、そいつのこと……殺せる?」  コウは先ほどの萎縮していた男性を凝視した。自分が強要されていることを整理して口を噤んでいると、耳元でため息が聞こえる。 「じゃあ、言い方を変えよう。俺の命令は聞ける?」  心地の良い低音。だけど、それは決して優しいものではない。 「殺せ」  また柔らかくも圧をかけてくる声。  コウは握った銃を自分の横にぶら下げるだけだった。 「……本当に理一がいねぇと何も決めらんねぇんだな」  再び耳元に近づいてくる吐息。 「どんなに従順になっても、アイツの一番にはなれないのに」  コウはピクリと肩を揺らし、瞠目した。 「所詮、君は有理には勝てない」  体の底が震えるような、味わったことのない感覚。自分の心が予期せぬ動きを見せ、内心で動揺する。心臓がドクドクと脈打ち、手が震える。  それに気づくと、筿原が声を上げた。 「あはは、分からなくなっちゃった? 自分の存在意義が」  乱暴に両肩を掴まれ、顔を覗き込まれる。 「君が誰に殺されようが一緒! アイツはすぐに君のことを忘れて有理のことで頭いっぱいになる。昔からそうだった」  コウは力無く顔を左右して、筿原を拒絶した。それでもしつこくまとわりついて、引き剥がせない。囚われて、嫌でも直視させてくる。 「アイツは君が死んだ後、有理の穴埋めをしてくれる別の誰かをまた探すんだよ」  現実を突きつけてくる筿原の厳格な瞳を見ていられず、顔を俯かせると、すぐに顎を掴まれて無理矢理に向き合わされる。 「君の代わりは、探せば簡単に見つかるの」  虚無の中に芽生えた深い絶望を見出されると、筿原は満足そうにそれを撫でて、楽しんでいた。息苦しくて、胸が上下する。コウは筿原から目を逸らし、最後には目を閉じた。視界を遮断しても感じる視線に、まるで陵辱をされているような気分になってくる。 「理一」  筿原が呼んだ名前に、ハッとして目を開ける。顎から手が離れ、筿原の体が倉庫の入り口を向いた。  倉庫内に入ってきたのは──花澄理一だった。後頭部に銃口を突きつけられ、ポケットに手を突っ込んで気怠げに連行されてきた彼だが、倉庫内のコウと目があった瞬間に、それは無様にも崩壊した。 「テメーが腹決めねぇからこうなってんだぞ」 「なんで……」 「テメーが仕事しねぇからだよ」  目の前の状況に絶句し、理一はコウを強く見つめた。どうしようもない状況の中で、必死に打開策を考えているのかもしれないが、暴力が支配するこの空間に救いの手などない。 「このおもちゃをうちに引き入れれば、お前も仕事に身が入るだろ? 俺からのプレゼントだよ」  理一が目を見開くと、すぐに殺意を露呈して筿原を睨みつけた。 「ほら、洸くん。そのおじさんを殺して」 「コウくん、何もしないでいい、何も聞かなくていい」 「西垣洸くん」  二人の声に責め立てられ、頭の中がぐちゃぐちゃに混ぜられる。何が正しくて、何が間違っているのか分からない。この男を殺した先に、何があるのか。  ──何をしても、理一さんの一番にはなれない。数ある選択肢からどれかを選び取っても、何も変わらない。  コウは耐えきれず、現実で飛び交う声と頭の中で勝手に反芻される言葉の責苦に無表情のまま耳を塞ぐ。だが、残酷にも筿原に両方の手首を掴まれて引き剥がされた。 「君が殺せないなら、理一に落とし前をつけてもらわないといけなくなるんだ」  耳に届く声が脅かしてくる。 「何、するの」 「何しようかな」  筿原が挑発するように理一を横目で捉える。 「……理一さんの体に、傷をつけるの?」  問いかけると、筿原が噴き出す。 「あはは! 傷なんて生易しいものじゃ済まないよ! こっちの世界舐めてるの?」  ふと、刺青一つない理一の身体が脳裏で思い起こされる。 「それは、嫌だな」  呟くと、筿原がコウの手首を放した。 「この人を殺せばいいの?」  筿原を見上げると、愉快そうな笑顔が肯定してくる。 「コウくん、ダメだ」  切迫した理一の声が引き留めてくる。それを遮る筿原の声。 「そう、できれば頭一発で仕留めてね」 「わかった」  コウは銃を見る。子供の頃にやっていたFPSに出てくるピストルに似ていた。記憶を頼りにスライドを引いて、トリガーに指を置いた。今思うと、あのゲームはリアルに作られていたんだと感心する。 「やめろ」  理一の絶望を孕んだ声が縋り付いてくる。  だけど、この人の身に何かが起きるのは嫌だった。  死を直前に頭の中が真っ白になっている男性に向かって銃口を向けた。  ──これは、やってはいけないこと。やってしまったら、もう普通には戻れない。  ──戻れなくてもいいから、俺はこの人を──花澄理一を守りたい。この人以外、どうでもいい。  照準を合わせて、引き金を引く。  パンッ、という乾いた音が鳴ると、それはすぐに終わった。  