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淫紋を刻まれた王子は城内の兵士を食い散らかす

 あの忌まわしき魔法使いヌーベルに俺が騙されてから三週間が過ぎた。  翌日の朝食の席で、父にヌーベルが兵士に化けて城内に潜り込んでいた件について話すと、それは大層驚いていた。当たり前だ。一度ならずも二度もである。しかも狙いは俺自身にあるときている。対応は素早く、父は即時に魔法寮の魔法使いたちを総動員して王城に結界を展開させた。  とはいえ、相手はあのヌーベルである。  淫紋付与魔法は勿論、変化魔法も我が国では使用を禁じられている。人心を惑わすような魔法の使い方は我が国では外道なのだ。しかし、だからこそ、奴が諸外国でそうした魔法ばかりを習得している可能性は否定出来ない。そうである以上、いずれは結界も破られるだろう。俺は俺の警備を厳重にするよう父に進言した。俺に執着心を抱いているあの男は、遠からずまた俺の目の前に姿を現すに違いない。そこを押さえてやるのだ。俺はヌーベルとの直接対決を待ち望んだ。  自ら云い出したことではあったが、四六時中複数の誰かしらに監視されている生活は快いものではない。偶にはひとりになりたいと望むも、それと知らぬ間にヌーベルにいいようにされてしまった身体である。二度目を作らない為にも我慢をしなければ。俺はストレスを抱えつつも、元の生活に戻る為に我慢を続けた。  そこまでは、と、俺は思ったが、父としては心配だったようだ。気晴らしに行っていた中庭の散歩も禁止された。勿論、馬に乗るのも禁止だ。奴が何処から姿を現すか理解(わか)らない以上仕方のないことではあるが、動ける範囲が限られてしまうのはかなり辛い。王城が広いことだけが救いだが、何処まで行っても壁がある生活は閉塞感を覚えさせる。  だから、かも知れなかった。  淫紋の効果の発動が不規則になったのだ。  散々セックスに耽った翌朝にいきなり発情したかと思えば、夕方の寛いでいる時間帯に発情したり、或いは父と食事をしている最中に突然始まったりと、油断も隙もありはしない。満足度に比例しなくなった淫紋の効果は、俺のストレスを臨界点に達させた。とかく他に愉しみがないのである。剣術の訓練をしていてもセックス、城内を散歩していてもセックス、本を読んでいようが、執務に励んでいようがセックスセックス。頭の中はストレス解消のセックスのことばかり。最早盛りのついた猿である。いや、猿ですらもう少し慎みがあるのではなかろうか。  勿論、夜は例の志願兵たちを相手に気が済むまでセックスに耽っている。  それでも気持ちがすっきりしないのだ。  すっきりしないものだから、日長、すっきり出来るセックスの方法について考えてしまう始末。煽情的な衣装を着てのプレイであったり、高速具を使用してのプレイであったり、或いは衆人環視の中でのプレイであったり……俺の心の中を覗ける奴がいたら、あまりにもセックスのことしか考えていなくて驚くのではなかろうか。そのくらい、俺の頭の中はセックスで一杯となってしまっていた。  その結果、である。  俺はついにとんでもないことをしでかしてしまったのだ。  ※ ※ ※  遡ること五日前のことだ。  午前中に執務を終えて自由時間を得た俺は、自室で読書に耽っていた。  傍には警備を務める兵士が三人。どの兵士も剣の腕が立つ実力者ばかりだが、肉体的には俺の好みには遠かった。そこは矢張り父も考えて兵士を配置したのだろう。細く締まった体躯が見目麗しい三人の兵士たちは、無駄口を一切叩くことなく俺の警備に励んでいた。  俺は真面目に書に向き合っている態を装ってはいたが、集中力は散漫だった。