20 / 46
第七章 週末、そして週明け(2)【R18】
帰宅した父親に理事長の件を話すと、前回の謝罪の際の浮ついた雰囲気を根に持っていたようだ。かなり腹に据えかねた様子で、早速各方面に連絡を取り始めた。「後のことは私たちに任せなさい」力強くそう言ってくれた父親を信じて、俺は俺に出来ることをすることにした。
とはいえ、特に有効な策がある訳でもなかった。
園崎さんに近付かないといった選択肢もあるにはあったが、今日の体育みたいにD組と合同になる授業でトラブルが起きてしまうとどうにもならない。かといって、トラブルを避ける為に体育の授業を全欠してしまっては本末転倒。理事長に俺を攻撃する口実を与えるようなものだ。
だったら逆に園崎さんに近付いてみるのはどうだろう? 不意に閃いた考えに、俺はこれだと自室のベッドの上で手を打った。
友人の座を確立すれば、理事長も迂闊に俺には絡めなくなるのではないか? そうだ。俺は思った。いっそ全員で園崎さんと仲良くなればいい。名付けて友達百人大作戦。これだったら他の生徒が理事長に絡まれるのも防げる筈だ。
それに、園崎さんだって孤立せずに済む。ついでに、園崎さんを経由して外部入学組の女子と近付ければ万々歳だ。相馬と俺の関係についての誤解を解けば、彼女らの俺に対する風当たりも弱くなるだろう。
転生ものの定石 を知らない俺の思い付きにしては上出来なアイデアに、俺は舞い上がった。ベッドの上でひとりほくそ笑む。これで理事長に一泡吹かせてやれそうだ。そんなことを考えながら眠りに就いた。だというのに。
「そういったことを考えていたのかい?」
あくる日、相馬のマンションで俺がその考えを述べてみせると、何故か相馬は驚いたような、それでいて困った風な表情になった。
昼下がりのリビング。出されたお茶は、羽ケ崎市では有名な紅茶専門店『Brew』のオリジナルブレンドだ。ティーカップを満たす澄んだ琥珀色。香り高い匂いが漂う中、ティーカップを取り上げた俺は、深みのある味を舌の上で滑らせつつ、ソファの右隣に座っている相馬の顔を覗き込んだ。
「我ながらいい考えだと思ったんだけど、駄目?」
「駄目だね」
言下に否定された俺は、けれども折角思い浮かんだアイデアが物惜しい。「なんで?」と、続けて尋ねる。
「理由はふたつあるね」指を二本立てた相馬が理路整然と述べる。「ひとつ、理事長の調査は継続中。きちんとした結果が出るのには一か月ぐらいかかる予定だ。何せ、産まれてから学園理事長に収まるまでの全ての経歴を全て洗わないとならないからね。簡単には終わらないんだよ」
「その結果が出るのを待てってこと?」
「私の可愛い望海を虐めてくれたんだ。潰すなら徹底して潰さないとね」
「待って、相馬。話が大きくなってない?」
俺は相馬に向けて身を乗り出した。
ソファの背凭れに腕を置いて悠然と足を組んでいる相馬は、今しがた口にした言葉が嘘のようにゆったりと微笑んでいる。その反応を予測していたのだろうか。俺の左側のソファに座っていた一成と一臣が、耐え兼ねたように吹き出した。
「流石は相馬様。望海様と違って容赦がありませんね」
「こうなるとは思っていましたが、思ったよりも早かったですよ」
そうだった。俺は思い出した。蒼井相馬はこういう人間だ。
最も、『エンジェルスフィア』の相馬エンドで相馬に追い詰められるのは俺の役割だった。相馬が心を通わせた女性であるヒロインの園崎有栖。彼女をイジメ抜いた俺は相馬に縁を切られるのだ。そう、断罪イベントの瞬間まで望海に優しかった相馬は、望海の行った数々の悪行を一成と一臣から聞いて豹変する。「君のことはいい友人だと思っていたのだがね」相馬の最後の言葉は、もう二度と望海が相馬の傍に侍れないことを示していた。
いつも穏やかな人間ほど怒らせると恐ろしいことになる。それを思い知らせるエンディング。生きる道を断たれ、路頭に迷わないとならない――だから俺はそのエンディングを回避しようと、ここまで頑張ってきたのだ。だのに、この世界の相馬は俺を守る為に鬼になろうとしている。