倉庫内が静まり返り、異様な空気が流れる。理一を連行してきた構成員はコウに人殺しなどできないと高を括っていたのだろう、目の前の惨状に口を開けながら呆然としていた。  その中で、突然筿原がパチパチと手を叩き始める。 「やっぱり君はうちに必要だよ」  コウの肩を抱き、摩る大きな手。 「なぁ、理一も欲しいだろう──」  筿原が振り返った直後、再び銃声が鳴る。  ──理一が構成員から銃を奪い取り、発砲していた。 「ダメだって言っただろ」  その弾丸は、本来の銃の持ち主を貫き、命を奪っていた。ちょうど駆けつけてきた構成員が倉庫の入り口に現れると、理一は再び躊躇うことなく発砲する。飛散する血に壁が汚れ、人一人が倒れるとバタンと大きな音が鳴った。  コウはその状況に現実味を見出せずにいた。この光景を知っているのに、やっぱり実感が持てない。  理一は二人もの構成員を殺すと、今度は銃口を筿原に向けた。  筿原は危機的状況にも関わらず、満足げに微笑んで、崇めるように理一を捉えた。 「俺はお前のそういうところを見込んでいるんだよ、理一」  言葉の後に、筿原の肩が貫かれ、次に膝を貫かれる。筿原は立つことができなくなり、その場に崩れ落ちた。身体に走った衝撃に眉根を寄せてはいるが、アドレナリンが出ているのか悲鳴すら上げずに、相変わらず微笑んで理一に心酔していた。 「僕は、あんたの跡は継がないよ」  理一がしゃがみ込み、筿原の額に銃口を突きつける。 「理一」 「お世話になりました」  理一は無理に笑って、投げやりに引き金を引いた。  銃声と共に飛び散る赤。  筿原の亡骸を数秒見つめてから立ち上がった理一の腕は酷く震えており、呼吸は走り回った後かのように乱れていた。  カタ、と背後で音がして理一が振り返る。 「す、すみませ、……お、俺は……!」  先ほどコウにジャージを受け渡してきた男が倉庫の入り口で震えており、理一はゆっくりと近づく。距離が縮むと、情けない声が短く上がった。 「僕に殺されるのと、自分で死ぬのどっちが良い?」  理一は、冷たい眼差しで男の懐に隠されている銃を指先でツンツンと触る。 「男だろ、腹を決めろ」  男は震えながらおぼつかない手つきで銃を取り出した。そして、自身の額に銃を当て、ハンマーを落とす。  だが。それはすぐに理一に向けられた。トリガーに指が置かれ、即座に発砲されるが、男の震えた腕は理一を取り逃がし、弾丸は情けなくも倉庫の壁にめり込んだ。  理一はため息をつくと、男に銃口を向けて、銃声と共に男の息の根を奪う。  生きている人間が、理一とコウ以外いない空間。あたりには嗅いだことのある匂いが漂っている。子供の頃、鉄棒で遊ぶと手についた匂い──母さんと父さんが、この人に殺された日と同じ匂い。  コウはふと、絶命している筿原を見つめる。  ──どんなに従順になっても、アイツの一番にはなれないのに。  目を逸らしたい想いが込み上げると、突然腕を掴まれる。 「コウくん、逃げよう」  それはするりと下がって手を握りしめてくる。理一は辺りを警戒しながら、倉庫の外に出た。倉庫より幾分か明るい廊下に出ると、理一は立ち止まってコウのジャージのジップを下げる。ジャージは紺色であるため、あまり目立たなかったが、その下に着ていたサイズの合わない理一の白いTシャツにははっきりと血が付着している。これは物的証拠になるだろう。 「着替えないとなぁ」  理一はジップを元に戻すと、再びコウの手を引く。 「どこに行くの」 「うーん……海外かな。もう日本には居られないでしょ」  海外と言われてもピンと来なくて、今後どうなるのかまったく想像ができなかった。 「最悪な状況だけど、一応伝はあるから安心して」  ──この人は、この期に及んでまだ俺と生きようとしている。 『君が誰に殺されようが一緒! アイツはすぐに君のことを忘れて有理のことで頭いっぱいになる。昔からそうだった』  筿原の声がまた脳裏を揺さぶって、自分の存在の無意味さを叩きつけてくる。  コウは理一の手を振り解いた。 「理一さん、もう終わりにしよう」  薄暗い廊下で立ち止まる。 「これ以上進んだら、理一さんが理一さんじゃなくなる」 「なに……」 「有理くんの写真、傷付けてごめんなさい」  コウは筿原に握らされた銃を自身のこめかみに当てがう。 「ひと足先に地獄で待ってるから」  理一が信じられないものを見るように言葉を失うと、すぐに強靭な腕が伸びてくる。 「や、めろっ!!」  コウから銃を取り上げ、自身の後ろに乱暴に放り投げた。理一はすぐにコウの胸ぐらを掴んで手繰り寄せる。 「何考えてんだよ、お前──」 「もう、許して……」  消え入る声に、コウの様子がいつもと違うことに気がついたようだった。 「いつまで待てばいい?」  