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第19話 尋問※

 あの夜のように愛おしげに舌を吸われ、何かを確かめるように歯がなぞられ、ミヒャエルの唾液を味わったとき、俺は安堵の気持ちに包まれていた。  斬り掛かってくるつもりじゃなかったこと、そして、俺への好意が消え去っていなかったようであることに、心からほっとしていた。  再びキスをしてくれたということは、正体は気づかれていないはずだ。忘れ物は口実だったのかもしれない。アグネスを追い返してまで、トイファー(おれ)のことを求めてくれたなんて、驚くことにちょっと感激していた。  腰を抱くミヒャエルの手に力が入り、俺も彼の首に腕を回した。  はあ、と息を切らせたミヒャエルは、次に首のほうへ吸い付いてきた。 「あなたであることには変わりありませんから」  ちゅうちゅうと吸いつきながら、ダルマティカの裾をもちあげられる。  安堵したからと言って、その先を続けさせてはいけない。また関係を持ってしまっては元も子もない。  トイファーは存在していない人間なのだから、そもそもが間違った関係だ。  すぐに、やめさせるべきである。  そのはずが、なぜか俺は手伝うように手をあげてしまったばかりか、脱がされ、顕になった下着の中へと入っていくミヒャエルの指を、止めることができない。ソファのうえに寝かされ、そのうえに覆いかぶさってくる彼を、どかすべく力をかけることもできない。 「っ、ミヒャエル……」  乳首を舐められ、吸い付くミヒャエルの耳に抵抗の言葉をかけるべきなのに、愛おしむように抱きしめてしまう。 「イジドーアと何をしていたんですか?」 「んっ、んんっ……」  下着の中に入ってきたミヒャエルの手は、俺のものを硬くさせていく。 「トイファー神官、お答えください」 「んっ、……なにも……ドアのまえで声をかけられただけでっ……」  乳首を舌で転がしながら、息をかけられて身体がびくと震えてしまう。 「ナウマンと三日も何していたんですか? こういったことを彼ともしているんですか?」 「してな……してませんっ、それ、だめっ」 「これが気持ちいいんですか?」  俺は魔王だ。魔王なのに、騎士によってあれをさばかれ、先走りをぬるぬるとこすられ、先端を指で攻められ、音を聞かせるかのように笠を上下させられて、数分と経たずしていきそうになっている。 「はあっ、あっ、あっ……っ、いきそ」 「だめです」 「んあっ」  先端をぎゅうと握られて、募った射精感を強制的に止められてしまった。 「なん……」 「今日はローションの代わりにそういったものを用意してあるので、いかなくても先に進めます」  いかせないギリギリの速度と圧力で、ゆるゆると手でこすられて、疼く腰が勝手に動いてしまう。ミヒャエルの手で自慰しているように、こすりつけてしまう。するとミヒャエルは、焦らすかのごとく触れるか触れないかほどの圧力に緩め、俺の飢えを煽ってくる。 「ミヒャエル……」  懇願してしまいそう。したくてたまらない。いかせて欲しい。  もう二度とこんなことはしていけないとわかっているのに、口からは真逆の言葉が出てしまいそう。いや、言葉にしていなくても、すでに顔も声も腰も、おそらく手遅れなほど求めてしまっている。 「そんな顔しないでください……答えないと、いかせてあげませんよ」 「答え……」 「ナウマンや、部下ともこういうことをしているんですか?」 「んんっ」  ぐっと握られ、反対の手で乳首をつままれた。頭が感電したようにびりびりとする。 「はあ、早く答えてもらわないと、僕が我慢できません」  ミヒャエルはそれを繰り返し、されるたびに身体が跳ねたように震えてしまう。 「あの、エルンストは」 「エルンスト?」 「ナウマン……です」 「相当お親しいご様子ですね」 「上司なだけです……あっ」  後孔にひんやりとしたものが触れた。ぬるぬるとして、指が入ってくる。 「上司をファーストネームで呼ぶんですか? それとあの部下は?」  刺激が強くなっていく。このままではまた犯されてしまう。やめさせなければならない。  そうすべきなのに、いきかけて止められて、なおも攻められつつ、いかないよう調節され、ついにはそこまで刺激されてしまった今、頭にあるのは期待の二文字だけだった。 「部下なんておりません、はっ、んっ」 「あの可愛らしい顔立ちの彼とするときは、あなたが入れる側ですか?」 「なっ、俺は、誰とも、んんっ」 「誰とも? つまり、わたしだけということですか?」  ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てて、息を荒くしているミヒャエルは服を着たままで、俺だけ全裸である。騎士団長が顔を赤く上気させ、俺を見下ろしている。なんとも背徳的で、ぞくぞくと肌が粟立ってしまう。 「ミヒャエル……」  もう、無理だ。くらくらとしてきた。 「答えないと、最後までしてあげませんよ」 「はあ、あっ、ミヒャエルとだけ、です」  ローションのようなものと言ったそれは、確かに滑りがよく、騎士にしてはほっそりとしたミヒャエルの指が増えて三本になっても、痛みがあるどころか、疼くほど気持ちがいい。 「あっ、あっ、いいっ、そこいい、あっ」 「はあっ、もう、襲いたくなるじゃないですか」 「んっ、気持ちいっ」 「ですが、まだおあずけです」  指が抜けてしまい、ミヒャエルは俺から離れて距離を取った。 「わたし以外としないと約束してください」 「はあ、なにを……」 「これから、あなたにすることです」  ミヒャエルはぎらついた目を向けながら、ベルトをはずし、騎士の制服を脱いでいく。  それを見ながら、脱ぐなら下だけにして欲しいと願ってしまった俺は、気が狂ってしまったに違いない。 「約束してくだされば、満足させてさしあげます」  もうだめだ。顕になったミヒャエルの屹立したそれが、近づいてくるのに生唾を飲んでしまう。  ミヒャエルが俺の膝を持ち上げ、解れたそこに硬く脈打ったものがあてがわれたとき、自ら首元に手を回してしまった。 「……約束、します」  そして自分でも信じられないことに、そんな言葉を口にしてしまった。  関係を続けさせないよう努めるはずだったのに、まるで真逆とも言える、そんな約束を。

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