「ちゃんと忠告はしたからね。うちが持っている土地を学園から引き上げると。だから二度目はないよ」
「でも、だからって……その、理事長をどうこうってのはやり過ぎだよ!」
相馬を止めねば。俺は強めに声を上げた。
俺が怖れ、そして逃れようとしたエンディング。その過酷な結末を、幾ら俺を目の敵にしているとはいえ、理事長に味わわせていいものか。彼がしたことは俺の話をまともに取り合わなかった。それだけだのに。
「望海は優しいね」相馬の手が俺の肩に置かれる。「あまりにも可愛くて食べたくなるぐらいに」
そう言って俺を抱き寄せてきた相馬の口唇が首筋に触れてくる。どうやらスイッチが入ってしまったようだ。とはいえ、俺はまだ聞きたいことを聞けていない。何故、園崎さんと仲良くなるのは駄目なのか。この謎を放置したまま、寝室に籠るのは嫌だった。
「ま、待って!」俺は慌てて相馬を押し退けた。
「駄目なのかい、望海。今日はそういうつもりで君を呼んだのだけど」
「そうじゃなくて、ふたつ目の理由」
ああ、と、俺の言葉で話が途中だったことに気付いたようだ。それはね、と、言葉を象った相馬の形の良い口唇が、俺の耳元に寄せられる。
「私が単純に嫌なのだよ、望海」
えー……?
俺は脱力した。
「嫌って、なんで」
「望海を彼女に取られたくないね」
「本当に、それだけ?」
「勿論。それとも望海は他の理由があって欲しいのかな」
その通りだ。
金曜の昼から抱いていた疑念が再燃する。相馬は園崎さんに引っ掛かりを覚えている。まるで彼女が自分の敵であるとでも言いたげな強硬な態度。その理由が、俺との関係における脅威になりそうだから? なんて、馬鹿げている。
だから、俺は相馬の言葉に頷いた。頷いて、口を開いた。
「そりゃあ、そうでしょ。だって、相馬おかしいよ。園崎さんの話になるとやけにムキになる。何か他に理由があるって思うのが普通じゃないの?」
俺の言葉に相馬の眉が歪む。同時に、その柔和な瞳が細まった。
あの相馬が困惑している。いつでも余裕めいた態度を崩さないあの相馬が。
「笑わないかい、望海」
「何を?」
「私はね、怖いんだよ」
「怖い?」俺は問い返した。
何を相馬は怖がっているのだろう。それが全く見えてこない。
俺が好意を寄せるかも知れないことを恐れているのだとすれば、それはとんだお門違いだ。大体、繰り返し言っているように、俺はあそこまで完璧な美少女相手に自分がどうこうという気持ちは持てないのだ。仮に園崎さんから告白されたとしても、俺は罰ゲームか何かだと疑ってしまうだろう。そのぐらい、俺は自分自身が園崎さんに釣り合っていない自覚がある。
これが『エンジェルスフィア』の世界の望海であればまた別だ。望海ルートの彼は自分にも優しいヒロインに次第に心を開くようになってゆく。そして、彼女の言葉で目を覚ます。そして彼女を自分のものにしたいという欲求に素直に、ヒロインにアプローチを始めるのだ。
そこにあるのは自分に対する絶大な自信である。対して、俺にはそんな根性も気概もない。
何せ前世では筋金入りの非モテだ。彼女なんていたこともなければ、アプローチをかけられたこともない。バレンタインのチョコレートなんて、何それ美味しいの? の世界である。
そうなると、性行為 を許している相馬や一成、一臣は何なんだ――と、いう話になってしまうのだが、男同士という性別の壁を一足飛びに飛び越えてこられたからだろう。俺はここがそういった同人誌の世界であることを抜きにしても、彼らが俺に向けてくる好意を疑おうとは思えない。
「ねえ、相馬。何が怖いの?」
降り積もる沈黙が、相馬の感情の混迷を伝えてくるようだ。それに耐え切れなくなった俺は自ら口火を切った。
「園崎さんのことなら、俺は本当に好きになることはないよ。だって、もしそういった気になるとしたら、金曜の時点でそうなってるでしょ。あんなに綺麗でしっかりしてて優しい人だもの。でも、俺の気持ちは同級生以上には動かなかった。それじゃ駄目?」
