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第三章 相馬の本気(1)

 そこはかとない緊張感に満ちている。  いつしか日は暮れ、窓の外には街灯りがキラキラと夜空のように瞬いていた。  淡々と問い詰める相馬に対して、滔々と自分たちの想いを訴える一成と一臣。リビングでの三人の話し合いは、一見、穏やかに進んでいるように映った。だが、この三人の性格を知っている俺としては気が気ではなかった。怒らせたが最後、徹底的に相手を追い詰める相馬に、こうと決めたら引かない強情さを併せ持つ一成と一臣である。何が起こってもおかしくない。俺は心臓を掴まれているような息苦しさに捉われながら、彼らの話し合いを見守っていた。 「成程、それで君たちは自らの主人に手を出したと」  相馬の前に出された飲み物は、その量を減らしてはいなかった。  窓を背にして座っている相馬は、口元にうっすらと笑みを浮かべてはいるものの、目は笑っていなかった。  怖い。雰囲気だけで他人を圧倒する相馬の厳粛な態度に、俺はすっかり委縮してしまっていた。 「そういうことになりますね」 「そういうことです」  だのに、一成と一臣と来た日には、全く悪びれもしないのだ。しらと云ってのけると挑発的な視線を相馬に投げかける。  恐ろしくて仕方がない。  俺の父親の会社もそれなりに大きいが、幾つものグループ企業を有している相馬の財閥には遠く及ばない。しかも、俺の父親の会社は相馬の父親が所有するグループ企業のひとつから仕事をもらっている状況である。圧倒的な立場の差――相馬の怒りは、その処罰の対象が一成と一臣だけでは済まない可能性を秘めていた。  そのぐらいのことは一成と一臣も理解している筈だ。  父親の首が飛ぶ程度ならまだいい。家族に累が及ぶのも、想定の範囲内だ。ただ、蒼井相馬という人間はそこで話を終わらせるような性格をしていない。最悪、一族郎党根絶やしだってある。それでも一成と一臣は一歩も引く気配を見せなかった。あくまでこれは自由恋愛の範囲内の出来事であるという立場を崩さず、如何に自分たちが俺を愛しているかを相馬に訴えたのだ。 「あの……相馬……」  俺はおずおずと言葉を発した。  最初は薬を盛られてのことだったとはいえ、俺が彼らとの性行為(セックス)を愉しんだのは事実である。その結果、ふたりやその家族がダメージを受けてしまうような事態になってしまっては、心苦しいどころの騒ぎではない。学園に入学してからずっと、監視役として俺に尽くしてくれたふたりであるのだ。物語がハーレムエンドを迎えるとわかっているからといって、何も行動しないでいる訳にはいかなかった。 「ああ、すまなかったね、望海。なんだか蚊帳の外に置いてしまって」 「いや、それはいいんだけど、その……」  俺は口籠った。  何とかして相馬の機嫌をとりなさなければならない。けれども、「俺も愉しんだんだから」と明け透けに云うのも憚られる。そりゃあそうだ。ひとりならまだしも、ふたりと楽しんでしまったのだ。淫乱だと自分でも感じているものを、どうしてはっきりと口に出来たものか。 「一成と一臣を責めないでやってくれないか」  だから俺はそう誤魔化すことにした。  瞬間、相馬の眉が寄る。「本当にそう思っているのかい?」俺が自分の心を誤魔化していると思ったのだろう。すっとソファを立ちあがった相馬が、ソファの角を回って俺の隣に腰を下ろしてきた。 「いいんだよ、望海。本当のことを云ってくれても」  俺の顔を覗き込んできながら相馬が言葉を吐く。まるで小さな子どもを相手にしているような態度だ。それだけ、俺のことを気にかけてくれているのだろう。その優しさが俺の胸を熱くする。  きっとゲーム内の望海はこうしたことの積み重ねで相馬に心酔するようになっていったのだろう。それが感じられる相馬の熱い一面。俺は首を動かして、相馬の顔を真正面から見詰めた。そして云った。 「いいんだ。俺にとっては一成も一臣も大事な人だから」  俺の自我がこうして表に出てくる前の望海は、自分の父親よりも地位の低い父親を持つ一成と一臣を、自由に使える駒ぐらいにしか考えていなかった。でも、俺は違う。