セックスがしたくて堪らない。視線を下に落としてみれば、成程、確かに俺の淫紋が色を濃くしている。これは遠からず理性を失う。自分が置かれている状況を察した俺は、俺の性欲解消係である例の志願兵たちを呼ぶように警備の兵士に告げようとした。  だが、止めた。  飽きがきてしまっていたのだ。  フルコースも毎日食べていれば飽きるのと同等だ。俺は俺の好みの肉体を持つ彼らと毎日セックスに耽り続けた結果、別の料理が食べたくなってしまっていた。ならば騎士団長たちでいいだろうと思われるかも知れないが、彼らのお行儀のいいセックスには相変わらず拒否反応が出る。俺は相手を変えたいと思っても、セックスの基本的な内容までは変えたくない。つまり、いやらしく言葉で責められるのだけは譲りたくないのだ。 「暇だな」  俺は誰にともなく呟いた。  以前の俺であれば兵士たちを引き連れて剣の稽古と洒落込んでいたところであるが、中庭にも出られない状態とあってはそれも叶わない。ならば、室内で出来る基礎的なトレーニングでもすればいいではないか。そう思うも、流石は淫紋に支配されている精神状態だけはある。だったらトレーニングを兼ねてセックスをすれば、性欲も満たされて一石二鳥になるのでは? そう考えてしまった俺は、隣に立っている兵士に見えるように、腰に巻かれている布を捲った。  この兵士が俺に下心を抱いているのは知っている。  湯上りの俺を見て顔を染めたことがあったからだ。  案の定、露わとなった俺の性器に兵士の視線が釘付けとなる。ほらな。俺は胸の内で舌なめずりをした。夜以外に最低でも一度はセックスをしないと一日中まともに活動出来ない俺は、その一度の相手をこの兵士に定めた。金髪の巻き毛に青い瞳が愛くるしい。名前は確かエドと云っていた筈だ。こいつだったら俺を喜んで抱いてくれるに違いない。  俺は席を立った。そしてエドのうなじに手を回して身体を絡めながら、残る二人の兵士を振り返った。 「席を外せ」 「なりませぬ、殿下」 「外さないなら、お前たちには見学をさせるぞ」  困惑した表情で顔を見合わせる二人の兵士に構わず、俺はエドに口付けた。己の理性と戦っているのだろう。直立不動でいるエドの厚ぼったい口唇を堪能した俺は、奴の股間に太腿を擦り付けてやりながら尋ねた。 「エド、お前は俺とやりたくないのか?」 「と、とんでもございません! 殿下のお望みとあらば、幾らでも!」 「なら、軽鎧を脱げ。脱いでそこに座れ」  股間を硬くしているエドに俺は笑いかけた。  はい! と、威勢よく返事をしたエドが軽鎧を脱ぎ始める。俺は二人の兵士に視線を送った。呆然と立ち尽くしている彼らは、俺には欲情しないタイプの兵士であるのだろう。俺の視線を受けてはっと表情を引き締めると、謹厳実直にも忠言を口にする。 「失礼ながら、殿下。殿下にはきちんとお役目を命じた兵士たちがいる筈ですが」 「飽きた」 「飽きた、ですか?」目を瞠った兵士に俺は続けた。 「お前たちは毎日同じ食事でも飽きないのか」 「そういった問題ではありませぬ。国王陛下のお気持ちをお考えください」 「なら、そこで見てるんだな」  俺は軽鎧を脱いだエドを、先程まで俺が座っていた椅子に座らせた。頬に手を置いて顔を仰がせると、期待に満ち満ちた瞳の中に俺の顔が映り込んでいる。  ほっそりとした顎に、長い睫毛が目を惹く漆黒の瞳。すっと伸びた鼻や薄紅色の口唇と、まさしく母に瓜二つな顔。しかも透明度の高い白い肌に濡れた黒髪までついてくるのだ。見慣れている筈の俺ですら見蕩れずにいられない麗しさ。これは兵士たちも気の迷いを起こす筈だ。  俺はもう一度エドに口付けた。  流石に今度のエドは遠慮をしない。俺の頭に手を回してくると情熱的に口付けてくる。  