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第十章 ハーレムの完成(4)【R18】
ベッドのヘッドボードを背凭れ代わりに、そして枕をクッション代わりに座っていた。
はあはあと荒らぐ息が延々と口を衝いて出る。
時折、自分では抑えきれない声が喉の奥から溢れ出てきた。自分のどこからそんな声が飛び出してくるのかと思うほど、甘ったるくて、高い。耳の奥で木霊するその声を聞きながら、俺は開きっ放しになった口を閉じることも出来ずに彼らの愛撫に晒されていた。
「どうだい、望海。気持ちいいかい」
穏やかな声が耳に飛び込んでくる。
右耳を舐っているのは相馬だ。耳介に緩く口付けてきては、耳孔に舌を差し入れてくる。そうして、途切れ途切れに啄んできては、耳の付け根から肩口へと舌を滑らせてゆく。まるで羽毛に撫でられているようだ。相馬の柔らかな愛撫は心地いい。
「気持ちいいよね? ここも喜んでるみたいだし」
俺の股間に顔を埋めてペニスを舐っていた眞が顔を上げる。
彼は最初から何も躊躇しなかった。一成と一臣、そして相馬の動きを目にして直ぐに輪の中に混ざってくると、「俺、ここをもらっていい?」と、俺の太腿を開かせた。そして、可愛い可愛い言いながら、俺のペニスに口付けを繰り返してきた。
「欲張りな方ですからね、望海様は」
「いつも貪欲に快楽をお求めになりますよね」
乳首を舐っているのは一成と一臣だ。
回数をこなした分だけ円熟味を増しているようだ。熟 れた舌使い。絡み付く二枚の舌は俺の腰を何度も跳ねさせた。
「こんな可愛い顔をするんだね、望海は」
左耳を舐っていた真優が、俺の顔を覗き込んでくる。
性愛に重きを置かないと宣言していた彼だったけれども、四人の熱気に当てられたようだ。最初こそ、おずおずと俺の耳に舌を滑らせてきたものだったけれども、時間が経った今となっては、積極的に俺の左耳をいたぶるようになった。
「でも、今日の望海は大人しいね。どうしたのかな」
クックと嗤った相馬が、俺の目の際を吸い上げる。そのまま、瞼の奥に滑り込んできた舌に俺は「ひゃあっ」と、声を上げた。
俺の顔を見ては食べたくなると口にする相馬は、時々、こうして俺の眼球を舐めるようになった。最初は驚いたし、今も多少の怖さを感じるが、痛い、とか、痒い、といった感触はない。ただ、それだけ愛されているのだという実感が湧いてくる。
「そんなことは……ないよ……」
嵐の中の小休止。彼らが口々に言葉を吐き始めたことで、ようやく襲い来る快感から解放される。
俺は息荒く言葉を継いだ。やっと言葉が吐ける。あまりの快感でもう頭がどうにかなりそうだった。けれども、いつもの俺を知る相馬は懐疑的だ。「本当に?」俺の顔を見下ろしながらくっくと嗤った。
「いつもよりも静かに感じるけれども」
「そうですね、相馬様。いつもあるおねだりがありませんからね」
相馬の言葉に一成が相槌を打つ。それを聞き留めたようだ。「おねだり?」と、眞がふたりに尋ねた。
「自分から欲しがるようになるのですよ、望海様は」
一臣の返事に、「へぇ」と眞がうっすら笑う。それが見たいのだろう。指をそろりと俺のアナルに這わせてくる。「ここが欲しくなっちゃうんだ、望海は?」卑猥に問いかけられた俺は、羞恥で頬が赤くなるのを感じながら小さく頷いた。
「なら、おねだりしてもらえるように頑張らないとね」
眞には先んじられたくないのだろう。真優が俺の脚側に回ってくる。
「眞。僕、こっちをもらってもいい?」
触りたかったようだ。俺のペニスに真優のすっと伸びた細い指が絡み付く。