積み重ねた年月の分、そして一緒にいた時間の分、彼らに対して情を感じている。正直、これが愛情かと聞かれると違うような気もするが、家族よりも近い存在として彼らを認識しているのは間違いない。そういった彼らが社会的に制裁されるのを、俺は見たくない。そう、例えこの生活を続けることになったとしても、だ。 「そんな風に君に想われている彼らが羨ましい」  そう云って、相馬は俺の斜め前のソファの後ろに立っている一成を一臣を見上げた。その横顔が少し不満げに映るのは、ふたりの代わり映えのしない穏やかな表情の所為だろう。一成と一臣はいつもこうだ。俺の前で大きく表情を変えることをしない。だから俺はふたりの気持ちに気付かなかった。けれども、それでいい。こうしてふたりがどっしりと構えていてくれるから、俺は安心して日常生活を過ごせているのだ。 「ねえ、望海」  俺に視線を戻した相馬が、俺の首元――赤く浮かぶ紅斑に手を伸ばしてくる。  滑らかな相馬の手は富める者の象徴だ。手が荒れるような仕事は一切しないで済む。そういった立場に彼があるのだと物語る手。俺は相馬の真摯な眼差しに途惑いながらも、彼の続く言葉を待った。 「君はいいね。こんな風に想ってくれる人がいて」 「そうだね。俺は恵まれてるよ」 「だから君は、彼らの前では素顔を晒すことが出来たんだね」  羨ましいという言葉に偽りはないのだろう。眩いものを見るような眼差しが俺に注がれる。  ふっと身を屈めた相馬が、俺の耳元に口唇を寄せてきた。ふうっと耳元にかかる相馬の熱い吐息。何をするつもりなのだろうと俺が困惑していると、「そこに私も混ぜてはくれないかな」と、淫靡な響きを持つ声が響いてきた。 「あ、あの、相馬……」 「嫌かい?」 「嫌、とかそういうのじゃなく、その」  そうだった。  いい話の流れになりつつあったことで失念していたが、相馬も俺のハーレムの一員になるキャラクターだった。それを思い出した俺は焦った。一成と一臣の相手を一晩しただけでも今日一日くたくただったのに、ここにあと三人ものキャラクターが加わってくる予定なのだ。  俺を含めて全部で六人になる生徒会メンバー。その中の四人がこの場に顔を揃えている。  自分の身が昨日以上に危ういことに、今更ながら気付いた俺は、相馬の言葉にどう返事したものか悩んだ。性行為(セックス)をしている間は気分が高揚しているからだろう。ハーレムエンドもどんとこいという気分でいた俺だったが、いざそれが実現しそうになると腰が引ける。というか、このペースで俺を求められていたら、俺の身体がもたない。  どうすればいい? 俺は助けを求めて、一成と一臣に目を遣った。先程までとは打って変わった表情。妙に人間臭い笑顔を浮かべているふたりと目が合う。 「私どもはそれでも構いませんよ、望海様」 「恋する男の苦しさは理解出来ますからね」  この、役立たず!  そう喚き出したい気持ちをぐっと堪えて、相馬に向き直る。何をどう云えば、この場を穏便に収めることが出来るのだろう。脳の中に手を突っ込まれて掻き回されているいるような気分だ。眩暈を起こしそうな脱力感がある。 「返事がないってことは、いいってことでいいのかな」  二の句が続かずにいる俺に、このままでは話が進まないと思ったのだろう。相馬が再び俺の耳に口唇を寄せてきた。 そうして、そのまま俺の耳介を食んだ。 「あ、ちょ、ちょっと、相馬……っ」 「そんな顔を見せられたら正気ではいられないよ、望海」  腰に響く柔らかい声に怯むと、相馬は嗜虐心をそそられたようだ。俺のシャツの合わせ目に手を滑らせてくるとボタンをひとつ外して、中に手を忍ばせてくる。あ。乳首を親指の腹で撫でられた俺は声を短く上げた。 「可愛いね、望海は。このぐらいの刺激でも感じちゃうんだ。ふたりにいっぱい可愛がってもらったからかな?」 「そ、そういうことじゃなくて、そ、相馬……は、それで、いいの……」 「良くなければしないと思うけど?」  あっ。また短い声が俺の口から洩れ出る。  それを合意と受け取ったのだろう。相馬が俺のシャツのボタンを外し始めた。いや、もしかすると、俺の反応の良さに性欲を抑えきれなくなったのかも知れない。