それで何を云っても無駄だと悟ったようだ。終わりましたらお呼びください。との台詞を残して、二人の兵士が部屋を辞する。ぱたんと音を立てて締まる扉を確認して、俺はエドから口唇を離した。俺としては他人の目がある状況でセックスを愉しみたい思いもあっただけに物惜しさも残るが、贅沢ばかり云ってもいられない。エドの足元に跪いて、奴の顔を見上げる。 「エド。これだけは云っておく」 「何でしょうか、殿下」 「俺は言葉で責められるのが好きだ。わかったな」 「は、はい。頑張ります!」  俺はもう一度、エドの口唇に軽く口付けた。そして奴のズボンの中に手を差し入れた。  少しの間、熱い肉棒を摩ってやる。ああ、と、熱い溜息がエドの口唇から洩れた。  俺はおもむろに奴のペニスを引き出した。志願兵たちと比べると細く感じるが、俺よりは太い。嗚呼、欲しい。身動ぎせずに俺にされるがままでいるエドの顔を見上げながら、俺は奴のペニスに舌を這わせた。既に充分に漲ってはいるが、直ぐに挿入というのも趣きがない。陰茎をじっくりと舐ってやると、奴の右手が俺の髪を撫で始めた。 「ああ、殿下。なんといやらしい舌使い。そんなに美味しそうに舐められて」  音を立てながら幾度も口付け、じっとりと舌を纏わりつかせてゆく。はあ……と、感極まった吐息を洩らしたエドが、目を細めた。俺は陰茎から亀頭へと舌を滑らせた。ちろちろと舐ってやると、ああ。と、恍惚に満ちた声が奴の厚ぼったい口唇から発される。 「私に襲いかかるなんて、よっぽど我慢なさってたんですね。堪りませんよ、その舌使い。沢山、殿下のお相手を務めた方々に仕込まれたのですね。すっかりフェラチオにも(こな)れたご様子」  幾度も亀頭の先を吸い、舌先で転がすようにして尿道口を舐る。じわりと染み出る精液を俺は舌で掬った。ああ、はしたない。言葉とは裏腹な悦びに満ちた顔が俺を見下ろしている。 「ほら、殿下。どうぞ俺のペニスを口にお収めください。好き者の殿下には咥えている姿がお似合いです」  ああ、堪らない。  俺はエドのペニスを口に含んだ。顔を動かしながら、自分の股間に手を伸ばした。そして、既に汁を吐き出し始めているペニスを扱きながら、奴のペニスに刺激を加えていく。はあ、ああ、殿下。切なげに喘いでいる奴の腰が緩く動き始めた。 「自らお慰めになるとは、口での奉仕だけで感じてしまわれたご様子。ほら、殿下。もっと奥まで咥えましょう。たっぷりと殿下の喉マンコを犯して差し上げますよ」  俺はエドの言葉に導かれるがまま、喉の奥へと亀頭を飲み込んでいった。  ごくりと奴の喉が鳴る。  直後、髪を掴んできたエドが腰を大きく振り始めた。空気が足らないからだろう。頭の片隅がくらくらしてくる。俺は静かに鼻で息を吸いながら、エドに喉を犯されていった。 「最高ですよ、殿下。殿下の喉マンコに私のペニスが嵌まっている。まるで誂えられたオナホールを使っているようです。こんなに仕込まれてしまっては、もう元の生活には戻れないのではありませんか、殿下。ほら、もっと奥まで挿入(いれ)させてください。たっぷりと喉の奥に俺の精液を注いで差し上げます」  喉を犯されているというシチュエーションに身体が反応しているのだ。ああ、ああ、達したい。俺は陰茎を握っている自分の手の動きを速めた。喉の奥に亀頭が潜り込んでくる度に、亀頭に刺すような快感を覚える。ああ、ああ、ああ。脳が空っぽになった俺はエドにされるがまま、喉の奥に奴の亀頭を咥え込んだ。濡れそぼった俺のペニスから、更に汁が垂れてくる。 「そんなに腰をお振りになられて。喉マンコを犯されながらイキたいのですね、殿下」  俺はこくこくと頷いた。  腰を上げたエドが椅子から立ち上がる。