ゆっくりと陰茎を扱かれた俺は身を捩らせた。その顔を相馬が引き戻す。「駄目だよ、望海。ちゃんと見ていないと」するりと背中の裏側に身体を滑り込ませてきた相馬に腰を抱えられながら、俺は俺のペニスが濡れてゆくのを眺めた。
色白な真優の手が浮き上がって見える。ゆるゆるとペニスを撫で回された俺は、ああ……と、吐息混じりに喘いだ。じわりじわりと染み出してくる快感が、もどかしさを助長させる。もっと、もっと激しい快感が欲しい。俺は腰をぴくりぴくりと跳ねさせながら、真優の愛撫を受けた。
本当はとうに欲しいのだ。
ただ、これまでの俺には形となる言葉を吐いている余裕がなかった。たったふたり増えただけだというのに、切れ切れに喘ぐのが精一杯。性感帯を一度に攻められるというのは、こんなにも人から人間らしい言葉を奪うのだということを俺は思い知った。
けれども、今は。
痴態を晒すことに俺は心のどこかで臆病になっているようだ。眞と真優。ふたりの存在は俺が『城石望海』であることを強烈に自覚させた。子どもの頃からの付き合いである三人とはまた違った距離感で接してきた彼らに、これまで見せてこなかった顔を見せてしまっていいものか。悩ましさを感じてしまうのは、彼らがかつての俺――『望海』だった時代の毒を知らないからだ。
振り返るだに酷い奴だと感じずにいられないあの頃の俺を、一成や一臣、相馬は飲み込んだ上でここにいる。けれども、眞と真優は? 俺の自我が蘇ってからの付き合いとなる彼らは、俺の全てを飲み込んでくれた訳ではない。勿論、園崎さんの一件で、俺にそうした過去があったことは周知の事実となっている。けれども、実際にどうであったのかまでは彼らは知らないのだ。
怖い。
俺はまだ眞と真優に全てを曝け出せないのかも知れない。
デートをして、キスをした。次のステップが性行為 になるのはわかっている。けれどもそれは一対一ではない。その異常さが俺を却って踏み止まらせてしまう。もっときちんとした段階を経た上で、彼らをこの場に招くべきだったんじゃないかと。
だというのに、彼らは俺が自分で口を開かない限り、望むものを与えたくはないようだ。あちこちに口付けてきながら、肌を撫で回してくるばかりで、一向に先に進もうとする気配がない。眞にしてもそうだ。肝心な場所に指を挿入 るような真似はせず、その柔らかな感触を確かめるように、指の腹で押したりしてくるだけ。
「どう、望海。欲しくなってきた?」
眞に尋ねられた俺は音を上げた。
「もう、ちょっと、奥……に、挿入 て……」
「中に挿入 て欲しいの? 何を?」
「×××……」
消え入りそうな声で呟けば、満足したようだ。「ね、俺。先に挿入 てもいい?」一同を見渡しながら眞が言う。この辺り、阿吽の呼吸で順番を決める相馬たちとは違って新鮮に感じる。
そうだ。眞と真優は俺との性行為 が初めてなんだ。
それに気付いた瞬間に気が楽になった。俺が一成や一臣、そして相馬と四人で痴戯に耽っていることを知っても引かなかったふたり。そのふたり相手に恥ずかしがるなんて馬鹿げている。むしろここは俺が積極的にリードすべき場面なんじゃないか? 妙な使命感に捉われた俺は、「いいから」と眞に言った。
「いいから、挿入 て……お願いだから、眞」
「可愛い」俺の返事を耳にした眞の顔に笑みが広がる。「出来るだけ気持ち良くなってもらえるように頑張るよ」
挿入し難い座位の状態では、俺の身体が詰まると思ったのだろう。俺の腰を引いた眞が俺の両足を抱え込んでくる。「苦しかったら、言って」そう言いながら、俺のアナルにペニスをあてがってきた眞。少しだけ感じた圧迫感は、けれども直ぐに快感に変わった。
