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第七章 週末、そして週明け(4)【R18】
一番手は一臣だった。
一成に身体を重ねている俺のアナルに背後からペニスを突き立てて、ああ、ああ、望海様。と、感極まった声を上げた。一臣が腰を動かす度に、一成のペニスに重なっている俺の陰嚢は刺激を受けた。一成も同様に刺激を受けているのだろう。うっとりと目を細めながら、相馬のペニスを咥えている俺の顔を眺めていた。
二番手は相馬だった。
ベッドに垂直に寝かせた俺の両足をベッドの脇に立って抱え込んで、中腰で俺を突いてきた。その俺のペニスを撫で回す一臣。アナルとペニスを同時に刺激された俺は泣き喚きたい衝動に駆られたが、それは叶わなかった。ベッドの端かから落ちた俺の頭に一成の腰が重なっていたからだ。逆向きに咥えさせられたペニス。両手で乳首を刺激してきながら腰を振る一成に、俺は息苦しさを覚えながらも、どこか愉悦にも似た感情を覚えていた。
三番手は一成だった。
してみたかったのだそうだ。俺を腹の上に乗せて下から突き上げてきた一臣に、ようやく口の自由を得た俺は嬌声を上げた。相馬と一臣に乳首を吸われては乱れよがり、肌に紅斑を散らされては果てのない悦楽にペニスをじっとりと濡らした。その、濡れそぼった俺のペニスを愛撫してくる相馬と一臣。相馬に陰茎を扱かれ、一臣に陰嚢を揉まれた俺は、射精したさに自ら腰を振った。
そうして果てた。
少しばかりベッドで休みを取ったあと、相馬に連れられてバスルームに入った。「君を洗うのは私の役目だよ」そう云ってひっそりと笑った相馬の、月下美人のような艶やかさ。美しさは一周回ると毒になる。もう何をされてもいい。高雅な香りのするボディソープで全身を洗われた俺は、泡を洗い流すのも惜しいとばかりに身体を撫で回してくる相馬の手に、またも股間を熱くしてしまった。
「見てごらん、望海。まだ溢れ出してくる」
それが内腿に垂れている精液を指しているのは直ぐにわかった。
相馬の指が蠢く度に卑猥な音を立てる俺のアナル。すっかり滑らかになった入り口から、三人分の精液が染み出てくる。「ちゃんと綺麗にしないとね」くっくと声を立てて笑った相馬が、シャワーに打たせていた俺の身体をバスルームの壁に押し付けた。胸に感じるひんやりとしたコンクリートの感触。両手を壁に付いた俺の手の甲に相馬の手が重なる。「腰を上げて」俺は相馬に命じられるがまま腰を上げた。
「全部、掻き出してあげるからね、望海」
突き出した臀部の谷間に潜り込んでくる相馬のペニス。アナルの口を割って、すんなりと俺の体内に挿入 り込んでくる。
――ああ、あっ、ああっ。
俺は相馬が満足するまで、彼のペニスをアナルに受け入れ続けた。
都合、四度に渡って射精を繰り返させられた俺のペニスはもう空っぽに近くて、勃起はしたものの、吐き出すものがない有様だった。だから、相馬が射精を迎えた瞬間は、流石にもうこれでいいと思った。なだらかな曲線を描く快感がずっと続いた相馬との性行為 は、射精を迎えられなくとも充分に俺を満足させてくれていたのだ。
「駄目だよ、望海。それでは私が満足出来ない」
背中を壁を付ける形で立たされた俺の脚を、相馬が開かせてくる。「望海のここは、顔に似て可愛いね」そんなことを云いながら、俺のペニスに口を付けてきた相馬。じっとりとペニスを舐め上げられた俺は、脚をがくがくと震わせながら、少量の精液を吐き出した。
浴室を出た後で相馬に聞いたところ、一成と一臣は、マンションでのアドバンテージの分、相馬に俺を抱いていいと云ってきたのだという。「勝負は公平でないと面白くありませんからね」そう口にして微笑んだ一成と一臣に、いつかは誰かを選ばされる日が来るのだろうか――と、俺は不安になった。
ずうっと俺の監視役として傍にい続けてくれている一成と一臣。
始まりは他人の決め事だったとはいえ、同じくずうっと俺の友人として傍にいてくれている相馬。
贅沢なことなのはわかっている。それでも俺は彼らと離れたくないと思うようになってしまっていた。そう、このまま四人で、ずうっと秘密の関係を続けていたい。けれどもそれは無理な願いなのだろうか? 一成と一臣の言葉は、俺の秘めた想いを揺らがせた。
明けて月曜日。
二日間の休みで鋭気を養ったのだろう。溌溂とした表情を浮かべて学生たちが歩んでいる。彼らがじゃれあったり、ふざけあったりしながら校舎に吸い込まれてゆくのを、俺はぼんやりと眺めていた。日常に帰ってきた筈なのに、何故か心ここに非ずといった感じだった。