奴は俺の頭を挟み込んで固定すると、激しく腰を振り始めた。ん、んぐ。苦しいのに気持ちがいい。俺は必死に陰茎を扱きながら、自ら腰も振った。どぷりどぷりと溢れ出てくる精液、口の中では根元まで押し込まれたエドのペニスが暴れ狂っている。 「嗚呼、堪りません。堪りませんよ、殿下。もう出します。ですから、殿下もどうぞ好きにイってください。ほら、ほらほら、出ますよ!」  いっそう深く喉にペニスが押し込まれる。どろりと溢れ出てきたエドの精液が、喉を伝って胃へと落ちてゆく。  俺は喉を鳴らしながら、その全てを飲み込んだ。すっかり潤んでしまった目の際からぽとりと一粒の涙が零れ落ちた。はあ、はあと息を荒くしているエドに、俺は立ち上がって身体を絡ませていった。今しがた達したばかりの奴のペニスを摩ってやりながら、口付ける。 「最高でしたよ、殿下の喉マンコ。最高過ぎて、また直ぐ()ちそうです」  俺の臀部に手を回してきたエドが、いやらしく双丘を撫で回してくる。俺はエドを再び椅子に座らせた。向かい合わせになるように、俺も奴の腿の上に座る。顔を突き合わせているペニスを擦り合わせるように腰を振りながらまた口付ければ、奴はすっかりその気になったようだ。その股間がまた熱を帯びてゆく。 「殿下の乳首、衣装の上からでもわかるぐらいに膨らんでしまわれてますね。ここをどうされたいか、ご要望はありますか」  こめかみだの耳だの首筋だのを吸いながら、エドが尋ねてくる。  俺は奴の耳元に囁きかけた。吸って。いっぱい吸って。わかりました。と、頷いたエドの口唇が布の上から乳首を吸ってくる。あぅ。俺は女のような声を上げた。唾液を含んだ生地に、乳首がその輪郭を露わとする。 「ああ、いやらしい。まるで女と見紛う乳首ではありませんか。どれだけこのいやらしい乳首を弄ばれたのです、殿下」  布の上から乳首に指を這わせてくるエドに、羞恥を煽られた俺は頬を染めた。  夜毎、兵士たちに吸われ続けた俺の乳首は、すっかり膨れ、衣装の上からでも形がわかるまでに育ってしまっている。つんと天を仰いだ乳頭などは卑猥のひとことだ。志願兵たちもこの乳首が気に入っていると見えて、吸い始めると中々止まらない。  エドも類に洩れないようだ。腹の淫紋に片手を置きながら、幾度も幾度も吸い上げてくる。あぅ、ああん。俺は敏感に快感を伝えてくる乳首に喘いだ。ああ、もっと。そしてエドに懇願した。もっと吸って。云いながら腰を振る。  達したばかりのペニスは敏感だ。腰をびくびくと跳ねさせながら、俺とペニスを突き合わせているエド。どちらかというと童顔である面差しが、次第に雄に染まってゆく。俺は喉を鳴らした。俺を抱く連中が、表情を変えるこの瞬間が好きなのだ。 「さあ、そろそろこちらを愉しませていただきますよ、殿下」  双丘に添えられていた手が、割れ目に下りてくる。蕾に指を這わせてきたエドは、収縮を繰り返している菊座ににんまりと笑みを浮かべると、いやらしいですねえ。と、ひとこと。 「こんなに口をぱくつかせて、はしたないお方だ。さぞ、他の兵士たちに沢山可愛がってこられたのでしょうね。ぷっくり膨れていらっしゃる」  俺はエドに口付けた。そして、頂戴。と、奴の耳に囁きかけた。  奴の指が俺の蕾の中に潜り込んでくる。ゆっくりと円を描き始めた指に、俺は腰をもぞつかせた。それじゃない。そう続けると、奴の瞳に獰猛な光が宿る。 「おねだりには作法ってものがあるでしょう、殿下。頂戴、だけではわかりませんよ。何を欲しいのか云っていただかないと」  エドの手が俺の両頬を包み込む。しっかりと額を合わせて顔を覗き込んできたエドが、どうぞ。と、俺を促した。 