「望海のここ、柔らかい」
するりと挿入 り込んだ眞のペニスが、俺のアナルの中で息衝いている。「どのくらい、したの?」尋ねられた俺は、回数を数えたこともなかった行為に「わかんない」と正直に答えた。けれどもそれを眞は曲解したようだ。花も綻ぶような笑みを浮かべて、「そのぐらいしたんだ。望海のえっち」息荒く口にする。
「そこまでの……回数、じゃないよ……」
思えば九月から数えてまだ一か月しか経っていない。一成や一臣、相馬と三人を相手にはしているものの、四人での性行為 を日曜に限ったからだろう。回数自体はそれほどでもなかった。一度の性行為 での射精の回数は、俺を過度に達 かせようとする三人のお陰で多かったけれども、それでも、ようやく二十回に届こうというくらいじゃなかろうか。
その割には俺の身体は痛み知らずなのだけれども。
この点、望海の身体は都合良く出来ている。無理に受け入れさせられた訳ではなかったけれども、慣らされるのに使われた時間は短かった。だのに、流血することも、痛みで起き上がれないなんてこともなかった。流石はBL同人誌の世界。そりゃあ俺の身体だって、この特異な状況に順応しもする。
だが、眞は俺の否定の言葉を額面通りに受け止める気はないのだろう。「嘘。だって、こんなに柔らかい」と、腰を揺らしてくる。瞬間、ずるりと動くペニス。ああ。俺は相馬の腹の上にある自分の頭を仰け反らせた。ゆっくりと抽送を始めた眞のペニスが、出入りを繰り返す度に速度を増してゆく。
「もう、ちょっと、手前」
奥の奥まで挿入 り込んでくる眞のペニスは、俺の前立腺 を掠めてゆく。その焦れったさに声を上げるも、「手前?」眞には上手く伝わらないようで首を傾げている。俺は悩んだ。前立腺の位置がどこであるかを的確に示すのは難しい。何せ、腸の奥の方になると感覚が鈍くなるのだ。今、どこまで眞のペニスが俺の腹の中に挿入 り込んでいるのか。俺はその正確な位置を把握出来そうにない。
「ここ?」
「違うの。もう少し、奥」
「この辺?」
「もうちょっと、上」
位置が合っても角度が合わない。俺が表現に迷ってると、一臣の手が俺の下腹部の一点を指差した。
「ここを狙うといいよ、銅音」
「ここ?」
「望海様の気持ちいいところに当たるから」
「へえ」
聞くなり腰を動かした眞のペニスが、狙い澄ましたように前立腺を当たる。「あ、そこ。そこが、いい」立て続けに前立腺 を突かれた俺は、縋るものを求めて両手を宙に向けて上げた。相馬の手が俺の手を取る。
「お気に召したようだね、望海」
指を絡めてきながら尋ねてくる相馬に俺は頷いた。
「素直ないい子だ」
俺の手を取り上げた相馬が指先に口付けてくる。そのまま、指に舌を絡め始めた相馬に競争心を刺激されたのだろう。一成と一臣が身を屈めて、俺の乳首やら脇腹やらに口付けてくる。
「や……っ、そこ、そこ駄目……っ」
前立腺を叩かれながら性感帯を攻められると途端に理性の箍が外れる。脳の中に靄がかかって、思考が覚束なくなる。ふわふわした感覚だ。身体に浮遊感を覚えながら、俺は相馬に手を、眞に足を捕らわれたまま、一成に一臣、そして真優からの愛撫を受けた。
「凄い、可愛い。こんなになるんだね、望海って」
俺のペニスを撫で回しながら真優が言う。
火照った真優の手のひらがひんやりと感じるまでに熱を帯びた俺のペニス。腹に距離を近くしているのは体位の所為だけではない。止め処ない快感が血流に乗ってペニスに注ぎ込まれてゆく。陰嚢はとうにはちきれんばかりだ。吐き出し口を求めて暴れ回る感情が、俺の口をより滑らかにした。