シャツを脱がせた相馬が俺の手を引いて、膝に乗るよう促してくる。俺はどうしようか悩んだが、結局は相馬の膝の上に乗った。下手に逆らって、相馬の機嫌を損ねたくない気持ちもあった。だが、そんなものはささいなものだ。学園の王子様とも称される相馬。欠点らしい欠点のない彼はどんな性行為(セックス)をするのだろう? その欲に俺は逆らえなかった。一成と一臣との三人の性行為(セックス)でさえ、あんなに気持ち良かったのだ。三人を相手に……なんて、考えただけでぞくぞくしてくる。 「ふふ、本当に望海は可愛いね。もうここもこんなじゃないか」  俺の股間を撫でてきながら淫猥に囁きかけてくる相馬に、俺の心は何故か踊った。日頃、学園で行動をともにしているときには絶対に見せない表情。瞳の奥に隠し切れない情欲の炎が揺らめいている。ああ、やっぱり相馬も『男』だったんだな。その事実に妙な安心感を覚えながら、俺は彼に身を任せた。俺の腰に添えられた相馬の手の動きに従って腰を浮かせると、彼の熱い吐息が乳首にかかった。 「ああ、ここもこんなにして。すっかりセックスに慣れちゃったんだね、望海は」  はだけたシャツの下で膨れている俺の乳首に、相馬の口唇が触れてくる。ああっ。俺は裏返った声を上げた。一成と一臣にさんざ可愛がられた乳首は、ちょっとの刺激でも感じるようになっている。気持ちいい。俺は相馬の肩に手を置いて、彼が着ている制服のジャケットを掴んだ。堪えようのない快感に細く短い声が口を衝いて出る。 「あっ、ああっ。相馬、相馬ぁ……」  意識せず跳ねる腰が、俺の快感の度合いを表していた。そりゃあそうだ。一成と一臣に躾けられた俺の乳首は、そこへの刺激だけで射精に至れるほどに感度を良くしている。こんな風にじっくりと舐め回れされてしまってはひとたまりもない。 「ああ、なんていやらしいんだろうね、望海は。普段の可愛さとは段違いだ」  顔を上げた相馬が俺の顔を引き寄せて、深く口唇を合わせてくる。  俺は口を開いて相馬の舌を口内に迎え入れながら、俺のペニスを締め上げているジーンズのボタンに手を伸ばした。もう、腰回りがきつくて仕方がない。せめてボタンだけでも外したいと思いながら、片手でボタンと格闘していると、「脱ぎたいの?」顔を剥がして相馬が尋ねてきた。 「脱ぎ、たい……」 「じゃあ、脱いで」  俺はジーンズを脱いだ。  相馬の膝の上で脱ぐのはちょっと手間だったが、相馬が俺を離そうとしないので仕方がない。腰と脚を上手く使ってジーンズを脱ぐ。一成と一臣が用意してくれたのは服だけで、下着はない。一糸纏わぬ姿で相馬と向き合った俺の股間に、相馬が手を這わせてくる。 「濡れてるね」 「うん……」  早くも先端を濡らしている俺のペニスに、相馬は興味をそそられたようだ。逆手でペニスを掴むと、緩く扱いてくる。  股間から立ち上ってくる熱が、喉の奥に溜まる。ああ。俺は吐息混じりの声を上げた。射精()したい。火照り切った身体の奥に感じる疼き。射精に対する欲が湧き上がってくる。 「相馬様」一成が言葉を発する。「望海様はそこを弄らなくとも達せますよ」  俺の視界に一成は映らないが、余裕綽然と微笑んでいる彼の顔が浮かんでくるような声。五日間、一臣と一緒に俺を好きに扱ったからだろう。俺が相馬と性行為(セックス)に及ぼうとしていることに、彼は嫉妬を感じてはいないようだった。それを相馬も感じ取ったようだ。眉がぴくりと震える。 「へえ」  直後、花が咲くような笑みを浮かべた相馬が俺の双丘に手を這わせてきながら、「乳首? それとも……」と、ソファを挟んだ奥に立っている一成と一臣に尋ねる。 「どちらも、です」一臣が答える。  凛々しいながらも悠然とした趣きの声は、この状況を楽しんでいるとも取れる響きに満ちている。何を考えているか、まるでわからない。だが、彼らの間では何かが通じて合っているようだ。「なら、愉しませてもらおうかな」するりと俺のペニスから手を離した相馬が、「ねえ、望海。挿入(いれ)てもいい?」と、俺に囁きかけてくる。 「いい、よ……」  こくりと頷いた俺に、相馬が意地悪にな笑みを浮かべた。 「なら、テーブルに手を突いてお尻をこちらに向けて」 「え……」  恥ずかしいところを晒せと要求してくる相馬に俺は途惑い、そして躊躇った。