「エドの……」 「はい、私の」 「ペニスが、欲しい」 「どちらに」 「下の、口に」 「ならば、お望み通りに」  俺の双丘を持ち上げて腰を浮かさせたエドが、菊座にペニスを押し込んでくる。ぬとりぬとりと挿入(はい)り込んでくる奴のペニス。全てを収め切った奴が俺に口付けてくる。  ひだを開いた蕾の奥で息衝いているペニスは動く気配がない。  口腔内を深く探ってくるエドの舌に応じながら続きを待っていると、どうやらわざとであったようだ。口唇を離した奴がにやついた笑いを浮かべながら、「如何なさいました、殿下。欲しがられたのは殿下なのですから、好きに動いてくださって結構ですよ」などと言葉を吐いてくる。  俺はやだ。と、声を上げてエドの身体にしがみ付いた。ひだを開ききった蕾が刺激を求めて疼いている。ねえ、エド。お願いだから動いて。俺は堪えきれずに懇願した。俺のしどけなさに嗜虐心が騒いだようだ。なら、きちんとご要望をお伝えください。笑いながら奴が云う。 「お願い、エド。俺のマンコを突いて」 「こういった風にですか」  腰を揺らしただけのエドは俺を試しているようだ。俺は奴の求めに応じるように言葉を吐いた。 「もっと、もっと。エドの逞しいチンポでたっぷり奥を突いて」 「嗚呼、なんと可愛らしい方なのだ」  俺の膝裏に手を差し入れてきたエドが、俺の身体を持ち上げる。ずぷりと奥に挿入(はい)り込んでくる奴のペニスが気持ちいい。  俺は力一杯エドにしがみ付いた。腰を揺すりながら歩き始めたエドが、部屋の入り口に向かっていく。そうして、扉に俺の背中を持たれかけさせた奴は、どこにそんな力が秘められていたのかと思う勢いで腰を振り始めた。あっあぁ。俺は扉の向こう側にいるだろう兵士に聞こえるようにあられもない声を放った。ああ、エド、もっと、もっと突いて。そう、奥。奥がいいの。  俺がそう声を上げると、情欲を煽られたようだ。エドが腰を深く進めてくる。 「はあ、はあ。殿下のマンコ、最高ですよ。何です、この吸い付く感じ。私のチンポを深く咥え込んで離さないではありませんか」 「あ、あぅ。奥、そこ、そこもっと突いて」 「ああ、奥がいいのですね。いやらしい方だ。こんなメスのような顔をお晒しになって」 「あぅ、あ、あ。んん。エド、エドのチンポ、が、奥に、挿入(はい)ってるぅ」  俺はエドにしがみ付いて形振り構わず声を上げた。そして奴の首筋や肩口に噛み付いた。延々と菊座の最深部を刺激し続けている奴のペニスが、果てしない快感を呼び覚ます。あ、あ。俺は全身を突っ張らせた。一度射精に至っているエドと異なり、中途半端に刺激をしただけの俺のペニスは爆発寸前だ。奴のペニスが動き回る度に、陰嚢を押し上げられる感触がある。あ、イク。俺は腰をエドに押し付けた。 「ああ、いく。いっちゃう。エド、エド、もっともっと激しく突いて。あ、いく。いくいく。いっちゃう、いっちゃう」  びくん、と、俺の腰が跳ねた。  迸る精液がエドの腹を濡らしてゆく。口唇を塞がれた俺は、もぞもぞと舌を動かしながら、脱力しきった菊座を続けて犯されていった。  ※ ※ ※  扉際に追い込まれてのセックスだった。  エドは俺を扉に押し付けて、細身の身体に似合わぬ剛健(タフ)さで、二度、三度と俺を犯した。逃げ場がないからだろう。俺はいつも以上に敏感に奴のペニスの動きに反応した。深く挿し込まれたペニスが延々と俺の好いところを刺激し続けるセックスは、ベッドでばかり性行為に及んでいる俺にとって初めての経験でもあった。  経験すれば、限度が変わる。  味を占めた俺は城内の兵士たちにも手を出すようになった。勿論、闇雲にセックスに誘うような真似はしない。昼下がりの情事だ。必要になった時に、俺の身体を必要としている兵士とセックスに耽る。場所は自室に限らなかった。