理一を見上げる大きな目から大粒の涙がこぼれて、頬を伝っていく。 「俺はもう、この世界にいたくない」 「なんで」 「俺は有理くんに勝てない」  理一はコウの胸ぐらを力無く放した。コウの目尻からとめどなく溢れる涙に釘付けになって、表情には動揺が浮かんでいる。  コウは静かに涙を流しながら続けた。 「俺を殺させることで、理一さんの心に有理くんを失った時よりも大きな傷をつけられたらいいなって思ってたけど、そんなのできるわけなかった。結局俺は、理一さんの一番になれない。一緒に飯を食っても、体を繋げても」  ずっと、筿原の言葉に苛まれている。コウは自覚したことを全部口に出していく。 「そんなの当たり前だ。家族と他人じゃ、価値が覆るわけがない。それ以前に、俺は理一さんにとって仇でしかない。有理くんにも酷いこと、たくさんしてる」  写真立てを叩き割った時の生々しい感覚まで蘇ってくる。 「俺は、こんな醜い自分に耐えられない……もうどうでもいい……お願いだから、早く俺を死なせて」  肩を震わせて、ぼろぼろと涙をこぼし続けると、理一が小さく笑った。 「どうして僕が君の望みを叶えなきゃいけないの?」  上から、色欲に濡れた支配的な目が見下ろしてくる。 「僕は元々、君に復讐がしたくて君といるんだよ」  コウの体を捕まえると、廊下の壁に押さえつけ、閉じ込める。 「絶対に殺さない。一番にもしてあげない」  耳元に口を寄せて囁かれる。 「そうやって僕のこと永遠に憎んでてよ」  コウは自分が何を言われているのか理解すると、また涙をこぼした。早く、死んでしまいたいのに。 「コウくんも人間なんだ」  理一はコウの涙に触れると頬を撫でてくる。  表情は高揚していて、その様に加虐心を煽られているようだった。それは今まで見たことないほどに満足気で、全能感すら透けて見えた。  服の中に手が忍び込んできて、腹を撫で、胸を撫でてくる。コウはその手を掴んで、引き剥がそうともがく。だけど、理一の力に勝てるわけがなかった。  抵抗するコウをみて、理一は何かに気がついた。 「いいや……やっと、人間に戻れたんだね」  服の中から手が這い出ると、今度は壁に向かい合うように押し付けられ、ジャージのズボンをずり下ろされる。 「いやだ……」  数時間前までディルドを咥え込んでいた中は、まだぐちゃぐちゃで理一を受け入れることは容易かった。尻に理一の勃起したものを押し当てられ、犯されることを予感した。 「決めた」  理一が自身のものをくつろげると、コウの奥を埋めるよう、容赦なく挿入する。コウはビクビクと体を震わせながら、「嫌だ」と泣いた。泣いても、許されることはなく、全てを収められる。 「絶対に君のことを殺してやらない」  ゆっくりと抽送が開始されると、ぐちゅぐちゅと卑猥な音がして、耳を犯される。 「大切にするよ」  ねっとりと、服従させるように絡みつく言葉。  コウはつま先立ちで震えながら理一から与えられる柔い衝撃に耐えていたが、理一の腕が腹に巻き付いてくると、体を持ち上げられ、足が地面から離れる。  柔いピストンから、叩きつけるような容赦ない攻め方に変わり、コウは絶望しながら体を貪られる。結腸にまで届く理一の先端に体は拒絶反応を示すのに、理一はコウが壊れるのも厭わずに激しく堪能していた。  理一は心底楽しそうに、吐息に笑みを織り交ぜてコウをいたぶり続ける。繰り返してきた性行為のせいで、コウの身体は抗えず、快楽を見出している。  ──どんなに従順になっても、アイツの一番にはなれないのに──所詮、君は有理には勝てない── あはは、分からなくなっちゃった? 自分の存在意義が──君が誰に殺されようが一緒! アイツはすぐに君のことを忘れて有理のことで頭いっぱいになる。昔からそうだった──アイツは君が死んだ後、有理の穴埋めをしてくれる別の誰かをまた探すんだよ──君の代わりは、探せば簡単に見つかるの──。  体の中を理一の大きな肉棒でめちゃくちゃにされ、最後に熱が吐き出される。激しく消耗させられたことで思考が霞み、否定しても消えない筿原の言葉が刻印のように刻みつけられる。  床に下ろされると、内股が震え、ガクガクと揺れる。出さずに達して、体の底が疼いていた。理一はコウの体をひっくり返すと口を塞ぎ、コウの片足を抱えて、また硬くなった自身を擦り付け、挿入する。  理一からカードを与えられた時、自分の欲しいと思うものが何も分からなかった。  けど今、痛いほどに自覚した。  手に入らないとわかっているのに。  俺は、この人がどうしようもないほどに欲しかった。  望みは、叶うことなく冷たい快楽に溺れ、沈んでいく。

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