昨日の夜以降風呂に入っていない。アナルには一成と一臣との性行為(セックス)の残滓が残されていた。それだけではない。腸内にもまだ精液が残っている感覚がある。そこを相馬に見られるのは、流石に気恥ずかしい。  淫乱に、そして貪欲に彼らを求めたことが相馬に知られてしまう。出来ない。俺は相馬から視線を外した。 「先に大人になっちゃった望海へのお仕置き。出来ない? 出来ないならお預けかな」  柔らかい物云いながらも、有無を云わせない響き。俺の手を取った相馬が自らの股間を俺に撫でさせてくる。「欲しいんでしょ?」俺の顔を覗き込みながら尋ねてくる相馬に困惑した俺は、どうすればいいのかわからず一成と一臣を振り返った。 「あまり相馬様を待たせてはなりませんよ、望海様」 「きちんと云うことを聞いて差し上げなければ」  和顔(わげん)でいるふたりの視線が俺と相馬に注がれている。相馬を止める気はまるでなさそうだ。この状況を面白がっているとも取れる言葉を相次いで吐いたふたりに、悩ましさを感じながらも俺は諦めて腰を浮かせた。もう、この三人の間では俺を共有するのは決定事項なのだろう。俺自身も一度はそれを受け入れると決めた身だ。なら、嫌がってばかりもいられない。  俺は相馬の膝を下りて、目の前の低いガラス製のテーブルに手を突いた。肉付きの薄い俺の双丘は、谷間に潜む後孔を隠してはくれない。その惨状は相馬にも丸見えだったのだろう。くの字に折れた俺の身体の向こう側ににいる相馬が息を飲んだのが伝わってくる。 「ふふ、いっぱい可愛がってもらったんだね、望海は」 「あんまり、見ないで、よ……」  頬を支配する熱に汗が浮かんでくる。恥ずかしさでどうにかなりそうだ。俺は一成と一臣の精液がこびりついたアナルを相馬に晒し続けた。早くこの時間が終わって欲しいと願っているのに、けれども、相馬は簡単には俺に挿入してはくれないようだ。 「ふっくらとしてるね、とても。ここに何度も出し入れしてもらったの?」  手を伸ばしてきた相馬の指が、ひだを寄せている俺のアナルに触れた。外側をゆっくりとなぞりながら尋ねてくる。 「う、うん……」俺は頷くことしか出来なかった。  怒っている訳でもない。嫉妬を感じているのでもない。ただ、愉しんでいる。相馬の言葉の響きは、俺という人間との性行為(セックス)に対する期待と興味に満ちているように感じられた。 「だからかな。柔らかい」  相馬の指がぬとりと俺のアナルの中に入ってくる。浅い位置で指を回した相馬に、俺は「う、ん」と声を上げて顔を伏せた。 「望海はここが気持ち良くなるようになっちゃったんだ?」  意地悪な言葉を重ねてくる相馬に、俺はどう返事をするのが正解なのかわからなくなった。決して相馬がそういった意味で云っていないのはわかっている。だのに、なんだか、叱られているような、咎められているような気分だ。「ごめんなさい」俺は小さく謝った。 「どうして謝るのかな。これから俺とも愉しんでいくのに」 「だって、俺……」 「欲しくないの?」また指が動く。 「欲しい」  俺は腰を左右に揺すった。浅いところばかりを刺激してくる相馬の指がもどかしい。 「早く、なんとか、して」  もどかしさに煽られた俺の言葉に相馬が立ち上がる気配をみせた。やっと楽になれるのだろうか。俺は首を上げて相馬を振り返った。にこやかな相好が俺を見下ろしている。けれども、細まった瞳の奥には獣のような獰猛さが煌めいていた。 「挿入(いれ)るよ、望海」 「うん、相馬」  俺は双丘に添えられた相馬の手に従って、腰を上げた。カチャリとベルトのバックルを外す音が聞こえる。ああ、やっと楽になれる。直後、俺のアナルにあてがわれた相馬のペニスに、俺は息を詰めて次の瞬間を待った。ぐいと腰が進められる。ああ、太い。俺の中に挿入(はい)り込んできた相馬のペニスに、はあ、と俺は大きく息を吐いた。 「こっちにおいで、望海」  腰を引かれてソファの上へ。俺はだらしなく脚を下げて、相馬と繋がっている場所に意識を集中した。緩やかに相馬の腰が動き始める。「あっ、ああ、ああっ」待ち望んでいたものを得た俺は、不思議な高揚感に包まれた。  