書庫に倉庫、塔と、人目を憚られる場所に彼らを連れ込んで快楽に浸る。  お陰で俺は志願兵たちとのセックスに飽きを感じなくなった。  昼間の兵士たちが俺を完璧に満足させてくれるかというと、必ずしもそうではない。大体が俺の好みから外れる肉体の持ち主である。帯に短したすきに長しとはこのことだ。俺はその消化不良感を夜の志願兵たちにぶつけた。彼らも自分たちのものであった俺が他の兵士に抱かれているのが面白くないようだ。以前より激しく俺を責め立ててくれるようになった。  とはいえ、とんでもない事態になっていることは否めない。  何より頭を抱えているのは父だった。息子の所為で城の風紀が大きく乱れているのである。今朝もそうだ。溜息混じりに注意をしてくる父に俺の心は流石に動かされた。俺の腹に淫紋が出来てからというもの、心痛の絶えない父。髪に白髪も増えた。  幾ら淫紋に支配されていても、俺にも人の心はある。  自重しよう。俺はそう思った。  で、思い付いてしまったのだ。  今迄俺は淫紋の導きのままにセックスにばかり及んでしまっていたが、そもそも、快感を得る手段はそれだけに限らない筈だ。そう、自慰だ。以前の俺だったらいざ知らず、今の俺の身体は開発済みだ。身体がセックスで快感を得るのに慣れた今、自慰でも同じように深い快感を得られるのではないか?  思い立ったが吉日である。俺は日中を性行為なしで過ごしてみることに決めた。早速、自慰に励むべく自室に篭る。警備の兵士たちには見物しても構わないと告げたが、流石に手出しの出来ない俺の痴態を見物する気にはならないようだ。扉前で警備の任に務めるとのこと。  ひとり自室に残された俺は、書斎机の引き出しから張型を取り出した。志願兵の一人が持ち込んだものだ。俺を焦らすのに自慰をさせようと目論んだらしかったが、効果は覿面だった。早く本物のペニスが欲しいと訴える俺にご満悦だったそいつのセックスは、五本の指に入るくらいに俺をよがらせた。  俺は手にした張型を眺めた。  見事なまでにペニスの形を忠実に模している張型の底面には、大きな吸盤が付いている。この吸盤を貼り付けることで、壁や床に張型を固定することが可能になるのだ。俺は早速、壁に張型を貼り付けてみた。形がリアルなだけに、壁からペニスが生えているようにも映る。  俺はごくりと喉を鳴らした。  すとん――と、腰を落として、張型を目の前にする。先ずは()れ易くする為に濡らさなければ。俺は舌を差し出して、張型に絡めていった。  ん、ふ。小さく声を洩らしつつ、隅々まで舐め回す。  そろそろいいだろうか。俺は黒光りしている張型に中腰になって腰を押し当てた。双丘を割って入り込んでくる張型の先端が蕾にぴたりと押し当たる。俺はゆっくりと張型を身体の中に埋めていった。ぬぷりと菊座に嵌まり込む張型に、俺の呼吸が乱れる。生々しさとは縁遠い硬質的な感触が、してはいけないことをしているような背徳感を味わわせているからだ。  俺は腰を振った。  ぬぷりぬぷりと俺の菊座を犯す張型が前立腺を圧迫している。はぅん。甘ったるい声を放ちながら、俺はひたすらに腰を振った。ほら、殿下。もっと腰を振ってくださいよ。いつだかのプレイの際にかけられた言葉を思い出しながら、自慰に耽る。  ――可愛いペニスをおっ立てちゃって。マンコを突いてくれるんだったら何でもいいんですか、殿下は。  俺は乳首を覆っている布をずらした。ぷくりと尖った乳頭を両手の指で捏ね回す。  ――嫌だなあ、殿下。乳首までそんなに弄っちゃって。もうイキたくて堪らないんじゃないですか。  あっあっと喘ぎながら腰を振り、乳首を弄り倒す。人目がないのが寂しくもあるが、それでも充分に快感を覚える。俺は腰を小刻みに揺らした。