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第二章 欲に塗れた日々(2)

 三日目と四日目は同じように過ぎた。  ひとつ変わったことがあったとすれば、首輪付きだが風呂に入れるようになったことだ。一成と一臣の介助付きではあったし、彼らが一緒である以上、ただで済む話でもなかったが、濡れタオルでさっと身体を拭かれるだけよりかはよっぽどマシだ。何といっても汗と精液に塗れた身体を綺麗に出来るのである。乳首やペニス、アナルを念入りに洗われるぐらいどうってことはなかった。  五日目の夜もそんな風にして迎えた。  感度のいい俺の身体は、彼らとの入浴ですっかり火照ってしまっていた。彼らもそこを心得たもので、俺が射精する寸前で愛撫の手を止めてしまう。早く続きがしたい。いつもと同じポーズでベッドに拘束された俺は、潤んだ目で一成と一臣を見上げながら、その瞬間を待っていた。  謹慎生活は明後日で終わる予定だが、父親からの連絡はまだなかった。本当に俺に骨休みをやらせるつもりなのか、様子を尋ねる連絡すらない。その辺は、恐らく一成と一臣が処理しているのだろう。きっと自分たちに都合のいいことを云っているのに違いない。だったら物語の流れに従って楽しみ尽くしてもいいではないか。何より、四日に渡って一成と一臣に開発された俺の身体は、彼らとの行為にすっかり馴染んでしまっていた。  今更、何もなかった顔をして元の生活に戻るのは難しい。そう感じてしまうほどに、彼らとの生活は俺の欲を掻き立てた。  乳首とペニスとアナルを同時に触られる悦び。あんな快感はこの世に二つとない。早く。早く。俺は心の中で彼らを急かした。その思いが通じたのかはわからない。ようやく彼らが動く気配をみせる。 「今日の望海様は、随分と物欲しそうな顔をなさっていますね」  おもむろに口を開いた一成が、ゆったりとした所作でベッドに上がってくる。ああ、始まるのだ。俺の胸は期待に高鳴った。 「今日もたっぷりと気持ち良くして差し上げますからね」  きっとその方がそそる格好であるのだろう。俺の首には先程の入浴で嵌められた首輪がそのままになっていた。そこに手を伸ばしてきた一成が、愛おし気に首輪を撫でてくる。眼前に近付いてくる眉目秀麗な顔。一成に口付けられた俺は自ら彼の柔らかい口唇を貪った。 「ふふ、すっかり私たちとの行為に慣れてしまわれたご様子。先が楽しみですよ、望海様」  続けて左側。ヘッドボードを回り込んでベッドに上がってきた一臣が俺の胸元に手を滑らせてくる。精悍さを窺わせる端正な面差しは、興奮の色を隠しきれていない。今日はどんなことをされるのだろう。乳首を弄び始めた一臣の長い指に、うぅん。と、俺は小さく声を上げた。 「今日は最後までさせていただきますよ、望海様……」  俺の耳朶を食みながら、じとりとし た粘度を感じさせる声で一臣が囁きかけてくる。ああ、ついに。俺はゆっくりと脚を開いた。アナニーなんて目じゃない快感を覚えるようになったアナルを一臣に差し出す。腿を伝って脚の合間に滑り降りてくる一臣の骨ばった手。ゆるゆるとアナルの口を弄り始めた一臣の指に、俺はじれったいようなもどかしいような気分に襲われた。  早く、この中に一臣の指を感じたい。  覚え込まされた蜜の味が、俺をどんどん大胆にさせていく。俺は一臣の指をアナルの奥に招き入れるように腰を揺すった。口を閉じたアナルの窪みに、彼の指の腹が触れている。けれども、それ以上奥には挿入(はい)ってこない。それが切なくて仕方がない。 バスルームで散々可愛がられた身体が、いい加減射精をしたいと泣いている。は、やく。一成の口付けから解放された俺は、即座に小さく声を上げた。 「なんていやらしい方なのでしょう、望海様は」口を開いた一成が、俺の顔を覗き込んできながら続けた。「こんなに欲望に正直な方だと知っていれば、もっと早くこうしてあげられたものを」 「本当に」一臣がそのあとを継ぐ。