「本当に?」
「うん」俺は力強く頷いた。「誓って言うけど、俺は園崎さんにはそういった気持ちにはならないよ」
「人の気持ちは変わるものだよ、望海」
相変わらずネガティブな言葉が口を衝いて出てくる相馬だけれども、俺がそういった気持ちにはならないと明言したからか。大分、余裕が出てきたとみえて、表情にゆとりが出てきた。「望海と彼女は似ている気がするのだよ」ぽつりと呟いた相馬が、俺の身体をゆったりと抱き締めてくる。
「似てる? 俺が? あんな凄い人と?」
俺は目を見開いた。
十年ぶりの特待生、園崎有栖。知能に優れ、容姿に恵まれ、そして性格も申し分のない未来の神代学園の聖女。それが後ろ暗い過去を持つ城石望海とどうやれば重なって見えたものか。意味がわからない。わからないけれども、相馬の言わんとしていることを理解していたようだ。それまで黙って俺たちの遣り取りを聞いていた一成と一臣が相次いで口を開く。
「雰囲気が、ですよ。望海様」
「芯の強そうなところが特に似ていますね」
「俺、そんな凄い人間じゃないよ」
「そういったところもですよ、望海様」
「謙虚なところもそっくりです」
それは相馬が感じている園崎さん評とも重なっているのだろう。こくりと頷いた相馬が彼らの言葉を引き取る。
「だから私は怖いのだよ。君たちがいつか惹き合ってしまうんじゃないかと」
「ないよ。ないない」俺は相馬を見上げて首を横に振った。「むしろ、相馬たちの方が心配だよ。そんなに俺と園崎さんが似てるって感じるのだったら、そっちこそ惹かれてしまうってことがあるんじゃないの?」
大体、ゲーム世界を下敷きにした同人誌の世界というとんでもな下位次元に俺が転生しているぐらいなのだ。この世界を司る神様は相当に気紛れだ。そうである以上、このハーレム既定路線から今度はゲームの世界に物語が戻るという展開だって有り得なくはないだろう。
だから俺は釘を刺すつもりで言葉を吐いた。
だのに綻ぶ相馬の顔。それは、花も蝶も魅了されそうなほどに艶やかだ。
「可愛いね、望海は」
え? と、俺がたじろいでいると、更にその顔が近付いてくる。
「ちょ、ちょ、相馬。何……っ?」
降るような口付けとはこれを言うに違いない。
額にこめかみ、頬、耳の生え際、そして口唇と、立て続けに口付けられた俺は腰が抜けた。直視するのも気恥ずかしくなるぐらいに美しい顔。さらりと落ちた前髪が、俺の額にかかる。
「本当に可愛いよ、望海は。無自覚なところがとてもいい」
「……な、なんの話?」
「私たちが彼女に惹かれるのが嫌なのだろう、望海は。それがわかっただけでも収穫だ」
言うなり俺の身体を一気に抱き上げた相馬の、天使とも悪魔ともつかない笑顔。あ、そういうこと!? 相馬の台詞で自分の言葉の意味を悟った俺は、意識を一気に現実に引き戻されるも時既に遅し。
「今日は私が望海をベッドに運んであげよう」
「え? まだ、まだ話終わってな……」
俺を抱えたまま悠々とソファを立った相馬に、一成と一臣が続けて腰を浮かす。そして、相馬の両脇に立つ。
「もう終わったも同然ですよ、望海様」
「相馬様をお待たせしてはなりませんよ」
すっかりその気に三人に囲まれる形となった俺は、どう立ち回ればこの窮地から逃れられるのかがわからない。
「その通り」クックと相馬が喉を鳴らした。「私はきちんと自分の考えを述べたからね。だからこの話はおしまいだ。後のことは私に任せておくんだね」
もう俺の返事を待つつもりはなさそうだ。歩み始めた相馬に、俺は反抗らしい反抗が出来なかった。我儘な王子様――蒼井相馬の振る舞いは俺の胸を高鳴らせる。俺は火照り出した身体を相馬の胸に押し付けるようにして、寝室に運ばれていった。
ややあって開かれるドア。寝室の中央に置かれているキングサイズのベッドの上に身体を置かれる。
ふわりとシーツに沈んだ俺の身体は、これから始まる饗宴に対する期待でしっとりと汗ばんでいた。そんな俺の媚態をベッドの脚側に位置を定めた相馬が見下ろしている。