菊座の奥に嵌まり込んだ張型の先端が、俺がいいと感じるところを刺激している。 「あっ、あっ。これ、いい。もっと、もっと突いて」 「更にいやらしくお育ちになられたようですね、殿下」  部屋の隅から響いてきた聞き覚えのある声に、俺は慌てて張型から離れた。いつの間に入り込んだのか。いや、そもそも結界はどうなったのか。黒いローブを身に纏ったヌーベルが俺から三メートルほどの位置に立っている。 「誰か!」俺は兵士を呼んだ。「ヌーベルだ! 出会え!」  だが、返事はない。  もしかして警備を解いたのだろうか。数度呼んでもない反応に、俺はひとりでヌーベルと戦う覚悟を決めた。剣はすぐそこに立てかけてある。それさえ手に出来れば勝負に持ち込める。  隙を窺う俺に、けれどもヌーベルは冷ややかだ。  色のない鳶色の瞳が、俺を真っ直ぐに捉えている。反撃出来るものならしてみろといった表情。いや、むしろ無駄な抵抗をと思っているのやも知れない。いずれにせよ、奴は俺に反撃をさせるつもりはないようだ。空気よ、我が鎖となれ。小声で呪文らしき文言を詠唱するとぱちんと指を鳴らす。 「な……!」  脚が途端に重くなった。  まるで巨大な重しを乗せられているかのような圧迫感で、一歩も動けない。「お、前……」俺はヌーベルを睨み付けた。 「流石に魔法寮の魔法使いの叡智が詰まった結界だけはありますね」ゆったりとした足取りでヌーベルが俺に近付いてくる。「結界を破る方法を見付けるのに三週間もかかってしまいましたよ、殿下」  ヌーベルの手が顎にかかる。反射的に俺はその手を払っていた。  三週間前の不覚を俺は忘れていない。兵士に化けたヌーベル相手に腰を振ってしまったばかりか、新たな性癖を『開発』されてしまっている。屈辱的な記憶は、けれども城内の兵士たちのお陰で薄れつつあったのだ。それだのに。 「おお、相変わらずお気がお強い」 「お前の無礼は許し難い。今日は何をしにきた」 「新しい魔法を身に付けたのですよ、殿下。変化魔法の上位呪文なのですが。それを試しに参りました」 「魔法――だと」  これ以上、俺の身体をどうするつもりだというのだ。呪文を詠唱し始めたヌーベルに、嫌な予感がした俺はその場から逃げようとした。全身の力を脚に込めるも、魔法が解ける気配はない。どうすればいい。俺はその場で藻掻きながら、奴の呪文に耳を傾けた。 「――汝、メシャリフトの加護を受けよ!」  瞬間、股間の一部がかあっと熱くなった。  男性器と菊座の中間地点。俗に会陰と呼ばれる場所が、びりびりと震え出す。  何だ? 俺は焦った。痛みはないが、何かが開いていっている感覚がある。とにかく止めなければ。俺は股間を探った。と、同時に、先程までの感覚が嘘のように熱と痺れが引いた。 「これ、は……」  指先で辿ってみるに、口唇を模したような穴だ。  俺の会陰に起きた変化に、俺はヌーベルを見遣った。うっとりと細められた瞳。愉悦に満ちた表情が俺に向けられている。 「何をした、お前……」 「セックスが大好きな殿下に相応しいものを付けて差し上げたのですよ」  直後、俺の身体を床に引き倒したヌーベルが、俺の股を大きく開かせる。俺は上半身だけで藻掻くも、脚が動かないことにはどうにもならない。されるがままになるしかなくなった俺の股間に奴の手が滑り込んでくる。かと思うと、今出来たばかりの穴に指を挿し入れられた。 「ああ、深さも柔らかさも申し分ないですね、殿下」 「これは……何だ……」 「膣ですよ」  あっさりと云ってのけたヌーベルに俺は目を瞠った。  と、挿し込まれた指がぬちょりと動き始める。何だ、これは――……菊座では感じることのなかった感覚に俺は仰け反った。呆気なく快感を覚え始める膣内が、ひくりひくりと収縮を始める。