「あっ、あっ、イキ、たい。イカせてぇ……」
悲鳴にも似た声が俺の口から迸る。細く高く伸びた喘ぎ声は、眞の感情に火を点けたようだ。脚を抱える腕に力が籠ると、腰の動きが激しさを増した。
切れ間ない快感が俺を襲う。連続して前立腺 を叩き始めたペニスに、口を閉じることの出来なくなった俺の口から涎が溢れ出た。筋を引いて垂れる涎を一臣の指が掬い上げる。指を濡らした一臣は、その手を俺の右の乳首に滑らせた。乳輪を辿って乳首に上がってくる指先。乳頭を弾かれた俺は乳首に走った快感に短く声を放った。
「あうっ……もっとぉ……」
「もっと? どうされたいのです、望海様」
「気、持ち良く、して」
「勿論ですよ、望海様」
一臣の問いに応えると、一臣が一成と顔を見合わせて笑う。言葉にしなくとも通じるものがあるのだろう。脇腹から腰回りにかけてを撫でていた一成の手が左の乳首に上がってくる。動きを異にするふたりの手で乳首を摩られた俺は腰を逸らした。どうちらがどう、ではなく、どちらも気持ちがいい。
眩暈を覚えるほどの恍惚が湧き上がってくる。
快感の度合いに従って滲む世界。俺を見下ろしている五人の姿が輪郭をあやふやにしてゆく。
五分、それとも十分だろうか。それとも十五分? 時間の感覚が失せた俺に、それは不意に牙を剥いた。ぽんと宇宙に身体を放り出されたような感覚。何度か経験した絶頂 の予感に、「あ、くる」俺は相馬の手を強く掴んだ。弱く連続した快感が、一気に急カーブを描きながら上昇してゆく。
俺は喉の奥に息を溜め込んだ。わななく口唇が、声にならない言葉を象る。
次の瞬間、すとんと腰の力が抜けた。
腹の中の奥深いところに感じる強烈な快感。長く俺を支配するその快感に、俺は背中を弓なりに反らしながら全身を痙攣させた。
ペニスの底から押し上がる熱が、濁流となって迸る。放った精液が俺の腹を濡らすと同時に、俺はぐったりとベッドに身体を沈めた。
ああ。と、感嘆にも似た溜息が眞の口から洩れる。どうやら派手に達した俺の姿に情欲を爆発させたようだ。ぐいとペニスを押し込んできたかと思うと、遮二無二腰を動かして、俺の制止も聞かずに前立腺を叩いてくる。
「あ、駄目。今、今、イったばっか」
「無理。止まんない」
痺れが残る下半身に、切り裂くような快感が差し込まれる。やだぁ、やだぁ。俺は首を振った。止まらない腰が俺の理性を崩壊させる。
「あっ、あぅ、イク、またイっちゃう」
「達 って。俺に望海の最高にいい顔を見せて……」
息を荒くしながら腰を振る眞の動きが、ややあって止まった。どうやら射精を迎えたようだ。二度、三度と腰を震わせた眞に、俺はほうっと息を吐いた。
まだあと四人。
息を吐けるときに吐いておかないと、身体が持たなくなるのはわかっている。
ぜいぜいと息を吐く。喘ぎ疲れた喉に染み渡る空気が美味しい。
ゆっくりと腰を抜いた眞が俺の足首を掴んだ。開いたアナルの奥が見えたようだ。「凄い」と呟いた眞が、続けざまに俺の内果に口付けてくる。「何度でもしたいぐらい」そうは口にするものの、それが叶う状況ではないことを察しているのだろう。幾度か内果の下の窪みを吸うと、「次」と俺の脚を放す。
「直ぐにで大丈夫?」真優が俺を気遣う台詞を吐く。「大丈夫なら、次は僕がいい」
眞に対する対抗心だ。俺の脚を取った真優に俺はこくりと頷いた。「本当に?」俺の顔を覗き込みながら問いかけてくる真優に、俺は再度こくりと頷いた。
実際の所、大丈夫かどうかの保障などどこにもなかった。未知の体験に身を投じているのは俺も一緒なのだ。それでも快感を求める気持ちに限りはなかったし、何より眞に先んじられた真優の気持ちを考えると、彼をこのままにはしておけないという気持ちが湧いて出る。