「今日は見せて欲しいものがあるのですよ、望海様」
ベッドの両サイドには一成と一臣。声を揃えてともに言葉を吐いた彼らの手が俺の身体に伸びてくるのを、俺は逆上せあがってぼんやりとした頭で眺めていた。
「見せて欲しいもの……?」
すぐさま服を脱がされるかと思いきや、彼らの行動は、シャツの上から身体を撫でてくる程度に留まった。どうしたのだろう。いつもは直ぐに事に及んでくるふたりにしては焦れったい動きをする――と思っていると、俺の太腿に手を伸ばしてきた相馬が俺の顔を覗き込んでくる。
「脱げるかい、望海」
「服? いいけど……」
俺は上半身を起こした。先ずは上着代わりに羽織っていたオープンカラーシャツを脱ぐ。そしてTシャツと肌着に手を掛けた。
脱いでいる間も一成と一臣の愛撫は止まらない。肌に距離を近くするふたりの手が、俺の脱ぐスピードを加速させた。ジーンズにボクサーパンツ。脱いだ服と下着をベッドの下に落とすと、ふたりの指が乳首に、相馬の手がペニスに触れてくる。はぁ。と、俺は喉に溜め込んでいた吐息を吐き出した。
「まだ少し柔らかいね」
身体を火照らせ始めたばかりの俺のペニスは半勃 ちだ。その形を確かめるように相馬が手を滑らせる。亀頭から陰茎、陰茎から陰嚢。ゆるりと陰嚢を揉まれた俺は、立てた腕の先でシーツを掴んで顎を仰け反らせた。
乳首で達 けるようになった俺だけれども、やっぱりペニスはそれとは違った快感がある。包み込まれるような気持ち良さ。あっという間に張った陰嚢に、首をもたげたペニスが俺の視界の端で頭を揺らしている。
「気持ちいいかい、望海」
「いい、いいよぅ。相馬ぁ……」
切なさを吐息に乗せて吐き出しながら口にすれば、「これはここまで」と、あっさり相馬の手が引いた。
「意地悪……ぅ……」
「達 きたくなった?」
「うん……」
一成と一臣の指はまだ乳首にある。
人差し指と中指で挟み込まれたり、親指の腹で緩く撫で回されたりしていると、次第に射精欲が強くなってきた。もっと。もっと強烈な快感が欲しい。「もっとぉ……」もどかしさに急かされるがままに彼らにせがむと、俺に顔を近くした相馬がくっくと嗤った。
「自分で達 ってごらん、望海。私との電話でしたように」
「また……?」
俺は早くも潤み始めた瞳を相馬に向けた。向けて、口にしてしまった言葉に後悔した。
相馬との秘め事。一成や一臣は、俺が相馬と電話で話をしながら自慰をさせられたことは知らない筈だ。どうしよう。慌てて俺の両脇を固めている一成と一臣の顔を窺う。
けれども彼らの綽然とした表情は崩れない。むしろ、面白がっているようだ。笑いを堪えているとも取れる眼差しが俺の顔に向けられている。
「今日はこちらでですよ、望海様」
一成の手が俺の腿を開かせてくる。それが何を意味しているかは俺にはわかった。
同時に、一成と一臣が相馬と俺の秘め事を知っていることも理解した。いつ、どのタイミングでかはわからないが、俺と同じ空間にいても距離を遠くしていることはままある。家でもそうだ。お互い自室に籠っていることも多い。そうした瞬間にだろう。相馬は彼らに俺としたことを伝えたのだ。
「私たちが途中までお手伝いして差し上げます」
一臣の手が俺の右手を取った。脚の合間へと導かれてゆく俺の手。俺が躊躇っていると、「見せて、望海」駄目押しとばかりに相馬が口にする。
「見たいの?」
「見たい」
折角の性行為 だ。俺だったら自分が相手を達 かせたいと思うけれども、相馬たちはそうではないのだろうか。いや、そもそも俺を三人で同時に相手をすることを選択している三人だ。興奮を感じるポイントが俺とは違うのかも知れない。
俺は興味深げに俺の一挙手一投足に注がれている六つの目を見渡した。学園では見せない色欲に塗れた表情。秘められた彼らの顔は、それでもやはり美しい。
「達 けたらご褒美だよ」
相馬に軽く口唇を啄まれた俺は決心した。
きっと乙女ゲームのヒロインはこういった気分なのだろう。女生徒に絶大な人気を誇る彼らの心を自分が掴んでいるという高揚感。それは例えるなら褒章だった。自分の努力が実を結んだひとつの形として、俺の胸を甘やかに満たしてゆく。