俺以上に品行方正で通っている学園の王子様、蒼井相馬。彼と今、俺は肉体的に繋がっている。ああ、ああ、ああ。気分がいい。相馬を手にした恍惚。勝者の悦楽が俺の感情を高ぶらせた。 「相馬、相馬ぁ……」  もしかするとそれは、俺の感情ではなかったのかも知れない。俺の自我がこうして外に出てくるまで、ずうっと俺を支配し続けていた望海。相馬に深い愛情を注いでいた彼は、きっとこの瞬間にこう感じたことだろう。そのぐらいの恍惚。俺は相馬に突かれながら、幸福の意味を噛み締めた。相馬、相馬、相馬。頭の中が彼でいっぱいになる。 「ああ、いいよ。望海、君は本当に可愛い。もっともっと可愛がりたくなるくらいだ」  そう云った相馬が一成と一臣を手招く。 「これから三人で可愛がってあげるからね」  相馬の目配せに応じたふたりが俺の両脇に跪いた。「な、に……」汗ばんだ肌に顔を寄せてきたふたりに、俺の気持ちが一瞬途切れる。続けて、それぞれ乳首を口に含んできたふたりに、俺の頭は真っ白になった。 「あっ、ひゃ、そこ、そこ駄目……っ」 「どうして? 気持ちいいこと、好きなんでしょ、望海は」 「あ、頭、おかしく、なっちゃ」 「大丈夫だよ。いっぱい()こうね、望海」  相馬に突き上げられながら、一成と一臣に両の乳首を舐られる。初めての経験に、俺の頭から理性が追い出された。俺の悲鳴に近い喘ぎ声ばかりが満ちるリビング。何も考えられないぐらいに快感は止め処ない。 「イク、イっちゃう。俺、それ、イっちゃう」  自分でも何を口走っているのかわからなくなりながら、高く襲い来る波に浚われてゆく。ああ、もうイク。イク。俺はすっかり濡れそぼった自らのペニスを視界の端に収めながら、自らもまた腰を振った。相馬のペニスが俺の前立腺(いいところ)に当たる。「ここ、ここ、イイ」どんどん波が高く、そして強く迫ってくる。 「イク、イクイク。ああ、イクぅ……ッ」  ぐりぐりと腰を相馬に押し付けながら、俺は俺の中に溜まっていたもどかしさを解き放った。視界の先にある俺のペニスの先端から、色を大分薄くした精液が迸る。 「あ、はぁっ、ああ……相馬、相馬ぁ……」  俺は面を下げた。射精後の脱力感が一気に手足の力を奪う。 「まだだよ、望海。今日は今まで何も出来なかった分、私が望海を可愛がってあげるからね」  俺の中で息衝いている相馬のペニスはまだ弾力を失ってはいない。その動きが激しさを増した。俺が腰を振ったことで、俺が気持ち良く感じる部分を理解したようだ。しきりと前立腺を叩いてくる相馬のペニスに、疲労を覚えている筈の俺の身体が敏感に反応する。 「あ、やだ。今、イったばっか……」  陰嚢の奥から立ち上ってくる快感の残滓が、俺のペニスに突き刺さる。あぅ、待って。待って。俺は三人を止めようと声を発した。けれども三人の動きは止まらない。柔く乳首を舐っている一成に、ゆるゆると乳首を吸い上げている一臣。そして、動きを増した相馬。  歯止めの利かない快感に、ペニスの底で何かが開くような感覚がある。尿意に似たそれは俺に本能的な拒否感を覚えさせた。 「だ、駄目。出ちゃう。出ちゃう」 「えっちだねえ、望海は。そんな風にしてふたりを誘惑したのかな?」  深くペニスを突き立てられては腰を浮かせ、浅く抉られては腰を引く。どうにかしてこの状況から脱したい。そんな俺の動きを戯れだとでも思っているのだろうか。相馬がまた意地悪に言葉を継いでくる。 「し、してない……してない、って、ば」 「本当に?」相馬が首筋を噛んでくる。 「して、ないよ」 「嘘を吐いたらお仕置きだよ」 「吐いて、ない。ないから、トイレ……」  俺の願いを聞き入れてはくれないようだ。駄目だよ。と、相馬に耳朶を食まれる。 「あぅ、やぁ、イク。また、イっちゃう」  性行為(セックス)で覚える快感とはまた違った感覚。痺れるような刺激が俺のアナルとペニスを滾らせる。 「あ、出る。出る。ホント、に出る」  俺は相馬の上で仰け反った。  ぷしゅ、とペニスの先端が鳴ったような気がした。直後、吐き出された透明な液体に、相馬が喉を鳴らして笑うのが聞こえてきた――……。

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