「なら、遠慮しないよ。僕だって男だからね」
瞬間、真優の眼鏡の奥の瞳に、獰猛な影が過ぎった気がした。本当にいいのだろうか? 少しだけ躊躇いが生まれるも、真優はもう止まる気はなさそうだ。「ね、望海」念押しするように俺の名を呼ぶと、臍の辺りに口付けてくる。
ややあって、腹に散った精液を舐め取った真優が顔を上げる。脚を抱え込まれた俺は、相馬の手に指を絡めていきながら、うっすらと笑みを浮かべている真優の顔を見上げた。
直後、俺のアナルに押し入ってきた真優のペニスに、あう。と、俺は顎を上げた。
いつか俺に答えたように、本当に俺が他人によがらされている姿を見るのが好きなようだ。愉悦に満ちた表情で俺の顔を見下ろしている相馬と目が合う。こんなときですら見蕩れるぐらいに美しい。薄紅色に染まった口唇が、俺を見ろしながら言葉を紡ぐ。
「可愛いねえ、望海は。こうしているいるときの表情が一番素敵だよ」
既に充分火照っている俺の頬が、瞬間、更に熱を帯びた。
自分の一番恥ずかしい姿を評されている――俺は気恥ずかしさに相馬から顔を背けた。けれども、どこに視線を動かしても、必ず誰かしらの顔が目に入ってくる。視線の置き場がどこにもない。悩んだ俺は、ここはやっぱりと正面にある真優の顔を見上げた。理知的な真優の面差しが、すっかり欲に塗り替えられてしまっているのが目に入る。
「望海、ここ?」
待ってくれていたようだ。俺の膝を抱えた真優がくいと腰を動かす。
「もう、ちょっと、上」
「ああ、じゃあ、ここかな?」
「そう」
少しの遣り取りで俺の前立腺 を探り当てた真優が、「動くよ」と、一言置いてから腰を振り始める。
「あっ、あっ、あっ……」
まだ達してから然程時間が経っていないからか。痺れるような刺激が下半身に広がってくる。その、尿意にも似た快感は俺から羞恥の鎧を剥ぎ取った。
「あ、あ、そこ、そこ、いい……っ」
「いいの、望海?」
「いい、いい、から、もっ、と」
跳ね上がる呼吸が、俺が発する言葉の形を失わせてゆく。
「もっと、もっと……ぉ……」
他に言葉を知らないかのようにせがむ俺の声ばかりが響く室内。荒い息遣いが周囲に満ちている。澱む空気。ねっとりと纏わり付く五つの視線に晒されながら、俺がだらしなく口を開いて喘いでいると、俺の気持ちの高まりに呼応するように一成と一臣の指が動き始めた。
「可愛い鳴き声ですね、望海様」
「調子が出てきたようで何よりです」
彼らの繊細な指使いは欲に溺れる俺の理性を翻弄した。とかく確定的な刺激を与えてくれないのだ。
乳輪をさわりとなぞっては、乳頭をちらと摩 り、そしてまた乳輪に指を戻す。芯を食った快楽のない状態。春先に肌を撫でる風のような柔らかさで、俺の乳首を弄んでくる一成と一臣に俺は焦れた。腹の中に収めた真優のペニスだけでも充分な筈なのに、強烈な快感に慣らされた身体は、それだけでは物足りなさを覚えるようになってしまっている。
「やだぁ、やだ。一成、一臣、それだけじゃ、やだ」
俺は子どもがするように駄々をこねた。快楽に剥ぎ取られた理性が、俺から平静を奪ったのだ。
「もっと、もっと、苛めて、そこ、を、可愛がって」
気付けば余裕を失った俺は、足りない快感を求めて赤裸々に声を上げていた。
痴態を晒してでも、望む快感が欲しい。普段は俺の気持ちを察するの長けている一成と一臣は、けれどもベッドの上ではとんと鈍い振りをする。「これでは物足りないのですか、望海様」乳首を撫でながら惚けた言葉を吐く一成に、俺は歯噛みしたい思いに捉われるも、俺に求めさせたという事実がこのふたりにとっては大事なのはわかっている。