「心配になるほどに感度が良くていらっしゃる」 「初めてとは思えませんからね」 「ご自分で弄ったこともないと仰いますしね」  そうして顔を見合わせるとふたりでふふふと笑う。  その余裕たっぷりの表情が憎たらしい。  こっちはずうっと我慢をさせられ続けているというのに、自分たちのペースを崩さない一成と一臣。その口惜しさが表情に滲み出ていたのだろうか。「ああ、そんな表情も素敵ですよ、望海様」うっとりとした眼差しになった一成が、俺の背中の下に身体を潜り込ませてくる。 「枯れ果てるまで抱いて差し上げますからね」  云うなり、後ろから一成の手が乳首に回ってくる。指の腹で乳首を摩られた俺は、背中をしならせながら、一成に訴えた。 「ひゃっ、あん。それ、も、いい」 「わかっていますよ、望海様。もっとして欲しいのですね」 「あっ、違、はやく、はやくイカせて」 「ええ、ですから乳首を可愛がって差し上げているのでしょう。それとも、望海様はもっと違う場所に刺激が欲しいのですか」  そうだ――とは、云えなかった。  俺の平均的なサイズのペニスよりも一回りは大きい、一成の硬いペニスが俺の双丘に当たっている。とうに恐怖心は薄れ、期待ばかりが胸を占めるようになっていた俺だったが、素直に欲しいとは口に出来ない。何せ男との性行為(セックス)は、前世も含めて初めての経験であるのだ。どう振舞うのが正解かは俺にはわからなかった。  あまり物欲しがって、初めてあることに疑いを持たれては堪ったものではない。現に彼らは俺がこれまで過激な自慰に耽っていたのではないかと疑っているようだ。その疑惑がより酷い方向に向かわないよう、俺は自身の行動をコントロールする必要があった。  俺も男だからわかるが、男というものは女性が思うより、相手の初めてに拘りがある生き物だ。俺の身体を彼らが開発しようとしているのもその気持ちの表れだとすれば納得がゆく。ならば、彼らの虚栄心を満足させてやるのはどうか。  そうすれば俺の人生は物語通りに進んでゆく筈だ。  そう、今の俺は生徒会メンバーとのハッピーエンドを目指していた。そりゃあそうだ。こんな過激な執着心を向けられているのだ。一歩間違えれば、どんな目に合うかわかったもんじゃない。俺は俺とヒロインのエンドが俺に降りかかってはこないかと心配していた。このまま、マンションから出ることも叶わず、彼らに抱き潰され続ける。それだったらハーレムエンドを迎えた方がいいに決まっている。 「ほら、望海様。云ってください。どこを可愛がって欲しいのか」 「ちゃんと云えたらご褒美ですよ」  アナルの口にあてがわれている一臣の指が、ひだをゆっくりとなぞり始める。  俺は理性を捨て去った。  当たり前だ。入浴からこっち、俺はずうっと射精を我慢させられているのだ。とにかく気持ちが良くなりたい。例えそれが初めての経験となるアナルセックスであっても、俺はもう構わなかった。だから、「お願い」と俺は口を開いた。 「お願い、だから……俺の、後ろの穴、を、可愛がって……」  涙目になりながら懇願すれば、嗜虐心が満たされたようだ。脚側に回り込んできた一臣が、俺の腿の裏側に手を差し入れてくる。持ち上げられた脚に腰が浮き、物欲しそうにひくつく俺のアナルが露わとなった。 「ここを可愛がって欲しいのですね、望海様は」  風呂でじっくりとほぐされたアナルの入り口に自らのペニスをあてがってきながら、一臣が尋ねてくる。一成同様、こちらのペニスも俺のペニスより大きい。入るのだろうか? そう思いながらも、欲には逆らえなかった。俺は一臣を上目遣いに見上げつつ、こくこくと頷いた。  一臣が「なら、遠慮なく」と、腰を進めてくる。  クリームなしでも指を受け入れるようになっていたアナルだったが、ここまで太い異物を受け入れるのは初めてだ。前世でも俺は細いディルドしか経験がない。それでも気持ち良くなれたのだ。期待は出来る。