いや、だ。俺は呻いた。嫌で嫌で堪らない筈なのに、気持ちが良くて堪らない。 「感じ易く作り上げましたからね。抵抗するのも難しいことでしょう。どうです、殿下。本物のマンコを手に入れた感想は」 「……最悪だ」 「おやおや、夜毎三人の兵士を相手にしていらっしゃる殿下のこと。喜んでいただけると思ったのですが」  どうやらヌーベルはそのまま俺の膣内に挿入を試みるつもりでいるようだ。ズボンをずり下ろすと、勃起したペニスを俺の膣口に押し当ててくる。 「後ろの処女はいただけませんでしたからね。今回はきっちりいただいていきますよ、殿下」  その言葉と同時に、奴のペニスがぬるりと挿入(はい)り込んでくる。あ、ああ。俺は更に仰け反った。震えるような快感が膣全体に広がってゆく。嫌だ。また、俺はまたこいつに。そう思うも、奴が腰を振り始めると呆気なく理性が瓦解する。 「や、あ。あぅ。あん。そこ、やだ。らめ」  酷く濡れているようだ。奴がペニスを抽送させる度に、俺の膣から卑猥な音が立つ。らめ、らめ。俺は自分でも驚くほど舌ったらずな喘ぎ声を上げた。これまでの快感とは比べ物にならない快感が襲い掛かってくる。 「ああ、殿下。感じていらっしゃるのですね。私もですよ。このような形で殿下の初物をいただけるとは!」  奴が云っている言葉の意味はわかるものの、自分の身に起きていることに対する理解が追い付かない。あぅ、ああ。らめ。俺は両手で空を掻いた。快感に飲み込まれてなるものかと、何度も何度も空を掻いた。だが、それは無駄な抵抗だった。 「あ、うぅ。やだ。くぅ。や、だ。いく」  理性を快感が飲み込んでゆく。  俺は射精とはまた違った感覚に全身を痙攣させた。膣内がびりびりと震えている。ああ、ああ、ああっ。遅れてペニスに到達する快感。どぷりと射出された精液が、俺の腹を濡らしてゆく。 「ふふ、最高ですよ、殿下。このきゅっと締め付けてくる感覚。堪りません」  どうやら俺が締め付けた衝撃で達したらしかった。ヌーベルのペニスが抜き取られる。  ややあって、俺の膣の奥からどろりと溢れ出てくる精液。俺は虚脱状態で、自分の股間を見詰めた。ペニスに隠れて見えないが、そこに確かに穴が開いている感覚がある。また、こいつにいいように扱われてしまった。身支度を整えて立ち上がったヌーベルを俺は睨み付けた。 「では、殿下。私はこれで失礼しますよ」 「巫山戯るな。俺を元に戻せ」 「戻して欲しければ私のモノになるのですね」  俺は首を横に振った。それだけは絶対に達成させてなるものか。  色欲に溺れている第一王子であっても、超えてはならない一線に対する自覚はある。どれだけ俺を愛していようが、ヌーベルは国に対して危険な思想を持つ男なのだ。そういった男に身を任す訳にはいかない。それは国民に対する冒涜だ。 「いずれ色良い返事が聞けると信じていますよ」  ばさりとマントを翻したヌーベルの姿が空気に溶けてゆく。  それと同時に魔法が解けたようだ。俺の足が自由を取り戻す。俺は急ぎ身なりを整えて扉の外に出た。廊下にて眠りこけている大量の兵士たち。こちらも魔法が解けたのだろう。ひとり、またひとりと頭を振りながら起き上がってくる。 「で、殿下……ご無事で……」 「無事かどうかはわからんがな」  俺は空を仰いだ。  どう父に事態を説明すればいいんだ。  息子に膣が出来たなどと知ったら、さしもの父も卒倒してしまうかも知れない。とはいえ、このままにしておける話でもない。俺は起き上がった兵士たちに号令をかけた。そして何人かを供として父の許へと向かった。

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