その感情が、俺を大胆にさせた。
もっと、もっとだ。もっと俺を見て。俺で感じて……俺は枕に背中を預けながら両膝を立てた。自分のアナルに指を挿入 れる。すんなりと異物を受け入れるようになった後ろ孔。弾力のある柔らかい入り口が、俺の指をあっさりと飲み込んだ。
「いい子ですね、望海様は」
「本当に。悦ばせて差し上げたくなりますね」
一成と一臣が俺の耳に口唇を寄せてくる。耳を吸われながら乳首を揉まれた俺は短く声を上げた。彼らに与えられる快感が、俺の動きをより大胆にさせる。俺はアナルに挿し入れた指をゆっくりと動かし始めた。入り口をほぐすように指を回し、少し深い位置にある神経が通っている箇所を刺激してゆく。
「可愛いね、望海は」
相馬の手が俺の内腿を撫で回す。股間に触れそうで触れない位置を掠めては去ってゆく手のひらに、時折、短い疼きがペニスを刺す。あっ、あっ、あっ。更に大胆さを増してゆく俺の指。第一関節を超えて埋まった指が、ぬるぬると俺のアナルを犯している。
「もっと良く見せてください、望海様」
一成の手が俺の左足の膝裏に差し入れらた。直後、抱え込まれた左脚がぐいと持ち上げられる。
「こんなに深く指が挿入 るようになったのですね、望海様のここは」
一臣がその動きを追う。こちらは右足だ。ほぼ二つに折られた身体が動きを窮屈にするが、高まった感情はその程度では俺の動きを止めなかった。膝の合間を通った腕を動かして、俺は自分で自分のアナルを嬲った。緩く掻き混ぜ、浅く突き立て、柔く掻き出す。あっ、あぅ。抑えようにも抑え切れない喘ぎ声が口を衝いて飛び出してくる。その俺の姿を満足げに眺めている相馬。彼の手は相変わらず、俺の内腿を撫で回していた。
「イキたい。イかせて」
繰り返していると、より強烈な快感を求める気持ちが湧いて出た。ここにもっと太いものが欲しい。幾度も叩き込まれたペニスの感触が、俺の気持ちを逸らせる。「我慢だよ、望海」相馬の滑らかな手が俺の手に重なる。「ほら、もっと動かして。望海は激しい方が好きだろう」
うん。と、俺は頷いた。
相馬の整い過ぎた顔は、ただやんわりと物を言い聞かせているだけでも、従いたくなるほどの魅力に満ちている。俺は彼の視線を真正面から受け止めながらアナルを弄り続けた。見られているという感覚が、指での刺激とはまた違った快感を走らせてくる。
あっ、あっ。俺は指を深くアナルに突き立てた。二つに折られた身体が、スムーズな受け入れを可能としている。ずっぽりと根元まで埋まった指が、少し奥まったところにあるしこりに触れた。ああ、ここだ。俺は指の腹でしこりを擦った。ペニスにまで染み出てくる快感が、俺の射精欲を強く刺激する。
「気持ちいいのですね、望海様」
断続的だった喘ぎ声が連続的になったことで、俺の状況を察したようだ。耳を吸っていた一臣が尋ねてくる。
うん。と、俺は頷いた。頷いて、一臣と口唇を合わせた。
「ふふ、外側からでも内部 の動きがわかるようですよ、望海様」
一臣と軽く舌を絡め合った後には一成と。俺は彼の繊細な舌使いを味わいながら、指を動かし続けた。
「いやらしいね、望海は。私たちに見られながらの自慰はどうだい」
相馬の言葉に俺は喘ぐことしか出来なかった。
快感が高く、高く、そして強く、俺の身体を押し流してゆく。もっと、もっと。俺は形を失いつつある言葉を吐きながら、指の腹でしこりを擦り続けた。脳の奥で糸がぷつんと切れたような感覚が生じる。あ、あ。俺はより深く、より奥に指を突き立てた。背中に立ち上ってきた痺れるような快感にぶるりと腰が震える。
「あっ、あっ、あ゙あ゙っ……!」
駆け上がった快感が脳を犯して去ってゆく。どろりと吐き出された精液が、俺の腹に染みを作った。はあはあと喘ぐ俺の口唇に相馬が感極まった様子で口唇を重ねてくる。彼の薄い舌で口内を満たされながら、俺はゆっくりとアナルから指を抜き取った。
ともだちにシェアしよう!