だが、素直に俺のアナルがペニスを受け入れてくれたものか――そんなことを考えていると、ずぷりと先端がアナルの口を割った。あ、あ、ああ。ずぷずぷとアナルの中に一臣のペニスが挿入(はい)り込んでくる。内臓にみっちりと詰まった一臣のペニス。俺はゆっくりと腹から息を吐き出した。 「ああ、凄く柔らかいですよ、望海様のここ……」  じゅぷり。腰をグラインドさせた一臣の動きに、つんと突き立つような快感がペニスの裏側を駆け抜けた。  ひゃん。短く声を上げた俺に安心したようだ。「如何ですか、望海様。初めてのアナルセックスは」耳に口唇を当てて、そう俺に問いかけてきた一成が、乳首に置いた指を忙しなく動かし始める。あ、ひゃ。い、いい。いいよぅ。俺は甘えた声を放ちながら、一臣のペニスを深く体内に受け入れた。何度も、何度も。  深く潜り込んできては、浅く抜かれる。たったそれだけの動きなのに、前立腺が強い刺激を受ける。ああ、望海様、望海様。熱に浮かされたように俺の名前を呼ぶ一臣の、余裕を失った表情が愛おしい。もっと、もっと突いて。そこ、そこ、そこがいい。ベッドに繋がれている俺は手を動かせないことをもどかしく感じながら、足先を一臣の腰に絡ませた。ここですね。そう返事をしながら、一臣がペニスの先端で俺のアナルの奥まった場所にある前立腺(いいところ)を叩いてくる。 「あっ、イイ。イイ、一臣。そこ、イイ。もっと、もっとぉ」  初めての経験は、俺の価値観を塗り替えるほどの衝撃だった。こんなに気持ちがいいものなんだったら、前世でも女性に拘らずに、経験しておけばよかった。微かな後悔を胸に潜ませつつ、俺は一臣の動きに合わせてよがった。そうして嬌声を上げた。白くほっそりとした俺の脚が、滲んだ視界の向こう側で揺れているのを眺めながら、ずうっと、ずうっと。 「はあっ、ああ、望海様。出そう、です。こんなの、気持ち良過ぎます」  どのくらい時間が経ったのだろう。無言で腰を振り続けていた一臣が、不意に言葉を発した。 「あ、ま、待って。俺、まだ」 「駄目です。出します」  俺のペニスはどろどろに濡れていたが、射精はまだだ。だが、それを省みる余裕も一臣にはもうないようだ。いっそう腰の動きを激しくすると、俺の前立腺を狙いすましたように叩いてきながら、あっあっと喘ぎ声を放ち始めた。 「出ます。出ますよ、望海様。あなたの中に、出します」  ぐいとペニスを押し込んできた一臣が、直後、腰を小刻みに震わせた。あ、あ、ああ……。甘ったるい声を放ちながら、俺のアナルの奥に精を放った一臣。もう少しでイケそうだった俺は梯子を外された気分だったが、どうこう云っても始まらない。弛緩したペニスが抜き取られるの待って、彼と軽く口付けを交わす。 「次は私がお相手ですよ。よろしくお願いしますね、望海様」  俺の背中に胸板を密着させたまま、一成が俺の身体を横に返す。チャリチャリとベッドに繋がれている手枷が音を立てた。  胸元から滑り落ちてくる一成の手が、片腿に添えられ、かと思うと俺の左足を二つに折った。開いた双丘の奥から、どろりと、今しがた一臣に注がれたばかりの精液が溢れ出てくる。ごくりと喉を鳴らした一臣が、ベッドの足元側に腰を付く。彼に視線を注がれながら、一成が俺のアナルにペニスを挿入してきた。  ぬとりと入り込んできたペニスの先端が、前立腺に当たる。あっ。俺は身体を震わせながら、一成が腰を動かすのを待った。一臣のよりも大きくて硬いペニス。存在感の強いペニスが俺のアナルの中で熱を放ちながら息衝いている。 「ふふ、凄くぬるぬるしていますね、望海様のここは」 「柔らかくて気持ちがいいのですよね」 「本当に。しかもこんなに簡単にペニスを受け入れて」 「喜んでいらっしゃるのでしょうね。アナルの口がひくついています」 「なら、もっと喜ばせて差し上げなければ」  じゅぷり、と、俺のアナルが音を立てた。  一度、深く俺の中にペニスを突き立てた一成が、少し間を置いてから腰を動かし始める。体勢的に当たり易いのだろう。