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第7話 ひとときの恋人
「管理官殿から、聞いていたんです。
ディッカーとなる方々は、とにかくウルラとなる方を大切になさると」
目の前の人は、そう言って、少し前屈みになって、両手で額を覆った。
足に肘をついて、体重を預ける。
その手のひらに隠れて、何の表情も、わからなくなった。
「……それは、申し訳ないと。……思って……」
苦しげに吐き出した言葉の後、少し間があいて、
ささやくように、その人は言った。
「だから……、――よかった……」
大切に。
お互いせめて、その心を、大切にしたらいい。
そういうお互いを、尊重しあえれば。
「雲母 ……」
するりと、言葉が口からこぼれ落ちた。
それに呼応して、向かいの顔が、ぱっとあがった。
目を――おそらく、合わせて、告げる。
「お互い、その想いを大切にしましょう。
……そういうお互いを、大切に。
――だからその、……マイカと、呼ばせてください。あなたのこと」
きらきらしているけれど、儚く脆く、
雑に扱えば、壊れてしまう。
なくさないように、大切にするために。
お互いの想いを、二人の間に。
目の前の人が、ゆっくりと頷いたのが、わかった。
お互いの確認をして、名を、つけた。
あとは——
番いを申し込む。
確認票の最後の一文――定型句を、もう一度目線でさらう。
はじめてこの定型句――慣わしのことを聞いた時には、なんてくだらない約束事かと思ったけれど、
こうして、言葉と約束を交わすから、か細い「番い」なんていう繋がりを尊重できるのかもしれない。
そう感じながら、ディッカーとウルラが交わす、唯一の約束ごとを口にした。
「あなたが良ければ、……この番いを受けてくださるなら」
この人と番って、ジェスの自慢の友になる。
ひどい皮肉だ。
「番いが成立するその日まで、
俺の、ひとときの恋人になってください。」
お互い、心などどこにもない、虚ろな番い。
グエンの言葉に、マイカはゆっくりと頷いた。
「…………はい」
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