「どうなさいましたか、望海様」
「彼らに何か」
俺の視線の先には楽し気に肩を並べている学生の姿がある。「ううん」俺は笑った。自分でもぎこちないと感じるくらいに、頬が硬い。
「日常に戻ってきたんだなって、思っただけ」
きっと、俺はあの淫猥だった時間に心を囚われてしまったのだろう。それはそうだ。二週間以上も性行為 漬けの生活をしている。ここから何も知らなかった無垢な城石望海にはもう戻れはしない。
「六日間頑張ればご褒美ですよ、望海様」
「それとも週に二日になさいますか」
一成と一臣の言葉に俺は肩を竦めた。自分で云い出したことを曲げたくはない。
けれども、俺の心は欲望に浸かったままだった。そこかしこに残された紅斑が疼いているような感覚がある。今日をこんな気分で過ごさないとならないのか。俺は少しばかり憂鬱になりながら、昇降口を潜った。
――また、日曜にね。望海。
帰り際に相馬に囁かれた言葉が、頭の中でリフレインしている。
「やっぱり、いいな」
次の瞬間、何の前触れもなく耳に飛び込んできた言葉。酷く近い場所から聞こえてきた退廃的な声に、心を覗かれているような気分に陥る。
「な、なに? なに、銅音」
俺は驚いて振り返った。すぐ後ろに気だるそうに立つ銅音の姿がある。
「城石、絵のモデルする気ない?」
「モデル?」俺は目を丸くした。「いや、銅音が美術部なのは知ってるけど、でも俺じゃない方が良くない? もっとこう、描き甲斐のある筋肉とかさ。あるんでしょ、そういうの」
俺の言葉に銅音の眉が微かに歪む。
数字に強い銅音は、学園に入学した当初は数学クラブに所属していた。それが、『天啓を受けた』という、首を傾げたくなる理由で美術部に鞍替え。高等部に上がってもその熱意は衰えることなく、週に三回の部活動の日には遅くまで残って絵を描いているそうだ。
「そういうのはもう飽きた」
「飽きたの?」
「美術部のデッサン用の石膏像にない身体が描きたい」
「例えば?」
「城石みたいな華奢な身体。女の子でもいいんだけど、流石に脱がせられないから」
「あー、成程」俺は銅音の云わんとすることを理解した。「俺、細いもんねえ。手も足も」
「やってくれる?」
「無理だよ」
目に入る部分はまともだが、服で隠れている部分は、とても人目に触れさせられる状態ではなかった。昨日の性行為 でまた色を濃くしてしまった紅斑。事情を知らない他人に――否、知っている他人であっても見せたくない肌。だから、俺は銅音の誘いを即座に拒否した。
「脱ぐんでしょ。この貧相な身体を見せたくないんだ」
そうでなくとも、俺はこの華奢な身体にコンプレックスを抱いている。細い手足に、細い腰。胸板だって薄い。せめてもう少しだけでも筋肉を付けたいと望んでいる俺としては、例えデッサンであっても、この身体が形として残るのは嫌だった。
「残念だな。俺の画力向上にもってこいな素材だと思ったのに」
「ごめんね、銅音。でも、力にはなれないよ。他を当たって」
引く気配をみせた銅音に、俺はそれで済む話だと思っていた。
ところが、世の中はそんなに都合よくは回らない。どうしても俺を描きたいらしい銅音は、それだけでは諦めきれなかったとみえて、それから一週間以上に渡って、俺を絵のモデルにと口説きにくるようになってしまった。
これに反応したのが相馬だった。
面白いと思ってしまったらしい。「減るものじゃないのだから、描かせてみてはどうだい」などと俺を説得する側に回ってきた相馬にも、俺は抵抗を繰り返した。だが、近頃の学園の王子様は、俺が関わるととんと我儘だ。その粘り腰で一成と一臣を抱き込んのだろう。日曜日の性行為 でも、跡を付けないようにする徹底ぶり。
「何でそこまで必死になるの……」
「彼が君をどう描くか見てみたい」
俺は念の為に、銅音の絵を見せてもらった。クロッキー帳いっぱいに描かれたデッサンの数々。俺は絵の良し悪しはわからないので、それらついての詳細な感想は控えるが、ぱっと見た感じでは「良く描けるなあ」と感じる精緻な絵ではある。確かに、これだけ描けていれば、ゲルニカのような元の顔がわからなくなるようなことにはならないだろう。相馬が俺をモデルにさせたがるのも納得である。
これなら描かれてもいいかなあ。身体に刻まれた紅斑が色を薄くした頃ともなると、俺はかなりその気になっていた。
とはいえ、脱ぐのには抵抗がある。どうしようかなあ。悩んでいると、事件が起こった。
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