亀頭がぐりぐりと前立腺を抉ってくる。 「あっ、はぁ、そこ、そこ、イイっ」 「ここを突かれるのがお好きなのですね、望海様は」  耳介を舐め回してきながら腰を進めてくる一成に、俺はこくこくと頷いた。  アナルの入り口をペニスで押し広げられた先にある俺の秘密の花園は、まるで最初からそれが当たり前だったとでもいうようにペニスを受け入れている。堪らない。俺は双丘を一成の下腹部に押し付けた。もっと奥にこの熱い昂ぶりが欲しい。そしてどろどろに溶かされたい。俺は歓喜の声を上げながら一成にねだった。 「あ、はん、ふっ、もっと、もっとぉ」 「もっと? どうして欲しいのです、望海様は」 「もっと、いっぱい、突いて」  アナニーで感じたあの気持ち良さなど目ではない快感に、俺は我を忘れた。いやらしい音を立てながら一成のペニスを飲み込んでいる俺のアナル。ぱっくりと開いた穴の奥に、亀頭が嵌まり込む。  小さく前後に振れる腰。小刻みにいいところを刺激された俺は、絶え間なく襲い掛かってくる快感に両手を握り締めた。出る、出ちゃう。子どものように甘ったれた声を放ちながら、腰を突き出す。もっと、もっと深く、これが欲しい。一臣の腰全体を使った動きとは異なる腰の動きに、射精を先送りにさせられ続けている俺の理性は崩壊しそうだった。 「ああ、なんていやらしいお姿でしょう。後ろの穴を男に突かれて喜ばれるなんて。普段のあなたからは考えられない姿ですよ、望海様。そんなにこれが欲しかったのですね」  またこくりと頷く。  もうどうなってもいい。これが不幸の幕開けでもなんでもいい。とにかく射精()したい。射精()してすっきりしたい。頭の中が欲望でいっぱいになる。俺はだらしなく口唇を開いて、言葉にならない喘ぎ声を放った。ああ、可愛い。吐息混じりに呟いた一臣の手が俺の乳首に伸びてくる。「今日は夜通し可愛がってあげますからね」見れば、一臣の股間で彼のペニスが再び熱を持ち始めている。  乳首とアナルを同時に刺激された俺の陰嚢は溜まりに溜まった精液でパンパンだ。きつくて痛い。けれどもそれを上回る快感が、俺の身体全体を支配している。それは甘い性の坩堝だった。抜け出そうにも抜け出せない柔らかい罠。拘束されている手首さえも快感に変わるほどの熱のぶつかり合いに、俺は自らの歪んだ性を強烈に自覚させられた。  でも、それでいい。いや、それがいい。  身体の奥で息衝くペニスの熱は、孤独な戦いを続けていた俺の寂しさを埋めてくれるものだった。当たり前だ。前世の自分と全く異なる境遇――しかも悪役に置かれて、はいそうですかと受け入れられる人間もいやしない。そう、俺はずうっと寂しかったのだ。姉がいれば、こんな世界にきちゃったよと笑い合えただろう。だけど今の俺の家族は違う。愛情を受けているのは感じるが、姉のような気安さを感じることがない。  そんな俺の監視役として、常に傍にい続けてくれていた一成と一臣。家族よりも強い絆を、俺は彼らに感じていたからこそ、欲望の赴くがままに素直に振舞った。 「一成ぃ、もっと、もっと」 「ええ、勿論ですよ、望海様。ここで最高に気持ち良くなりましょうね」  いよいよ高まった快感が、俺を飲み込み尽くしてゆく。俺は右足の爪先でシーツを掻いた。直後、痺れた下半身の奥で、何かが弾けたような感覚が生じた。頭の中に白く広大な世界が広がってゆく。あ。短く声を上げた俺は、一成のペニスをアナルの奥に収めたまま、陰嚢に溜め込んだ精液を宙へと解き放っていった――……。  びくびくと跳ねる俺の腰が、次第に動きを小さくしてゆく。ああ、やっと射精()せた。ぐったりとベッドに身体を沈ませた俺は、けれども直ぐには休めないことを知っていた。俺のアナルからペニスを抜き取った一成が、俺の顔を跨いでくる。「()かせてください、望海様」口唇にペニスを乗せてきた一成に、俺は従順に口を開いていった。

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