「意地悪……っ」
「そうは仰いますが、望海様。どうして欲しいのか言っていただかないことには動けません」
つれなく言葉を吐いた一臣が、直後、乳首を抓んでくる。じくりと滲み出てくる快感に、俺の我慢は限界を迎えた。
「舐、めて。お願い、だ、から」
息も切れ切れになりながらふたりに懇願する。
顔を見合わせた一成と一臣が「良く出来ましたね、望海様」と、俺を見下ろして笑った。ふたりの上体が傾ぐ。俺はようやく俺の乳首に触れてきたふたりの舌に、あられもない声を上げてよがった。そして真優の腰に脚を絡めた。もっと気持ち良くなれることを知っている俺は、覚えた動きをすることで自ら快感を呼び込んだ。
真優のペニスが俺の深い所に収まる。
俺の脚で腰を固定された真優の動ける幅は狭い。短い間隔で深く突き上げる動きを繰り返すペニスに、俺は夢中になった。真優、ああ、真優。譫言のように真優の名を呼ぶ。
「本当にいらしいんだね、望海は。ひとりじゃ我慢出来ないんだものね」
けれども、そんな俺さえも、真優は愛おしそうに眺めていた。
その視線は、痴態を晒すことで彼らの俺に対する評価が変わるのではないかと思っていた俺を安心させた。俺は俺の欲望に素直になっていいのだ。むしろその方が喜ばれる世界にいる。それを実感した俺は、誰の目も憚らずよがった。
「俺も混ぜて。ね、望海。ここ、空いてるもんね」
全身に纏わり付いて離れない快感に俺が溺れていると、眞の手が俺のペニスに伸びてきた。
射精後から大分経ったペニスは、もう充分なくらいに硬さを取り戻していた。亀頭から順繰りに、陰茎、陰嚢。やんわりと俺のペニスを揉んでくる眞に更なる快感を呼び覚まされた俺は、眩暈がするような陶酔の中、意識を飛ばしてしまったようだ。はっと気付いたときには、射精間近。さして間を置かずに二度目の絶頂 を迎えた俺は、全身を激しく痙攣させながら精液を撒き散らした。
俺の姿に込み上げるものがあったのだろう。望海、望海と俺の名を呼ぶ真優の声が耳の奥に木霊する。
けれども彼の腰の動きは止まらない。熱に浮かされたように腰を振り続ける真優に、俺は抵抗も出来ず揺さぶられ続けた。俺の手を握っている相馬の手がなければ、俺の身体はベッドの外に飛び出してしまっていただろう。
曇った眼鏡の奥で、切れ上がった真優の瞳が細まっている。こんな顔をするのだと俺が思った刹那、真優もまた射精のときを迎えた。
シーツの海に溺れていた俺の身体が芯を失って深く沈む。痺れて硬直した俺の脚をゆっくりと解きながら、無邪気な笑顔を真優が浮かべた。「ちゃんと覚えたよ。次からは大丈夫だからね」それが俺の前立腺 を指しているのだと気付いた俺は、自分でもしどけないと感じる視線を真優を向けて小さく頷いた。
これでふたり。
残るは三人。一成に一臣、そして相馬だ。
頭の一面に靄がかかっている感覚がある。全身はもう大分重かった。それでも、俺は続く行為を諦めることは出来なかった。
立て続けの快感が俺をこの場に縛り付けている。これを超える快感はあるのだろうか? ぼんやりと相馬の整った顔を眺めながら、俺は次が誰になるのかを待った。
「私の番ですよ、望海様」
俺の腰に手を差し込んできた一臣が俺の身体を力任せに返す。腹這いになった俺は、一臣が求めているものを察して膝を立てた。もっと、これが欲しい。俺はすんなりと挿入を果たした一臣のペニスに、奇妙な充足感を覚えながら、三度、快楽に飲み込まれていった。
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